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81.悪役令嬢のお父さま 5

テンプレな“真実の愛”のイジメ疑惑追求から始まった、エリザベスと周囲のお話—


※ラッセル公爵視点です。


※※※※※※※※※※※注意※※※※※※※※※※※※※

後半は、ざまあ感が強く、デリケートな描写があります。

苦手な方は、閲覧には充分にご注意ください。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


エリザベスの幸せと、その周囲を描きたいと思い書いている連載版です。

ルイスとの新生活としては、これで20歩目。

引き続き、ゆるふわ設定。R15は保険です。矛盾はお見逃しください。


【ラッセル公爵視点】



「アルトゥール殿下、メアリー百合妃殿下、弔問団の団員殿。

ご無事のご帰還、おめでとうございます。

長旅ではお辛いこともあったでしょう。

本日は疲れを取った上、明日、陛下にご報告ください」



 出迎えた弔問団の雰囲気は、なかなか良かった。

 特にアルトゥール殿下とメアリー百合妃殿下は、仲睦(なかむつ)まじい。

 目を疑うほどだ。


 出発時は互いに嫌悪し、往復1ヶ月近く同乗する馬車の旅が破綻しないか危惧していた。

 もう一台、予備の馬車を連れて行ったほどだ。


 団員の取りまとめ役に、「完全に決裂する前に、メアリー百合妃殿下の体調不良を理由に、馬車と宿泊部屋を分けるように」と、念のため厳命していた。


 今は、メアリー百合妃殿下に尻に敷かれている雰囲気は強いものの、『これなら次世代が期待できそう』な雰囲気である。



「出迎えご苦労。ラッセル宰相。

あなたの貴重な時間を使わせて申し訳ない。

それと、至急、報告したいこともある。

陛下とのお時間を作ってもらう訳にはいかないだろうか」


 ほほう。爽やか好青年の笑顔を取り戻している。

 報告書の通り、シャンド男爵令嬢に会う前の精神状態か?

 そこから深刻なほど表情が変わる。


 メアリー百合妃殿下がすっと距離を詰めて寄り添い、「殿下、お(しず)まりください。殿下の口からきちんとご説明しなければなりません」と手を握り励ましている。


 目の前の三文芝居に付き合わなければならないのは、不愉快極まりない。

 帝王“再”教育中の身の上を忘れないで欲しい。


 まだまだ、バカ(=王子)は、バカレベルのようだ。


 私はバカ(=王子)に近づくと、(ささや)きに近い声で告げる。


「殿下。本当に、“至急、報告したい重要事案”ならば、弔問団員が全員(そろ)っているこの場で、大声で話すことは避けるべきでしょう。

また、“お薬の件”でしたら、帝国駐在大使から、すでに早馬で報告が数回来ております」


 バカ(=王子)の顔に衝撃が走る。

 当たり前だろうが。


 下手をしなくても、友好通商条約は破棄され、開戦されても文句は言えない立場だったんだぞ、と怒りが込み上げてくるが、表面上は穏やかな微笑みを(たも)ったままだ。


 メアリー百合妃殿下は驚きが最小限で、それも扇ですぐに隠す。

 覚悟しており、励ますために「しっかりまとめて報告なさいませ」とでも言っていたのだろう。


「そちらの件は、すでに対処が着々と進んでおります。それ以外に、至急報告する案件はございますか?」


「い、いや、ない」


「でしたら、明日、ご報告願います。

これから解団式です。

団長として、そのご挨拶(あいさつ)の職務をまずお果たしください」


 ここで表情がキリっと締まる。

 メアリー百合妃殿下は開いていた扇を畳む。


「殿下。ただ今出来ることをいたしましょう。

信頼回復の道は、一歩一歩ですのよ」


「ああ。私の悪い癖が出たようだ。原稿はあり、練習もした。頑張るよ。

ところで、ラッセル宰相。

ソフィアの様子を知ってるか?

悪阻(つわり)が終わっているなら、見舞いたいんだ。大切な時にそばに居てやれなかったので」



 あ゛〜。どうしてここで、その話題を出す!


