181.悪役令嬢の親族達
テンプレな“真実の愛”のイジメ疑惑追求から始まった、エリザベスと周囲のお話—
エリザベスの幸せと、その周囲を描きたいと思い書いている連載版です。
ルイスと小さな小さな家族との生活としては、57歩目。
引き続き、ゆるふわ設定。R15は保険です。矛盾はお見逃しください。
「あの音は、花火型の狼煙でしょう?ルー様、どうして?」
私がオリヴィアを産んだとき、まだ日差しは明るかった。
後産と処理も済み、クレーオス先生からひとまず無事に出産できたと診断され、オリヴィアと名付け、初乳もすませるころには、冬の太陽は沈み夜の帳が下りていた。
疲労から眠気が襲う中、聞き覚えのある音が響く。
「ああ。女の子が生まれた時はオレンジ色を7発上げることにしておいたんだ。
さっき早馬も出したが、タンド公爵も夫人も母上、帝 都 邸の皆も、少しでも早く知りたいだろう?
大丈夫、周辺とウォルフには許可を取ってる」
早馬は聞いていたが、狼煙は知らない。いったいいつ追加されたんだろう。
「狼煙で知らせるって……。少し大袈裟じゃないかしら?」
「訓練の一環だと思ってくれたらいい。
この領 地 邸の皆のように、安心して喜んでもらいたいんだ。
知らせないと、さらに数時間、祈り続けるだろう?」
言われてみれば、その通りだ。私の旦那様は本当に頼もしい。
「ああ、そうね……。そうだわ……。ごめんなさい。そこまで……。考え……およばなくて……」
「しばらく眠るといい。オリヴィアにはもう乳母と世話係がついてる。安心だよ……」
「あり、がと……」
私を見つめるとろけそうに甘い瞳が近づき、額と頬に唇を落としてくれる。その温かい感触に安心し、あちこち痛む身体を眠りが包んだ。
ルイスはオリヴィアの初乳が終わると、クレーオス先生の再度の診察後、マーサ経由で乳母と世話係に預けた。
出生後の養育のために敷かれていた万全の体制が、早速動き始める。
女児誕生、私の産後の診断確認、ルイスの名付けを待っていたアーサーは、エヴルー騎士団副団長へ、花火型狼煙の打ち上げ、各所への早馬などを依頼する。
オレンジ色の花火型狼煙が上がる中、早馬が続々と出立する。
近くは天使の聖女修道院、旧エヴルー伯爵邸、元直轄領住民代表者宅、遠くは帝都、エヴルー帝都邸、タンド公爵邸、皇城内帝国騎士団本部などだった。
領 地 邸内は、女児誕生が知らされた時点で喜びにあふれる。
続けての、私の無事、名付けの度に、笑顔が満ちていた。
アーサーは眠りに就いた女主人を起こさないように気遣いながらも、使用人食堂での夕食時の祝杯を許可する。
昼番の使用人はエールやワインで、夜番の使用人はハーブティーや温めたスパイス入り葡萄ジュースで乾杯を繰り返していた。
天使の聖女修道院でも、院長様の発表で、シスター様達が喜び、子ども達が歓声を上げ、夕食には差し入れられていたワインと温めた葡萄ジュースが付いたという。
領内各地も同じように、エヴルー“両公爵”家の新たな命の誕生を祝福し、万歳や乾杯の声があちこちで上がっていた。
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一方、花火型狼煙を確認した、帝都邸のエヴルー騎士団はタンド公爵邸へ、帝国騎士団は皇妃陛下へ、『女児誕生、母子共に無事』の一報を知らせる。
早馬で出産に入ったことを知らされていた帝都邸内に、命じられた騎士が「女のお子がお生まれだ!公女様がお生まれだぞ!エリー様もご無事だ!」と大声で触れ回りながら、執事長の執務室へ行き報告する。
邸内が喜びに湧き立つ中、悪阻中もその後も、女主人の食事に心を砕いていた料理長は、嬉しさのあまりしばらく号泣していた。
タンド公爵邸では、公爵夫妻を筆頭に、家族全員が、母子の無事な出産を祈りつつも、じりじりしながら待ち構えていた。
そこにエヴルー帝都邸から使者が駆けつける。
「狼煙の通信によると、女児ご誕生、エリー様も母子共にご無事とのことでございます!
