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異世界美容院Angeli  作者: イタズ
第4章 変わりゆく異世界編

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ララ劇場開幕

温泉宿の宴会場ではこの世界の有力者、権力者、指導者が集っていた。

誰がこの会場に足を踏み入れて良いのかは、ベルメゾン伯爵に一任されていた。

その権限を与えたのはジョニーこと俺だ。

簡単な話、伯爵の顔を立てたのだ。

ララに相談し、その様に伯爵に伝えたのだ。

伯爵はララが顕現してからというもの、毎日お店に顔をだして俺の話に耳を傾け、ある意味俺の手足の如く働いてくれていたからだ。

毎日誰かしらがララに会わせろと無遠慮にお店に入って来る。

俺は何度もブチ切れては追い出していたが、正直言って最後の方は切れ疲れていた。

手を振ってシッシとやると、それを見たライルがお店に飛び込んできて、連行する事になっていた。

いい加減にしてくれよ・・・ていうか・・・ライル・・・お前クビ!


嬉しい事にギャバンさんが警備隊長になっていた。

安定のギャバンさん、ありがたい。

ギャバンさんの目を掻い潜る事は難しいだろう。

彼は本物だからね・・・しめしめだ・・・

もし彼の眼を欺いて潜り抜けて来た時は褒めてしんぜよう。


さて、宴会場に向かう前に俺達は晩飯にすることにした。

お偉いさん方は待たせておけばいいだろう。

どうせ真面に飯を食える時間なんてないだろうしさ。

ララもちゃっかりとそのつもりで、先ほどから早く犬飯を食わせろと天界から囁いている。

準備が出来たら転移してくるんだろう。


因みにララは肉を食べない。

何かしらの制約があるのかもしれない。


一度良かれと思って犬飯にソーセージを入れたら、

(ごめんジョ兄・・・食べられない・・・)

残念そうに俯いていた。


速攻で作りなおしたけどね!

捨てるのはもったいないからライゼルに食わせてやったよ。

ララはビーガンなのか?

でもビーガンは魚はよかったっけ?

ララは魚は食してもいいらしい、まあ味噌汁にはしっかりと鰹節が入っているからね。

匙加減がいまいち分からん。


ララはワカメと豆腐の味噌汁が大好物だ。

ヘルシーで良いじゃないか。

野菜たっぷりも好きらしい。

その為、人参、もやし、大根は必ず入っている。

時にジャガイモも入れたこともある。

案外いけますよ、知ってたかな?


さあ、飯!飯!

どうせこの後に忙しくなるからね。

あー、やだやだ。

先ずは腹ごしらえでしょうよ。




いきなり余談になるのだが、犬飯はスタッフの間で流行っている。

俺がララの大好物だと話したら、全員が晩飯に犬飯を所望した。

どうにもネーミングが良くないと、今ではララ飯と呼んでいる。

でもよく考えたら、この異世界には味噌が無い。

それもあってか、全スタッフがララ飯を大好物になっていた。

味噌は美味しからね、よく嵌る外国人が多いのだと聞いたことがあるよ。

当然ライゼル達も同様にララ飯を嬉しそうに食べている。

もしかしてララ飯屋を造ったら流行るかも・・・造らないけどね・・・たぶん・・・


その為、俺は毎朝真空保温調理器で味噌汁を大量に作り、味噌汁を保存することになっていた。

真空保存調理器は凄い、いつまでも温かい儘だからね。

大変助かってます。

一台では足らない為、二台使っているよ。

分かって貰えるよね?


そしてララ飯の変化球として、時々米の替わりにそうめんを入れることがある。

何気に俺はこっちの方が好きかもしれない。

ララも太鼓判を押していたよ。

時にララからリクエストされるぐらいだ。

でもそうめんを啜れないララはちょっと苦戦気味だけどね。

美味しそうに食べているから、いいのだけどさ。


さて、会合を前にして俺とララ、そして家のスタッフ達はララ飯を堪能した。

それにしてもララ飯旨えー!




会場では各国の重鎮達が静かに時を待っていた。

やっとフェアリーバードに会えると期待に胸を弾ませている。

しかし周りを見渡すと、そう安易に考えることは出来なかった。

この世界のほとんどの国や街の有力者、権力者、指導者が集まっているからだ。

妙な緊張感が漂っている。


これは異例中の異例の出来事である。

これまでの歴史の中で、この様な光景は歴史書にも伝記にも記されてはいない。

この光景に全員が戸惑っていた。

どうしてこれほどのメンバーが集められたのか?

フェアリーバードの真意は何処にあるのか?

これから何が行われるのか?

伝説の聖獣の思慮を慮ることなど誰にも出来なかった。


それにしても随分と待たされている。

集められてから、かれこれ一時間以上は待たされている。

中には集合時間を間違えたのかと心配している者もいた。

集められた者達は知らなかった。

ララ達は今正に、楽しそうにララ飯を食べていることを・・・


ある者が呟いた。

「腹減ったー・・・」


ある者が囁いた。

「まだかなー・・・」


ある者は溢した。

「おトイレいきたいなー」


一人ベルメゾン伯爵はハラハラしていた。

(ジョニー店長!ララ様!早く来てくれよ!)