 メアリー百合妃殿下と道中、“仲良く”してきたんだろうが。


 メアリー百合妃殿下に、以前、見られなかった嫉妬が、ほんのうっすらと感じられる。


 後でいくらでも(たず)ねられることを、

 なぜ、今、ここで、聞く?!


 ソフィア薔薇(ばら)妃殿下は、どこにも逃げない。

 逃げられては、こちらも大問題だ。

 24時間、人を張り付けてある。


 しかし、こちらとしては、悪くもない。

 メアリー百合妃殿下が、どれほどこのバカ(=王子)に、心が傾いているか、測るにはちょうどいい。

 私は声を低め、丁重(ていちょう)に答える。


「ソフィア薔薇(ばら)妃殿下は、母子共に順調でございます。

殿下がご出発されて以降、“気苦労”が“減った”ためか、悪阻(つわり)も終わり、みるみる回復なさいました。

今夜、“お渡り”なさるなら、“ご負担”なきよう、ご配慮願います」


 メアリー百合妃殿下の畳んだ扇が、小さく『ミシッ』となった。

 嫉妬を抑えるのに、つい手に力が入ったようだ。

 だが、すぐにはらりと扇を開き、顔を隠す。

 ふむ、正妃の(たしな)みは、お忘れでないと見える。


 一方、バカ(=王子)は焦りの色を付けた、幸せオーラを振り撒く。本当にバカだ。



「わ、私はそんなつもりで、聞いた訳じゃないよ。

嫌だなあ、宰相。人をからかって。

メアリー。ソフィアは順調なようだ。

優しい君が気にしていたから、僕も気になって聞いてみたんだ。

後で二人で顔を見てこないか?」


 ほほう、中々の手だ。

 女性の扱いは、まあまあ“改善”したらしい。


 『嫌だなあ、宰相』などとは、二度と声を掛けてほしくはない。

 穏和な微笑みは(たも)っているが、たわけた事を言う、あの口を引き裂き、舌をこの場で引っこ抜きたいほどだ。

 