詳報は早馬が参る手筈です」
「まあ、女の子ですって!」
「女の子か。エリーに似てるのか、ああ、まだわからぬな」
「無事なのですから、屋敷の皆に知らせましょう。
“中立七家”へは、名前もわかった上だから明日ね」
「皆に酒を振る舞え!実にめでたい!
アンジェラの孫が、あの子の孫が、生まれる、とは……」
「あなた……」
公爵の青い瞳がみるみる潤み、手を当て言葉が途切れる。“天使効果”に悩まされ、結婚さえ絶望視された妹の孫の誕生は、苦労を見てきただけに喜びもひとしおなのだろう。
夫人もしばらく寄り添ったあと、明るく振る舞う。
「……あなた!屋敷の皆、お義父様やお義母様、ピエール達やハンナに知らせないと、アンジェラから笑われましてよ。
男の子か女の子か、エリーは無事かどうか、気にしてますの」
「そうだな、その通りだ。
知らせ、ご苦労だった。詳細もよろしく頼む」
「はっ!かしこまりました!」
帝都邸からの使者に祝儀を手渡すと、執事長を呼び、屋敷の皆へ知らせるように伝える。
そして夫人はアンジェラの肖像画の前に立つ。
「アニー、あなたの孫が生まれたのよ。おめでとう。
ふふ、私より少しだけ早くおばあちゃんになったわね。
そちらに行ったら、どんなに可愛いかお話ししてあげるわ。楽しみに待っててね」
神の御許で安らかに過ごしているだろう親友に語りかけると、引き続き療養のため滞在している先代公爵夫妻を始めとする家族に知らせるために、いそいそと歩み始めた。
感慨無量に浸っていたタンド公爵は、やるべき事を思い出す。
大聖堂へ祈祷の御礼と共に、安産を報告する使者を出し、在帝国ラウリカ王国大使館にも伝える。
そして、義弟・ラッセル公爵への“鳩”の通信文の作成に早速取り掛かった。
この夜のタンド公爵家での晩餐では、豪華な料理が並び、公爵は“とっておき”のワインの杯を息子ピエールと重ねた。
熊から襲われた傷痕の形成手術を終え退院したばかりの先代公爵は、ひ孫の誕生を祝うため、そこに加わろうとする。
「あなた?先生から飲酒の許可がまだ下りてませんのに、何をお考えですか。エリーに叱られますわよ」
復活してしっかり者となった妻からぴしゃりと指摘され、それも笑いを呼ぶ。
二人とも無事なひ孫の誕生に目を細め、スパイスを加え温めたホットワイン風葡萄ジュースで乾杯する。
いずれも妊娠中の嫁二人も同様に、自分達に先駆けての安産を祝う。
公爵夫人は夫とのワインはほどほどに付き合い、食後も愛飲のブランデーをご機嫌で嗜んでいた。
そして、数時間後の詳報で知らされた『オリヴィア』という名前や容貌を確認すると、酔っ払っている夫や息子を尻目に、早速、祝いの品を候補の中から選び始めた。
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「生まれたのね!エリーは?無事なんでしょうね?!」
皇妃陛下が珍しく興奮気味に、ウォルフに問いかける。
「はい。事前に取り決めた『女児誕生。母子共に無事』の狼煙でしたので、エリー閣下もご無事です。ご安心ください。
お名前などは早馬の使者が知らせる手筈です」
陣痛開始の一報が来てから、半日以上、時間がかかるとわかってはいたものの、皇妃陛下は今か今かと待っていた。
待望の知らせだ。
喜びと共に少し脱力してしまう。が、すぐに気を引き締めた。
「ふう…………、本当によかったこと。
出産は命がけですからね。無事が何よりだわ。
ウォルフ、陛下にはこれからお知らせするのよね?」
「はい、まずは皇妃陛下に、と思いまして」
「そう。陣痛の始まりを知らせてないから驚かれるでしょう。
大聖堂の、帝都中の鐘を鳴らすぞ、とか言い出したら、絶対に止めてね。よろしく頼みます」
「かしこまりました。詳報が届きましたら、またお伝えに参ります。失礼します」
