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異世界美容院Angeli  作者: イタズ
第4章 変わりゆく異世界編

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ララの威厳

数分後、ララは三名を引き連れて現れた。

誰だ?この人達は?

雰囲気的にこの人がリーダーであろう、真ん中に位置する男性が名乗りをあげた。


「突然失礼する、私はエルザの村の村長のジョルジュと申す」

仰々しくお辞儀をしていた、なんとも堂に入っている。

その男性は眼鏡を掛けており、知的な雰囲気を醸し出していた。

長髪を後ろに束ねており、金髪だった。

燕尾服に似た服を着ている。

そして横に控える二人は腰を折り、ララにお辞儀をしていた。

それを意にも返さないララ。

場が騒然とする。


「エルザの村だと?」


「存在したのか・・・」


「只の言い伝えでは無かったのか・・・」


「本当なのか?・・・」

どうやら参加者の中にはエルザの村をお伽話か何かだとでも思っていたのだろう。

その存在自体に驚いていた。


ララが再び俺の肩に乗る。

(これで全員揃ったな)


ベルメゾン伯爵が一際申し訳なさそうな顔をしていたが、間違っても伯爵の落ち度ではない。

そもそも伯爵はこの三名を知らないのだから。


(では余から話がある、心して聞くがよい)

エルザの村の三名もララに跪いた。

またこれだ・・・勘弁してくれよ・・・立ち上がっているのは俺だけだ・・・偉い人になったと勘違いしそうだよ・・・できれば今すぐこの場を立ち去りたい。


(言い伝えで聞いておろう、どうなったら余が再びこの地に訪れると?・・・何と聞いておる?答えよフルーゲル国の王よ)

フレーゲル国王であろう男性が顔を上げた。


(はっ!申し上げます。それはこの地に平和が訪れた時であると・・・)


(そうである!この地に平和が訪れた、まだ一部小競り合いをする馬鹿者もいるようだが・・・)

この発言に数名の者は身体をビクつかせていた。


(まあよい・・・今回は見逃してやろう)

数名は安心したのか肩を落としていた。


ララ劇場は続く。

(その平和の証として、全ての国々で国交を開き、友好条約を締結せよ、よいな)


この発言に激震が走る。

参加者の大半が固まっていた。

一瞬の間の後に今度は動揺が伝播する。

思わず声を漏らす者がいた。


「可能なのか?・・・」


「規模感が・・・」


「神の御業・・・」


「世界が変わるぞ・・・」

これは驚いて当然だろう。

俺も正直驚いている。

でも考えてみればこれはチャンスだろう、聞く処によればこの様に各国の首領陣が一堂に会することなど他にはない出来事だ。

正にサミットだ。

この世界には国連なんて無いからね。

であればこの機会を活かさなければ余りに勿体無い。

今この時は歴史的な瞬間になっているに違いない。

後日語り継がれることは必然だろう。


やるなララ、感心するよ。

ララからこう言われてしまっては、反対することは敵うまい。

反対しようものならつるし上げられるだろう。

にしてもララの威厳ったら凄いな。


(その音頭をジョルジュが取るが良い、よいな?)


「はっ!」

エルザの村の村長のジョルジュが大きな声で返事をした。

適任だな、エルザの村は俺の予想ではこの世界で最も文明化を果たしている村だろうと思う。

それはメイフェザーの腕をみれば明らかだからだ。

あいつの魔道具作成の技術は匠の域だ。

実際なんちゃって家電を造りまくっているからね。

その為、最近ではこのララの街も近代化が進んでいる。

現代日本とまではいかないが、明らかに進歩しているのを肌で感じる。

有難い事だと思う。

そこに全面的にエルザの村が手を貸すとなれば、更に文明化は進むことになる。

これは間違いが無い。


詰まる処ララの思惑は平和の次は文明化であると俺は予想している。

分からなくもない。

ララや女神様にしてみたら、この世界をより豊かに、そして住みよい世界にしようという事がお題目なんだろうと俺は睨んでいる。

人類の向かう道は何なのか?なんて俺には分からないが、何となくそういうものではないのかなと思う。

それにしても・・・この世界にとっては歴史的な瞬間なんだろうな。

いいものを見させて貰ったよ。

それにしても・・・ララって崇拝されすぎじゃないか?