 例の“緊急案件”で、私と外務大臣と陛下に、どれだけの負担をかけたと思っている。

 優しく美しい天使のような愛娘(まなむすめ)が改善してくれた、胃痛に効能のあるハーブティーを、私がどれだけ飲んだと思ってる。


 まあいい。笑えるのは今のうちだけだ。


 “胃痛地獄”に、いや、それ以上の地獄に、明日から引きずり込んでやろう。


 “矯正処分”で、マイナスだった精神状態と自己肯定感が、プラスに転じているのが幸いだ。


 メアリー百合妃殿下も少し機嫌を直したのか、「そうですわね。お土産もございますし」など、答えている。

 嫉妬の制御は、愛娘(まなむすめ)の見込み通り、中々のようだ。

 仲睦(なかむつ)まじくなって以降、初めて遭遇する、ソフィア薔薇(ばら)妃殿下とバカ(=王子)を目の前にしての言動を、確認しなければならないが。



「さあ、解団式を始めよう。

皆も苦労の汗を一刻も早く王国の湯で流し、王国のワインで癒されて欲しい」



 好青年となった、バカ(=王子)の呼びかけに、雑談していた団員が集まり始めた。


 〜〜〜*〜〜〜〜〜*〜〜〜〜〜*〜〜〜〜〜*〜〜〜


 翌日—


 バカ(=王子)の謁見を前に、クレーオス殿の報告に再度目を通し、確認すべき点の優先順位を決める。


 クレーオス殿は、“矯正処分”について、こう記していた。


『“矯正”と申しても、バカ(=王子)が、純真な“おバカ”になった程度。

つまりは王立学園入学後くらいで、あの性悪女と会う前に戻ったとお考えいただきたい。

可能な限りは“余計なモノ”を取り払った。あとは本人の努力と周囲の導き次第。

また、姫君に対しては、王妃陛下の長年の暗示による、非常に強い執着があった。ほぼはぎ取ったが、念のため、復活した際の手は仕込んである。

この点は別紙をご確認頂きたい』


 別紙は、難解な古代王国語で記されており、解読に時間を要したが把握し、国王陛下にも伝えた。

 クレーオス殿に深い感謝を捧げ、早馬に託した手紙にもその旨は記した。


 つまりバカ(=王子)の精神は、こと恋愛関連に関しては、真っ白に近く、帝王教育も仕上げ前の状態な訳だ。

 ここから、再度の立太子後に、中継ぎでも国王となれるか、種馬一直線かは、本人の努力次第という、スタート地点に立ち戻った訳だ。


 愛娘(まなむすめ)と国家を裏切った大きなマイナスから出発し、与えられた立ち直りの過程でさえ、エリーに対する執着からか、“余計なモノ”を自分で心に生み出し続けた。


 汚泥のような未練と後悔と欲望を、際限なく膨らませ、そこからさらに“余計なモノ”を産み、エリーへのどろどろした深すぎる執着の(おり)に、自分自身で(とら)われた。


 そしてよりにもよって、帝国で事件を引き起こした。


 クレーオス殿は、エリーへの(けが)れに近い執着を断ち切る“処置”もしてくれた。


 焦ることはないのだ。

 時間はまだある。ソフィア薔薇(ばら)妃殿下のお子は、来年の二月初旬が出産予定日だ。

 最悪でもそこまで()たせればいいだけだ。


 私は弔問団の報告後、完全に人払いされた謁見の間に向かった。


 〜〜〜*〜〜〜〜〜*〜〜〜〜〜*〜〜〜〜〜*〜〜〜


 国王陛下が壇上の玉座に座り、その傍に私が立ち、おバカ(=王子)が壇の下に立つ。


 国王陛下のお言葉から始まった。



「アルトゥール。

帝国の第三皇子ルイス殿下と婚姻し、帝国内でエヴルー“両公爵”の地位に就いておる、そちの義妹・エリザベス第一王女に対し、問題行動を起こした、と早馬で報告が来た。

ラッセル」


「はっ、まずは弔問団歓迎の晩餐会で、席を立たれたエリザベス殿下の後を、単独で追い、お花摘みから出てこられた殿下に対し、

『リーザ。運命の恋なんて、嘘だろう?たった1年も経たずに。一緒に王国へ帰ろう』

と発言した。


さらには黙秘していたエリザベス殿下を、大声で怒鳴りつけた。

それを目撃していた夫君・ルイス公爵閣下に、取り押さえられ、『これ以上近づくな』という警告に、『分かった、離せ』と返事をした上で解放された。

アルトゥール殿下。ここまでで、間違いございませんか?」


「ありま……せん」


 無駄に返事を引きずる。

 早速、自己憐憫癖が復活したのか、と思いきや、いきなり絨毯に座り込み、額をめり込むように、床につける。


 王国の海上民族に残る、古い謝罪の慣習“ドゲーザ”だ。