皇妃陛下も皇女母殿下や第五皇子第四皇子両殿下に知らせ、そして予定通り祝いの晩餐になったと料理長に伝えるよう、侍女長に命じる。
祝いの晩餐の用意だけは秘密裡に命じていた。どちらに転ぶか、本当にわからないためだった。
そして事前に考えていた祝いの品の候補リストを前に、手紙の下書きを楽しそうに始めた。
主君の許へ急ぐウォルフ自身も、気分が高揚していた。
“あの”ルイスが、我が子のような、弟のような、手塩にかけた弟子でもある、あのルイスに、子どもが生まれたのだ。
女は要らない、命じられて婚姻しても“白い結婚”だと話していたルイスの結婚に続いての子どもだ。
副騎士団長には出る前に伝えた。
今ごろ非番の者を中心に、食堂は祝いで盛り上がってるだろう。
「女の子か。アイツ、可愛くて仕方ないに違いない。どっちに似ても美人は間違いないだろう」
小さく呟きながら、主君の執務室を訪ねる。
陣痛の一報は皇帝陛下には知らせてなかった。
仕事が手につかなくなるのが目に見えていたためだ。
面会を秘書官に申し込み、すぐに通される。
「ウォルフ、どうした。急ぎの知らせとは?」
「はっ、エリー閣下とルイスとのお子様がお生まれになりました。
女のお子様、公女様です。母子共にご無事とのことです」
「は?」
皇帝陛下が固まる。珍しい。
陣痛の始まりを知らせていなかったから当たり前だ。
それでも驚きに理解が追いついたようで、すぐに問いかけてくる。
「なんだと?!いつ、生まれたのだ?!」
「つい先ほどです。狼煙で知らせてきました。名前などは早馬で伝えてくれる手筈です」
「出産には時間がかかるのだぞ。もっと早く知らせれば、大聖堂で無事を祈ってもらったものを」
「ああ、ルイスはきちんと早馬を送ってくれましたよ。
陛下にお知らせしなかったのは、皇妃陛下のご判断です。
お仕事が手につかなくなるだろうと。
ついでに言うと、安産のご祈祷は皇妃陛下が大聖堂にお願いし、公になってからは毎日行っておりました」
この言葉を聞き、皇帝陛下は愕然とする。
「な、なんと?!皇妃が?!祈祷も儂にはひと言の相談もなく……。
おおっ!そうじゃ!大聖堂の鐘を鳴らそう!儂の孫の誕生ぞ!
女の子か、うむうむ。どちらに似ても可愛かろう。賢くもなりそうだ」
皇妃陛下の読みどおりの主君の言動に、つい口角が上がりそうになるが、ここは抑えないとならない。
「鐘は無理です。ルイスは臣籍降下した身ですよ。
生誕時の鐘の祝福は皇族のみです。
また余計なことを言われかねない。
それよりも皇妃陛下と祝いのお手紙と品物のご相談をなさってください」
「ルイスは臣籍降下しても、エリーは王国の第一皇女殿下ではないか」
「もちろん王国では鐘を鳴らしてお祝いなさるでしょう。
帝国ではエヴルー“両公爵”閣下という、臣下のご身分です。ご自分でも常に繰り返し仰ってるではないですか」
「……鐘はならぬのか?
大功を立てたエヴルー“両公爵”の子だぞ?」
それでもねばる皇帝陛下に、ウォルフは明るい調子でざくざく苦言を繰り返す。
「だから“余計に”ならぬのですよ、陛下。
うるさい奴らが文句を付けないように振る舞ってください。孫にも嫌われますよ」
「……うむ、仕方ないの。しかし帝都民にはどうやって知らせるのだ?皆、待ちわびていると聞くぞ」
「新聞が一番です。詳報の早馬が来たら、記事にするよう伝えておきます」
「新聞のう、鐘のほうが伝わると思うが、まあよい。
ところで、子どもの名は?容貌は?髪や目の色はどうなのじゃ?」
「狼煙の通信です。今はまだ『女児誕生、母子無事』とのみ。名前など詳細は今ごろ早馬がこちらへ向かっているでしょう」
「あい、わかった。ふむ。やはり“帝都・エヴルー間特別道路”は必要だ。少しでも時間が掛からぬようにせねばならぬ。無理のない範囲で工事を急がせよう。
おう!そうじゃ!ウォルフ!