俺の肩にララが乗る。

そろそろ行かなければいけない様だ。

正直言って面倒臭い、もっと言うと行きたく無い。

だって、色々な国のお偉いさん達が勢揃いしているんだよ?

俺に政治は関係ないでしょうよ、違うかい?

でもどうしても付いて来て欲しいとララに言われてしまっては、無下には出来ない。

何かしら俺に役目があるらしい・・・愛するララの為だ・・・ここは付き合うとしよう。

会場の前に着くと、屈強な門番が両開きの扉の脇に構えていた。

俺とララに目礼し、扉に手を掛ける。

そして徐に扉が開かれた。




おそらく百五十名ぐらいだろうか?

豪華な衣装を身に纏った者達が一斉に俺達に振り返った。

そして一瞬間が生れた後に全員が跪いた。

ババッ!!!

おおー、それなりの光景だな。

ちょっと驚いてしまったよ。


この光景を見て改めて思ってしまった。

ララってすんごい崇拝されているんだなと。

嫌じゃないけど、なんだか複雑な気分だ。


だって、俺としてはもっとララを独占したいからね。

それにララ効果で、俺にも擽ったい視線が送られてきているからさ。

実際この視線には慣れない、どう捉えていいか分からんよ。

俺ははっきり言って崇拝なんかされたくはない。

そりゃあ多少は凄いな、なんて思われたくはあるよ。

特に美容師の腕を認められたいとは思う。

自分で言うものなんだが、自己顕示欲はそんなにない方だと思うよ。

でもそれはあくまで俺の施術を受けて、満足して貰えてから得られる感想であって、俺がララの相棒だから得られる尊敬は何だか違う気がする。

俺の存在意義はララの相棒だけではない。

俺は美容師なのだ、それも最も優れた美容師を目指している。

出来る事ならば、そこを認めて頂きたい。


ララの相棒である事を俺は嬉しく思っている。

でも、それはフェアリーバードという聖獣のララでは無く、幼少期から積み重ねてきた俺達の年月が育てた関係性があるからだ。

はっきりと言ってしまえば、ララはフェアリーバードで無くても俺は全く構わなかった。

例えララが忌み嫌われる様な種族や存在であったとしても、ララは俺の相棒だと胸を張って言える。


でも・・・ララと出会えた奇跡は、ララがフェアリーバードにならなければ起きなかった出来事だ。

女神様に言わせると、何かしらの因果のルールがあるみたいだが・・・

俺にはさっぱりと分からない。

どうにも理解に苦しむ。

でもララの説明だと、ララは徳を積んでおり、聖獣になるしか俺に会う方法が無かったとのこと。

どうにもな・・・しょうがないと諦めるしかないみたいだ。

さて、ララに付き合うとしますか。

あー!面倒臭い!




俺の肩に乗ったままララは壇上に進む。

跪く者達には眼もくれていない。

実に堂々としている。

おおー、これは裏面のララだな。

要はフェアリーバード全開のララだ、聖獣モードということだ。

俺はいつもの可愛いララが好きだけどね。

聖獣モードも嫌いじゃないけど・・・


そして聖獣モードのララが参加者に話し掛ける。

あの直接脳内に話し掛けるやつだ。


(余はフェアリーバードである)


「「「「「ははーーー!!!」」」」」

ありゃありゃ、まるで印籠を出した時の黄門様だな。


(面を上げるが良い)

恐縮そうに顔を上げる一同。

そして神々しい者でも見る様に、ララを見つめている。

早くも泣いている者もいた。

これはあれだな、教祖様を眺める信者だな。

そんな事を言うと女神様に怒られるかもしれないが・・・

何にしても凄い注目度だ。

正直引いてしまいそうな俺がいる。

俺の肩に乗っているララに視線が集まっているのは分かってはいるが、俺が羨望の眼差しで見つめられている様で、擽ったい。

止めて欲しい。


俺は思わずララに尋ねてしまった。

(ララさんや・・・俺の肩に乗り続けるつもりかい?)


(そうだよ)

可愛い方のララで返事されてしまった。

・・・なんだかなあ・・・狡くない?


(フム、主要なメンバーが集まっているみたいだな、ベルメゾン伯爵よ)


「はっ!」


(見たところエルザの村の者達がいないようだが?どうなっている?)


「エルザの村で御座いますか?申し訳ございません。私の面識のある者は二名しかおりませんが、その者達の事でしょうか?」


(否、違うな。村長だ)


「・・・存じ上げません」


(そうか・・・待っておれ)

そう言うや否やララはどこかに転移してしまった。

突然の事に戸惑う一同。

ベルメゾン伯爵に至っては眼を見開いている。

俺はというと、正直ほっとしていた。

やっと注目から解放されそうだからだ。

かと思ったが、そんな俺の思惑通りとはならず。


「ジョニー店長!フェアリーバード様は何処へ?!」


「何が起こっているのか説明して下さい!ジョニー店長!」


「我等は置き去りでしょうか?」

色々な角度から質問が飛びかってきた。

おいおいおい!勘弁してくれよ!

ララがどうしていなくなったかなんて、俺には分からないぞ。


(ララー!早く帰ってきてくれよ!)

俺は心の中で慟哭していた。


ララ劇場はまだ始まったばかりであった。




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