 海上民族が非武装化し、王国に属した際、使節団全員が、このポーズを取って以来、最大級の謝罪として知れ渡った。

 が、何度“ドゲーザ”しても追いつかないことを理解していない。


「エリザベス殿下とルイス閣下には、なんとお詫びしていいか、分からないことをしました。

さらには、エリザベス殿下が帝国の皇女母殿下の元をよく訪問していると、ソフィアから聞いていたので、そこで出会うために、皇女母殿下に嘘を付きました。

また、すぐに立ち去らずに楽しく話せるよう、城下で手に入れた怪しげな薬を、皇女母殿下の侍女長を騙し、二人に盛りました。

なんという事を仕出かしてしまったのか。

謝罪の言葉さえ、見つかりません。

私の、この取るにたらない命を、と思いましたが、帝国側は、エリザベス殿下のとりなしもあり、なかった事にしてくれました。

それは帝国側での裁きです。

父上の裁きを受けさせてください!」


 この長台詞の間も、“ドゲーザ”の姿勢は、ピクリとも変わらない。どこで練習してきたのか、これだけは見事だ。


 ただ、『裁きを受けさせてください』とは、まだ傲慢なことだ。

 『生命も含め、全てをお任せします』が、最低ラインだ。



「そうじゃな。死刑を何度繰り返しても足らぬ罪じゃ。

弔問団の団長として、帝国へ行き、その弔問した方の妻、皇女母殿下と、臣籍降下したとはいえ、第三皇子の妻に薬を盛るとは。

宣戦布告なしの、不意打ちの攻撃と取られても致し方ない。

その時は、そちの首を先頭に、帝国軍が我が国に侵攻し、焦土と化していたであろう。

この王国の王族として、死して余りある罪状じゃ」


 陛下が怒りのオーラを久しぶりに発散されている。

 帝国の皇帝陛下宛ての()び状を、しかも必要以上の言質(げんち)を与えずに書くのに、血を吐く思いだったのだ。

 当然だろう。

 エリザベスが調合した、胃痛向けハーブティーを喜んで飲んでいた。

 推敲した私もだ。



「申し訳ありません。ソフィアの子が生まれ次第、処刑願います」


 ここで陛下が私を見上げ、首をクイッと“ドゲーザ”を続けるバカ(=王子)に向ける。


 『ヤってしまえ』ということだろう。


 では、遠慮なく、ヤらせていただこう。



「アルトゥール王子殿下。まずはお立ちください。

陛下は“ドゲーザ”の姿勢をとる事をお許しになってはおりません。

“ドゲーザ”は、我が国の海上民族の、誇り高き謝罪の姿勢です。

他民族が勝手に行っていいものではございません」


「あ、も、申し訳ありませんッ」


すぐにぴょこんと立ち上がり、直立する。

ふむ、変な悲嘆癖で行った訳ではない、ということか。


「謝罪を態度で示されたいと仰せなら、貴婦人の取るお辞儀(カーテシー)をしていただきましょう。

エリザベス殿下は婚約時に、あなたに教えたと仰っていました。ここには三人しかおりません。

どうぞ、最大級の謝意の姿勢をお取りください」


「は、はい」


 戸惑いつつも、深いお辞儀(カーテシー)を行う。なかなか見事だ。

 エリーよ。このおバカ(=王子)に、『お辞儀(カーテシー)なんて楽なものだろう』と言われ、理解させたかったとはいえ、よく教えこんだものだ。


「では、尋問を続けます。

侍女長を騙す際、ソフィア薔薇(ばら)妃殿下にへ宛てた、エリザベス殿下からの手紙を使いましたね?

これは了承を得て持ってきたものですか?

それとも盗んできたものですか?」


「盗んできました」


 ほう。そのまま認めたか。

 机の上にあったから借りてきたんだ、なぞと世迷言(よまいごと)を口にしたなら、見えないところに鉄拳を加えようとしたのに残念だ。


「あの手紙は、ソフィア殿下の、あなたへの愚痴に付き合ったいつもの手紙ではなく、悪阻(つわり)に苦しむソフィア殿下を励ますため、例外的にあなたを褒めたものでした。

わざわざ選んだ、ということは、普段から私信を盗み見していた、という事ですか?」


「はい、その通りです!」


「その理由は?」


「エリザベスの文字と香りが懐かしく、犯行に及んでいました」


 自分から『犯行に及ぶ』と言うか。

 また気持ち悪い犯行を認めるにも、爽やかさを保持するとは。

 クレーオス殿、なかなかの腕前だ。


「では、城下で手に入れた薬物の代金は、どこから捻出(ねんしゅつ)したのですか?

