34.悪役令嬢の祖父母
テンプレな“真実の愛”のイジメ疑惑追求から始まった、エリザベスと周囲のお話—
※切りよく分割できず長めです(^^;;
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イジメ、暴力などについて、デリケートな描写があります。
閲覧にはご注意ください。
苦手な方は、戻ってくださいませ。
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エリザベスが幸せになってほしくて書いた連載版です。
これで34歩目。
引き続き、ゆるふわ設定。R15は保険です。矛盾はお見逃しください。
「エヴルーも活気が出てきてよかったわ」
「さようでございますね」
帝都へ向かう街道から、別方向で働く集団が眺められた。
エヴルー伯爵領から、ルイスとの結婚後、拠点となる、エヴルー公爵領 地 邸への街道工事である。
現在ある農道を、馬車が余裕を持って行き交える、言わば馬車二車線に歩行者用のスペースのある幅に、拡幅と舗装工事をしながら、延伸させている。
アーサーからの課題、エヴルー“伯爵領”の振興策だ。
陞爵した公爵領に合併される不安を和らげ、抵抗を無くし、一体感を高める効果も期待している。
そのため、工事に従事する労働者は、エヴルー伯爵領と、陞爵時に拝領予定の帝室直轄領から、農閑期の農民達を優先的に採用していた。
共に働き飲食すれば、気心も知れてくる。
今のところは順調だ、とのアーサーの報告だ。
アーサーにも今回の毒殺未遂事件は、ものすごく心配をかけた。
お説教は一切なく、エヴルー領 地 邸への帰還時に、執務室で、「ご無事で、誠に……」と言葉を詰まらせた、普段は能弁なアーサーに心を打たれた。
婚約式、陞爵の儀、結婚式を無事に終えるまで、領主としても落ち着いて、安全第一に行動しよう。
改めてそう誓いながら、帝都へ向かう馬車で、マーサとのいつもの時間を過ごした。
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「エリザベス、か?」
「こんなに大きくなって……」
タンド公爵邸で出迎えてくれたのは、領地からいらしていたお祖父さまとお祖母さまだった。
ここ、タンド公爵邸の肖像画では拝見していたが、お目にかかるのは初めてだ。
「はい。以前はエリザベス・ラッセル、現在はエヴルー伯爵を叙爵され、エリザベート・エヴルーでございます。
お祖父さま、お祖母さま、お会いできて嬉しゅうございます」
私は深くお辞儀をする。
お母さまに関して、非常なご苦労をされたに違いない。
顔立ちがそっくりな私を目の前にして、泣き出しそうだ。
「お義父様、お義母様。エリーもエヴルーから着いたばかり。少し休ませてから、サロンでお茶でもいたしましょう」
伯母様が間に入ってくださり、私はいつもの客室へ向かう。
マーサと相談し、お母さまの瞳の色に似た青いドレスに着替え、お二人に会いに行く。
「エリザベス。いや、今はエリザベートか。
エリーと呼んでも構わんか?」
「はい、お祖父さま」
「初めまして、エリザベート。アンジェラの母です。私もエリーと呼んでもよろしいかしら?」
「はい、お祖母さま。初めまして。呼んでいただけて、嬉しゅうございます」
お辞儀の後、席につき、少し落ち着かれたご様子の、お祖父さまとお祖母さまとお話しする。
エヴルーに到着してからお手紙は送ったが、儀礼的な範疇だった。
目の前のお祖母さまは、ひと口お茶を飲まれた後、涙をほろほろ流される。
「エリー。無事でよかった。王国で大変な目に遭って、エヴルーに無事に辿り着いて……。
あんなに小さかった子が、こんな綺麗に育って、本当に……」
ああ。この方々は、お父さまが贈られた、私の肖像画を見てるのだ。
生まれた時から、社交界デビューに至るまで、数年ごとに描かれた肖像画は、王国のラッセル公爵邸にある。
お父さまは、その小さなサイズをタンド公爵家へ贈っていた。
私はお祖母さまと視線を合わせ、ゆっくりと頷く。