近しい家族だからそう思うのだろうか?

逆に心配になるよ・・・


ララが更に語りかける。

(よいな?協力して友好条約を結ぶように!)


「「「「「はっ!!!!!」」」」」


(ではジョ兄と余は去る、後は任せたぞ、ジョルジュよ)


「お任せあれ!」

ジョルジュはララに再び頭を下げる。


(ジョ兄、帰ろうよ)


「ああ・・・」

ヒュン!




美容院『アンジェリ』に転移した。

突然現れた俺達にシルビアちゃんは腰を抜かしそうになっていた。

そりゃあ驚くよね、文句はララに言ってくれ。

言えないだろうけどさ。


それにしても・・・

ララ劇場満載だったな。

あれ?何か忘れている様な・・・そうだ!思い出した!

(なあ、ララさんや、俺にも役目があるって言ってなかったか?)


(うん、そうだよ)

オモテ面のララだ、可愛いなあ。


(俺は何かした覚えは無いんだけど?忘れて無いか?)


(忘れてないよ、ちゃんと役目を果たしてもらったよ)


(はい?・・・それって・・・もしかして・・・俺はララの止まり木になる事が役目だったってことか?)


(うん、そうだよ!)


(・・・)

マジかよ・・・


(僕を肩に乗せれるなんて名誉な事なんだよ!)


(あっそう・・・)


(駄目なの?)


(いいけど・・・)

これを俺はどう捉えたらいいのだろうか?

さっぱり分からん。


(ねえ、ジョ兄・・・・)

ララが伏し目がちに問いかけてきた。


(どうした?)


(あのね・・・お願いがあるんだけど・・・無理ならいいんだよ・・・)


(ん?何だか分からんが、一先ず言ってごらん)


(うん・・・そうする)

上目遣いでララが俺を見つめる。


(それで?)


(僕、美幸とおやっさんに会いたいな・・・)


(!!!)

そうきたか!・・・これは困ったな・・・


(駄目・・・だよね?・・・)


(これは・・・ちょっと考えさせてくれ・・・)

これは即答できないぞ。

色々考えなければならない・・・

安請け合いとはいかないな、ララもそれを分かっているからの態度なんだろう。


俺だって美幸にララを会わせてあげたいし、親父にだってそうだ。

でもそれはこのお店が異世界に繋がっている事を家族に教えることになる。

ララを日本に連れていく事はおそらく敵わないだろう。

それが出来るのならが、ララがフェアリーバードになる必要なんてなかったはずだからだ。

それにこの世界の聖獣様を日本に連れていく事もどうかと思うしね。

俺はフェアリーバードを見て一瞬でララだと分かったが、美幸や親父はどうだろうか?

たぶん気づくと思う。

俺達の絆は本物だからな。

美幸と親父に会わせるということは当然亜紀も引っ付いてくる。

もうこれは来るべき時が来たのだと受け止めるべきなんだろうか?

この奇妙な二世界での生活を、家族には知らせるタイミングなんだろうか?

俺には正解が分からない。

これまではただ単に俺一人の胸に留めていたのだが、報せるべきなんだろうか?