安い買い物ではなかったはずです」


「母方の祖母から譲られた貴金属を渡しました。

端的に言えば金の指輪です!」


「端的にお答えいただいて結構です。時間の無駄だ。

それは形見の品と言うのでは?」


「はい、そうです!」


「で、どうしてそのような怪しげな場所を知っていたのですか」


「シャンド男爵令嬢達と遊んでいる時に、教わりました!」


「他にも薬物を手に入れ、使用したことはありますか?」


「ありません!」


 ふむ、本当に“真っ白”に仕上げたか。

 恥ずべき行いも、潔くと言うか、率直すぎるほど真っ正直に認めている。


 ここから帝王“再”教育で、統治者へ持っていけるかは、本人の努力と、教育者の腕の見せ所だな。


 今回以降は陛下にも時間の許す限り関わっていただこう。

 製造者責任だ。


「では、エリザベス殿下へのお気持ちについて、確認します。開戦理由にもなり得た問題です。

正直にお答えください。

未練はまだお持ちですか?」


「持っていません!お互いに結婚もしました!もう過去のことです」


 甘い!の一言だ。

 私は壇を下り、お辞儀(カーテシー)を続ける、王子の脇に立ち、丸めた報告書で、ポンポンと数度、頭の上で軽く弾ませる。


「それは帝国訪問時も同様です。それなのに、近づいて帰国を迫り、あまつさえ薬を盛った。

二度とこのような事されては、国家存亡の危機。

国を賭けた恋なぞ、恋愛小説に没頭しているような、このお花畑な頭の中だけにしていただきたい!

未練をお持ちでないと、私と国王陛下に示してください」


 ここで、バカ(=王子)に変化が見られた。

 顔つきが変わり、口調に激しく切迫感が加わる。



「それは、それは、とにかく思い切ったんです!

もう、好きでいてはいけない人なんですッ!

絶対に、忘れなきゃいけないんだ!

僕はもう、エリザベスを、リーザと呼んではいけない!

好きだと思ってもいけない!

そう、そう、母上の言うことは聞いてはいけないんです!

もう、エリザベスを愛しては絶対にいけない!

求めても絶対いけない!

探しても、大好きでも、絶対にいけない!

義妹として、適切な距離を保ち、礼儀正しく接することだけが、許されてるんですーーッ!!!

鈴が鳴る!鈴が!うるさい!鈴が鳴る!もう鳴らすな!

わかってる!わかってるから、()めろ!()めてくれーーーッ!!!」



 それまでお辞儀(カーテシー)を保っていたが、途中から頭を抱えて、体がぐらぐらと揺れ始める。

 最後にはバタリと倒れ、肩でハアハアと息をしていた。


 なるほど。この辺りが限界か。

 それでもよく仕込んでくれたものだ。


 国王陛下は驚きの目で見てはいたが、助けようとはされなかった。

 私も壇上の国王陛下の傍に戻り、直立した上で、穏やかに呼びかける。


「アルトゥール王子殿下。立ち上がってください。

お辞儀(カーテシー)の姿勢から。倒れることは命じてはいませんが、特別に猶予しましょう。

騎士団に(のっと)り、起立したまえッ!」


「はいッ!」


 先ほどの取り乱しようが嘘のように、ぴょこんと立ち上がり、姿勢正しく起立する。


 この後も尋問を続け、『鉄は熱い内に打て』の言葉通り、真っ白なおバカ(=王子)に、現実を再認識させた。

 涙は流さず、歯を食いしばって耐えていた。

 同情はしない。


 エリザベスは、お前の(けが)れた暗示と闘い、あの麗しい唇から、尊い血を流したのだから。

 本当に八つ裂きにしてもし足りない罪深さだ。



 陛下の結論は、ご自分も参加される、無期限24時間監視付き(ただし、正妃居室滞在時間除く)の帝王“再”教育の実施と、私が監修した“精神鍛錬メニュー”を全てこなす事だった。


ご清覧、ありがとうございました。

エリザベスと周囲の今後を書き続けたい、と思った拙作です。


誤字報告、感謝です。参考にさせていただきます。

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悪役令嬢エリザベスの幸せ
― 新着の感想 ―
[一言] まぁ流石にソフィアだけに子供ができた状態でこいつ居なくなるのはまずいからな…… 病死するにしても最低一人はメアリーに子供が生まれてないとだし、 現状の王家の血の細さから考えるともう一人ずつ位…
[気になる点] もう処刑しとけよ。子種さえこのレベルのゴミになりそうだし、宰相達の労働時間と血税の浪費だろ
2024/07/18 04:41 退会済み
管理
[気になる点]  バカという文字が何ヵ所あるのか数えました笑。18ヵ所あるようです。  これだけ心の中で唱えていたら、口からついて出そうです。アルトゥール王子殿下ではなく「バカ、立ち上がって下さい………
感想一覧
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