「はい、お祖母さま。今はエヴルーで無事に暮らしています。ご安心ください」
お祖父さまは、お祖母さまに比べれば落ち着いていた。
「エリー。ルイス殿下との婚約、おめでとう。名誉なことだ。
ルイス殿下は、優しくしてくださってるか?」
「お祖父さま。ありがとうございます。
タンド公爵の孫娘として、恥ずかしくないよう、務めます。ルイス殿下は、とてもお優しくしてくださります」
「お義父様。ルイス殿下はすっかりご立派になられたんですよ。ウチでピエールと一緒に、遊んでいた時とは大違いです。会われたら、見違えます」
「ああ、今回の紛争でも勝利に導かれたと聞く。いつまでも子ども扱いはいけないな」
そうか。ピエールと遊んでいたから、このお二人とルイスは当然、面識があるんだ。
なぜか、不思議な気がする。
「ルイス殿下がお聞きになれば、きっとお喜びになります」
「お義父様。二人はとても仲がよろしいのよ。
お互いに、『エリー』『ルー様』と愛称で呼び合っているくらいなんですの」
「エリー。いつまでも仲睦まじく、健やかにな」
「はい、お祖父さま。お祖父さま達こそいつまでもお元気でいてください」
定番とも思われるやり取りの中、黙って私を見つめていたお祖母さまが不意に尋ねる。
「エリー。アンジェラは、王国で幸せでしたか?」
テーブルがしんと静まり返る。
私はベッドの上のお母さまが、私に向けた時のように、優しい笑みを浮かべゆっくり話す。
「はい。父と三人、幸せに暮らしていました。
共に生きられたのは短い時間でしたが、私と父はとても幸せでした。
父は母を深く愛し、亡くなった後も、母のことを、事あるごとに話してくれました。
苦労もありましたが、父は可能な限り、母を支え守りました。
母は幸せだったと思います。
ベッドの上でも、私を『宝物のエリー』と優しく呼びかけてくれました」
「そう、そう、でしたか。よかった。
アンジェラ、アニー……」
お祖母さまは、ぽろぽろと泣き始める。
お疲れもあり、不安定になっているようだ。
また、一番の理由は私だろう。
お互い悩み苦しんだ愛娘に似ている孫娘が、目の前にいるのだ。
過去と現在が、交錯しても無理はない。
私は伯母様と小さく頷き合うと、話を畳みにかかる。
「お祖母様。お疲れになられたでしょう?
お夕食までお部屋でお休みになられてはいかがでしょう?」
「そうね、そうするわ」
素直に頷いたお祖母さまに、お祖父さまが寄り添い、お部屋に向かわれる。
「お義母様。ここに到着した日、あの、アンジェラの肖像画を見て号泣なさったのよ。
その後も毎日、涙ながらに眺められて……。
お歳を召されて、お心が揺れやすいようなの」
「では、落ち着かれるようなハーブティーをお持ちしましょうか」
「それはいいわ。お願いしてもいい?」
「お任せください。伯母様」
お心が少しでも落ち着かれるといい。
お二人のせいではないのに、昔を思い出され、苦しい時もおありなんだろう。
私はかかりつけ医の許可を得た上で調合すると、祖父母付きの侍女に渡し、ハーブティーを入れるように頼んだ。
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その日の晩餐で、お祖父さまとお祖母さまは寡黙がちだったが、貴族として普通に振る舞われていた。
私は迫った新年の儀と婚約式に向け、打合せや手続きなどで多忙だった。
その日も全員そろった夕食で、食事と会話を楽しみ、客室でマーサのケアを受け休もうとしていた。
カツン、と音が聞こえた。
廊下を覗いてみると、お祖父さまが杖を突いて歩いて行く。
寒い日は膝が痛むと仰っていた。
こんな夜遅くに、と思い、ガウンに袖を通すと、マーサと共に様子を窺う。
お母さまの肖像画の前で立ち止まり、見上げている。
「……すまない。アンジェラ…。アニー……。すまなかった……」
お母さまへ詫びる声がかそけく響く。
私はマーサに頷くと、足を忍ばせ、お祖父さまへ近づいて行く。
十数歩のところで足音をさせると、お祖父さまが振り向く。
「お祖父さま。ここは冷えます。
私の部屋でハーブティーを飲みませんか?