でも・・・家族を異世界に連れてくるということは、俺は異世界の人間なんだとシルビアちゃんや、ライゼルに教えることになる。

そうなるとこれまで通りとはいかなくなるんだろうな・・・

はあ・・・気が重いな・・・

どしようかな?・・・




休日の為、俺は朝から買い出しに出かけている。

ちょうど美幸もコストコに行きたいとの事だったので、同行を許した。

要は美幸は俺にたかろうということだ、もうなれっこだよ。

何かと理由を付けては俺に奢らせようとしてくるしね。

お前そんなに金に困っているのか?と聞きたくなるよ。

まあ、お陰さんで懐は温かいからいいんだけどさ、それに殆ど店の経費だし。

もし税務監査が入ったらイチコロなんだろうな・・・たぶん・・・


そしてこの流れは決まってこうなる。

俺の家で焼き肉だ。

コストコは大量の肉が安く買えるからとの理由をつけて、勝手に美幸が手配する。

それを待ってましたと親父と亜紀が騒ぎ出す。

ほーら、もうピコピコとラインが鳴ってるよ。

しょうがねえなあ・・・


もう最近の休日のルーティーンになりつつある。

買い物を済ませると、実家に寄って美幸を降ろす。

その後家に帰ると買ってきた物をお店のバックルームに収納する。

冷凍食品が多いから早くお店の冷蔵庫に保管しないとね。

そして二階に行き、焼き肉の準備だけして、テレビのリモコンを手にした。

まだ見れていないネットフリックスの作品がいくつかあったなと、適当にリモコンを操作する。

ここからはある意味本当の休日の始まりだ。

俺は好きに気になる映画やドラマ、アニメを視聴した。

それにしても見たかった作品が随分と溜まっているな。

ちょっと仕事し過ぎだろうか?

いや、あっちでの生活にどっぷり嵌り過ぎなんだろうな。

今日は久しぶりに日本での休日を過ごしているが、休日もあっちの世界で過ごすなんてこともざらにあるからな。

ちょっと働き過ぎな気もする・・・

スローライフなんて程遠いな・・・


そうこうしていると、ラインのメッセージが入る、亜紀からだ。

今から向かうとのこと。

俺はソファーから立ち上がり、台所に立って包丁を握った。

野菜でも切りましょうかね。




ピンポーン!

ドアのチャイムが鳴る。


俺は通話ボタンを押して、

「どうぞ」

と声を掛けた。


「「「おじゃましまーす!」」」

ガチャガチャと玄関先が騒々しい。

一気にダイニングルームに駆け込んできた亜紀。

俺を見つけると飛びつくかの如く俺の胸に飛び込んでくる。


「亜紀ー!」


「ジョ兄ー!」

全力でハグをする。


「元気にしてたか?」


「うん!」


「さあ、亜紀!準備を手伝ってくれ!」


「うん!」

俺は亜紀を剥がすと、大皿を亜紀に手渡す。


「重い・・・」


「溢すなよ、頑張れ!」


「う・・・うん・・・」

ヨロヨロとしながらも大皿を運ぶ亜紀。

零したらその時だな。


「丈二!始めるぞ」

箸を片手に遠慮も無く宣言する親父。


「はいはい、お先にどうぞ」

俺はまだ少し準備がある為、先に始めて貰う事にした。


「「「いただきます!」」」

ジュウジュウと肉を焼く軽快な音がする。

換気扇を強にして、俺も椅子に腰かける。


「今日も兄貴の奢りだからね」


「おおっ!そうか、丈二は羽振りがいいな!ええっ!」


「まあな」


「ごちになります!」

亜紀の奴どこで覚えたのか・・・


「にしても肉旨っ!コストコやるじゃん」


「はいはい、次々に焼いてくぞ」

このメンバーでの焼き肉となるとだいたい俺が焼き役となる。

何度か美幸にやれよと言ったのだが、聞いちゃくれない。

美幸曰く俺が焼くと旨いんだとか・・・な訳あるか!

誰が焼いても同じ味に決まってるだろうが!

でも亜紀に焼いてと言われてしまってはやらざるをえんだろう。

そして美幸がこんな事を言い出した。


「そういえばさあ、昨日夢にララが出てきたじゃんねえ」

はい?!どういうこと?


「そうか・・・不思議な事があるもんだな、俺の夢にも出て来たぞ。ララ」

親父までこう言い出した。

これは偶然な訳ない・・・ララ・・・やってくれたな?


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