儀礼官に命じて公告を出そう。
儂と皇妃の祝いの言葉と共にじゃ。これなら許されるであろう?」
ウォルフは『ほう?』と心中思う。儀礼官にはこの後、知らせに行く予定だったのだ。
工事についても常識的な範疇だろう。
「承知しました。では皇妃陛下とのご相談事が、また一つ増えましたね。どうぞ、ごゆっくりお考えください」
「うむうむ、今日は祝いの晩餐にしよう。
後宮に使いを出せ。どれ、こうしてはおられぬ。一刻も早く務めを終わらせるぞ」
皇帝陛下みずから、補佐官を促すという珍しい光景を後に、ウォルフは儀礼正しく退出した。
「一晩付き合え」という命令も出ずにほっとする。今夜はエヴァとも祝杯を上げたかった。
後宮に向かう前に、自宅のエヴァにも使いは出した。
妊娠中のエリーへの対応に怒り心頭となり、新年の晩餐に実家に戻った愛妻の許に、ウォルフは7日間通った。
最後に騎士の振る舞いを誓い、再度の求婚をしやっと帰ってきてくれたのだ。
目をかけて可愛がっているルイスとエリーの子どもの誕生を聞けば喜ぶだろうし、詳報が届けば、明日にでも『帝国騎士団婦人会』の連絡網でも伝わるだろう。
喜びの雰囲気が満ちている騎士団本部へ、ウォルフは足を踏み入れる。
予想通り、行き交う者から次々に祝いの言葉が投げかけられる。
——アイツのこの次の出勤は大変だぞ。
しばらく先に、手ぐすねを引いて待ち構えられ、ほぼ全員から祝われるだろうルイスを想像し、ウォルフは楽しそうに笑いを浮かべた。
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数日後——
帝国からの“鳩”による、『陣痛開始』の報せを受け、待ち続けていた、父・ラッセル公爵の許にも、『女児出産』の続報が届いた。
母子共に無事な出産で、愛娘の経過も順調だとある。
妻のようにならず、ほっと胸を撫でおろす。
ルイスがオリヴィアと名付けた、とある。
瞳は青く金髪で、目元はルイスに、鼻筋や口許は愛娘に似ているらしい。
「青い瞳か。ルイス殿譲りか、アンジェラ似か、会った時が楽しみだ。
オリヴィア、オリヴィア・エヴルー。良い名だ。
オリヴィア・ラッセルでも良い名だな」
後半の慨嘆に我ながら苦笑してしまう。
婿のルイスからの手紙が待ち遠しい。
もちろん娘からが一番だったが、産後の身だ。決して無理をしてほしくはなかった。
解読した通信文を何度も読み、思わず目が潤んでしまう。妻の出産を思い出し、あの苦しみを見事乗り越えた我が子を讃え、抱きしめたかった。
思い起こす最愛に生き写しの娘の最後にあった姿を思い出し、涙が浮かぶ。
振り切るように、久しぶりに娘の部屋に入った。
帝国に旅立った時と、元婚約者から贈られ売却した衣装や宝飾の類い以外は全く変わらない。
ここで18年間過ごした娘が、帝国に行った3年で母親となったのだ。
なんとか機会を作り、孫のオリヴィアにも会いたい。
祝いの品の調整が必要だ。かぶらないようにしたいが、ライバルはてごわい。
何せ帝国の皇帝夫妻なのだ。後見役、親代わりのタンド公爵夫妻も考えているだろう。
いかにして交渉するか、今から楽しみだ。
エリーとルイスの子にふさわしい品物の用意は、すでにいくつかしてある。
楽しい悩みだ、とついゆるむ口許も引き締め、最愛の妻・アンジェラの絵画の前でも報告した。
王城に上がり、国王陛下に面会を申し入れ、人払いの上、出産の詳報を知らせる。
「では、予定通りに進めよ」
「承知しました。王妃陛下は?」
「薬を飲ませてぐっすり眠っておる。鐘の音を聞いても、夢の中の出来事だと思うだろう」
「知るのは一日でも遅いほうがようございます。
祝賀行事も高位貴族の晩餐会のみで願います」
「ああ、そのつもりだ。では、鳴らすぞ!」