温まってお部屋に戻りましょう」
「エリー、ああ……」
マーサが肩掛けをお祖父さまにかけ、寄り添うように私の客室へ誘導し、ソファーへ座らせる。
私はリラックスや安眠のためのハーブティーを選んで入れる。
「ハーブティーか。アンジェラも時折、飲んでいた」
「はい。こちらはお母さまのレシピに、私が手を加えました。
お祖父さま、どうぞ。蜂蜜もございます」
「アンジェラの……」
お祖父さまは意を決したように、カップを口に運ぶ。
「……これは、美味い」
青い瞳が見開く。ふとお母さまと重なった。
「ありがとうございます。お母さまがエヴルーにいらした時から、改良を重ねたものです。
今ごろは天上で、『やったわ』って仰ってますわ」
「クスッ、そうだなぁ。あれは負けず嫌いなところもあった」
「えぇ、そうでないと、ハーブのレシピの研究を、あれほど続けられないと思います。
当時は、天使の聖女修道院にある孤児院の子ども達のためでした……」
「孤児院の……子ども達……」
「もちろん、ご自分のお悩みのために始められましたが、あの時代の紛争で激増した孤児たちのために、でございます。
修道院の院長様がそう仰っておいででした。
子どもはまずいと中々飲んでくれません」
「そうか。そうだろうな……」
「おかげさまで、私に飲ませてくれたハーブティーは、どれも美味しいものでした。
そのレシピは、私と母を繋ぐ大切な絆です」
お祖父さまは、カップに蜂蜜を垂らすと、よくかき混ぜて味わう。
「……甘くしても美味い。絆か。
我々とアンジェラの絆は、私がボロボロにしたようなものだ。
娘を守ってやれなかった…。
妻はアンジェラが小さなころから、何かおかしいと訴え続けていたのに。
あの可愛さなら、無理もないと思い込んでいたのだ。
さすがに誘拐されかけた時は、肝が冷えた。
それも犯人が乳母。あれ以来、妻はアンジェラにつきっきりになった……」
「そのようなことがあったのですね」
「ああ。私は仕事で多くは聞いてやれなかった。
美しく可愛い娘を、自慢に思っていた。
それが物心ついたころから、子ども向けの集まりに呼ばれると、必ずトラブルが起こるようになった。アンジェラを取り合うのだ。
妻に言われ半信半疑で参加した時は、本当に驚いた。
男女を問わず、目の色が変わっていた。
だが普通の子達もいた。
それ以来、集まりには理由をつけて出ず、個人的な交際に絞った。
嫁もそのころからの友人だ。よく傍にいてくれた」
「伯母様ですね。今でもよく仰います。
お母さまと仲良しで、変なヤツらを蹴散らしてやったのよ、と」
「そうだな。世話になった。
帝立学園へ入学するころ、アンジェラは恐い、行きたくないと嫌がった。
しかしあの学園を卒業しなければ、帝国の貴族として生きてはいけない。
婿殿が調べてくれた、“天使効果”な。
あの時、我々もきちんと調べて、対策を立てておれば、アンジェラをあそこまで傷つけなかったと、本当に悔いておる……」
「父からその話は聞いてはおります。お祖父さま、無理をなさらないでくださいませ」
私は、お祖父さまが娘と面立ちが似た私に懺悔し、自分を責めているように感じていた。
「無理ではない。娘を思いやれなかった、最低の父親がここにいるのだよ、エリー。
私の親友の息子が、“天使効果”にやられてな。
それも重度のだ。
その息子の頭の中では、アンジェラと自分は恋仲で、それ以外の男も娘に好意を持っている、仲を裂こうとする、早く婚約したいと言い出した。
アンジェラに聞くと、幼児期は皆で少し遊んだが、今はあいさつを交わすくらいだと言う。
それを親友を通し息子に伝えたところ、可愛さ余って憎さ百倍だ。
アンジェラは男に色目を使う、自分も被害者だと言い出したのだ。
