Оолива Смирнов2
オリビア・スミノフはビルから降りた
階段は使わない
ビルごと崩して下りたのだ
彼女を中心に屋上からビルが崩れていく
飛び散るガラスの破片とコンクリートの破片が
ビルに残る人々の悲鳴を混ぜて舞い散った
黒い血は重力異常を巻き起こせる
とはいえ不器用なもので
装甲者自身と極一部対象物を重くできる程度
ただこうやってビルを沈めエレベーターに乗る手間は省ける
便利でしょう?
新たな破壊者の出現で街は完全にパニックだった
オリビアは細身の体に似合わぬ轟音の足音を響かせ
それがまた人々の恐怖を沸き起こすのだった
オリビア・スミノフはミスを犯した
上空で発光するТат твам аси(駆除目標対象物)が思いのほか遠く
重い体で歩行の遅さも相まって
接敵するまで時間がかかってしまったのだ
発光体は存分に周囲を焼き尽くし満足したのか
更に強い光を発し
分裂、増殖した
「Ну ничего себе!Я же ещё и винова!」
さすがに焦った彼女は急ぎ前に進もうとするが
周辺を揺らし振動で建築物を壊し路上の車を跳ねるだけで
一向に先へ進まない
古代の恐竜にも似たノロマさで苛立ちを感じてきた
(実際に恐竜が遅かったかどうかはわからないし種類にもよる)
仕方がない
危険だが早めに制限した能力を開放しておこう
突きさしたヴァジュラの影響が一番強い胸で生成された自動詠唱機が作動する
первая позиция
第一の解放 身体能力はもちろん、切り裂くための爪も伸びる
вторая позиция
第二の解放 ヘルメット状の頭部装甲の口が開き牙が生える
третья позиция
第三の解放 主に内部器官の強化、外観からは見えないが瞳孔が横長に伸びる
четвёртая позиция
第四の解放 黒い翼が構築され、若干の飛行が可能
пятая позиция
第五の解放 契約の執………
「Я отказываюсь」
第五の解放を毅然と拒否するオリビア
それだけは許さない
黒い血の要求であっても、それだけは許さない
しかし隙あればこうやって第五を開放したがる
調子に乗った悪い子の
ドサクサ紛れのおねだりには応じられない
オリビアは翼を広げ、飛ぶ
正確には半径数十メートルのクレーターを代償に
目的地まで弾き飛んだのだ
駆除対象物がどれだけ被害を広げようが知ったことでは無い
しかし増殖が始まるとマズい
以後ネズミ算式に膨大な数となり
やがてそれは……
「Да сто пудов, что ты опять накосячишь……」