国王陛下は補佐官を呼び、大聖堂の鐘を鳴らし、エリザベス第一王女殿下に娘・オリヴィア王女殿下が生まれた事を告知せよ、と命じる。
そして、またラッセル公爵との密談に戻る。
高らかな鐘の音が聞こえてくる。気分は実に爽快だ。
「レオ、我が孫の誕生でもある。めでたきことだ。
ふむ、オリヴィアか。良い名だ。
オリヴィア・エヴルー、オリヴィア・ラウリカとなっても良い響きではないか?」
「残念ながら、それは決してございません。第一子でエヴルー“両公爵”の跡取りです。
また次子が生まれたとしても、王妃陛下とアルトゥール殿下がご存命の間は、ご無理というもの。寝た子を叩き起こす気ですか?」
爽快さに水を差され、眉間に皺を刻む。
国王陛下も失言をすぐに撤回する。
「ああ、すまぬ。そうよのお。
帝国からは、マルガレーテ姫とフレディとの縁談の瀬踏みが来ているしの」
「大変喜ばしいことかと存じます。どうかオリヴィア殿下のことは、国王陛下“のみ”の孫として可愛がってくださいませ」
「うむ、あいわかった。
晩餐会は2日後に開催すると儀礼官に伝えよう。
今宵は付き合え。とことん飲もうぞ」
「……かしこまりました」
ラッセル公爵は、『最愛のアンジェラの肖像画の前でゆっくり飲みたかったのだが、主命となれば仕方ない』と思い、承知する。
長い付き合いですぐに悟られる。隠してもいないので当たり前でもあった。
「なんだ、その間は?不服か?」
「いえ、とんでもない。実祖父と義祖父、二人の祖父の酌み交わしは、なかなか乙でございましょう」
「そうであろう、そうであろう。うむ、エリーの娘か。可愛いであろうなあ」
「もちろんです。アンジェラの孫で、エリーの娘ですよ。可愛い以外の何ものでもありますまい。
さらには国王陛下の御孫姫。
害する者がいれば、私が切って捨てて進ぜましょう」
緑の瞳に冷たさがよぎる。本気の証だ。しかし国王陛下は止めずに乗ってきた。
「その時はよろしく頼む。
うむ、帝国にもその旨を伝えておかぬとな。
我が孫だ。軽んじられては困る。縁談を勝手に決められても困る、とな」
「最後のお言葉、特によろしくお願いいたします。
“あの”エヴルー“両公爵”家の次代の配偶者です。
国内外の王族・貴族が売り込みにかかるでしょう」
「ふむふむ、ならば一層、我ら二人で守ってやらねばなるまい」
「そのご覚悟、大変ありがたく存じます」
二人の母方の祖父はその後、夕食も共にし、孫の誕生と娘の快挙を乾杯で祝福し賞賛する。
新しく揃え直しておいた国王陛下の銘酒コレクションは、ラッセル公爵の喉をまたしても潤し、翌朝にはかなりの空き瓶が並ぶこととなった。
ご清覧、ありがとうございました。
エリザベスと周囲の今後を書き続けたい、と思った拙作です。
誤字報告、感謝です。参考にさせていただきます。
★、ブックマーク、いいね、感想などでの応援、ありがとうございます(*´人`*)
●このたび、ネット小説大賞運営様より、大変光栄なお申し出があり、インタビューを受けさせていただき、がんばってお話しました(⌒-⌒; )
とてもお恥ずかしいですが|•ω•。)"…
詳細は活動報告【インタビュー記事掲載のお知らせ】をご覧ください(https://x.gd/zdtHZ)
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コミカルなファンタジーを目指した作品を連載中。
精霊王、魔術師とその養娘を中心にしたお話です。
【精霊王とのお約束〜おいそれとは渡せません!】
https://ncode.syosetu.com/n3030jq/
序章後の1話からは、魔法のある日常系(時々波乱?)です。
短めであっさり読めます。
お気軽にどうぞ。
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