この時、アンジェラが登校したくないと言った時、私こそ学園に行き、アンジェラの正当性を訴え、抗議すればよかったのだ……。
それを、誇り高いタンド公爵家の娘ならば、と傷つき疲れていたあの子を追い立てた……。
その息子は高位貴族で、目鼻立ちもよく女子生徒にも人気があってな。男子生徒の取り巻きも多かった。
登校したアンジェラは散々攻撃され、多勢に無勢で言い返せず、男に色目を使う悪女などと、囃し立てられた。
ボロボロにされた学用品を持って帰ってきた日の顔が、今も忘れられん……。
親友と学園に厳重に抗議したが、『アンジェラに人気があるのは事実だ。何かしているのだろう』と言われる。
アンジェラの友人から聞き取れば、その人気とやらも、あいさつに答えたり、落としたものを拾ってやったり、次の授業は何かという答えをしただけだ。
それなのに、『恋人だ』『婚約してほしい』『親に紹介したい』などと付きまとい始める。
相手に婚約者や恋人がいれば、当然恨まれる。
その最悪の結果が、刃傷沙汰だった。
恨んだ者達が複数集まり、アンジェラが傷物になれば目が覚めて、自分との仲も元に戻るだろうと、巧みに呼び出してナイフを使った。
アンジェラの友人が気づいて、助けを呼んできてくれた時には、軽傷だが傷を負い、腹部にごく薄い傷跡が残った。
学校側も調査し加害生徒を処分したが、遅きに失した。
私もだ。
私にできることは、帝都にはもう居たくないというアンジェラを、学園と交渉し成績優秀により繰上げ卒業させた上で、療養のため、使用人を厳選したエヴルーに送ってやることくらいだった……」
自分の親友の息子が、愛娘を散々に侮辱し貶めた。
そこから始まった悪夢のような抜け出せない連鎖に、私の学園生活をどうしても重ねてしまう。
お母さまの辛い想いに、自分が重なった。
だが、お祖父さまとお父さまが違うように、お母さまと私も違うのだ。
「お祖父さま。お母さまがその辛さを経験したからこそ、エヴルー、そして王国へ行き、幸せになったかは、私にはわかりません。
お母さまはお母さま。私は私、だからです。
その時のお母さまの想いは、お母さまだけのものです」
「エリー……」
「でも、隣国への使節団へ入れてくださらなければ、お父さまとは出逢えず、私も生まれませんでした。
その点は感謝しています」
「………………」
「私が完璧な孫ではないように、完璧なお祖父さまでなくても、私はお祖父さまが好きです。
お母さまをこんなに愛してくださって、嬉しいと思っています」
「エリー、私は……。アニーを、愛しい娘を守れなかった……」
「お祖父さま。その分、お父さまが、お母さまを守り抜きました。
それでも足りなかった。もっとできたはずだ、と申しております。
愛とは限りがないものなのですね。
今、お祖父さまと話して、お父さまを思い出しました。
お二人とも、とてもよく似ています」
「私と婿殿が……」
「はい。お会いになれば、きっと意気投合なさいます。
お母さまをこれだけ愛したお二人ですもの。
お父さまが知らないお母さまを、教えて差し上げてください。
お父さまもきっとそうなさいます。
そんなお二人を、お母さまもきっと、お喜びになるでしょう。
そんなところまで、と恥ずかしがるかもしれませんが……」
「アンジェラが、確かにな……」
「さあ。お祖父さま。おやすみなさいませ。
きっと夢でお母さまが、お待ちになってます。
心ゆくまでお話しくださいませ」
「エリー。ありがとう、エリー。
お前の眠りに、天使の幸いが訪れますように。
おやすみ」
「お祖父さま、おやすみなさいませ。
天使の幸いが訪れますように」
お祖父さまが、幼子の眠りを守る聖句を仰ってくださる。マーサと二人、お祖父さまをお見送りした。
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翌日の午後—
私はお祖父さまとお祖母さまをサロンでお迎えした。
白い花嫁衣装を纏った姿でだ。
お母さまが、お父さまとの結婚式で着た品だ。
お父さまが、お母さまのパリュールと共に送ってくれていた。
お母さまの遺言に、
『機会があれば、私が幸せだった証である花嫁衣装を、両親に見せて欲しい。帝国では心配をたくさんかけたので、安心してほしい』
と記されている、とお手紙にあった。
本当は折を見て、手に取っていただくつもりだった。
お母さまとほぼサイズが一緒で助かった。
それでも必要な調整をしてくれたのは、伯母様が指揮してくれたタンド公爵家の優秀なメイドさん達だ。
忙しい中、本当にありがとう。
私の隣りには、近衛の騎士服を着たルイスもいてくれる。
伯母様が連れてきてくれたお二人が、私に歩み寄る。
「エリー、エリーか。これは?いったい?」
「お祖父さま。これはお母さまの結婚式の花嫁衣装です。ご遺言に、『いつかお二人に見せて欲しい。私が幸せだった証だから』とあるそうです。
お父さまが送ってくださいました」
「アンジェラが……。私達に……」
「はい。様々な事情から、婚約式と結婚式を一緒にしたような、それも、招待客もごく限られたお式でしたが、お母さまは安全に守られて、とても幸せだったそうです」
お父さまは、お母さまの“天使効果”によるトラブル回避のため、慣例などは全く考慮せず、お母さまの安全第一に、結婚式を挙げられた。
「この白い花嫁衣装も、お母さまのご希望で、王国で、お父さまの側で、新たな生活を始めたい、というお気持ちで選ばれたそうです。
遺言には、『帝国では心配をたくさんかけたので、安心してほしい』ともあります。
お祖父さま、お祖母さま。これがお母さまのお気持ちです」
「アンジェラ……」
「アニー……」
私はお母さまの気持ちが伝わるように、と、お祖母さまとお祖父さまを、そっと抱きしめる。
お二人は何度も頷き、切なさと嬉しさが混ざった微笑みを浮かべる。
私はゆっくり離れ、お二人に深くお辞儀をする。
「お祖父さま。お祖母さま。
お母さまは王国で、お父さまと、そして私と、幸せに生きました。
お母さまを生んで育ててくださって、ありがとうございました」
姿勢を正し、にこやかに、はっきりと伝える。
「エリー……」
「…………私たちこそ……」
「そして、私は、ここ帝国で、ルイス様と共に生きていきます」
ルイスの手を握り見上げると、ルイスは小さく頷き、あの日、肖像画のお母さまに告げたように、お二人に伝えてくれた。
「先代公爵、公爵夫人。
私はエリーを必ず幸せにします。いえ、二人で共に幸せになります」
「ルイス殿下……」
「ルイス殿下、ありがとうございます。エリーをよろしくお願いします……」
お二人も私達に微笑んでくれる。
「まあまあ、婚約式の先取りのようなこと」
「本当だな。エリーがアンジェラの花嫁衣装を着るとは。ラッセル殿が見られずに、今ごろ悔しがっているだろう」
「さようでございますね」
伯父様と伯母様の嬉しそうな声が響く。
お祖父さまとお祖母さまも楽しそうに笑っている。
『お父さま、お母さま、どうかお幸せに』
と、お母さまの声が聞こえたような気がした。
ご清覧、ありがとうございました。
エリザベスと周囲の今後を書きたい、と思った拙作です。
誤字報告、感謝です。参考にさせていただきます。
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