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113.悪役令嬢の閲兵式(えっぺいしき)

テンプレな“真実の愛”のイジメ疑惑追求から始まった、エリザベスと周囲のお話—



エリザベスの幸せと、その周囲を描きたいと思い書いている連載版です。

ルイスとの新生活としては、これで51歩目。

引き続き、ゆるふわ設定。R15は保険です。矛盾はお見逃しください。



「こうしてみると、やっぱりかっこいいわね」


「実際に着ていただいて、動く姿を見ていると、改良案が次々と生まれてきますわ」



 帝都の皇城へ向かう大通り沿いのホテル、2階のバルコニーに、伯母様と私、そしてマダム・サラがいた。


 お二人は儀礼服の確認、私は全体的な騎馬行進、主に軍楽隊との同調の確認である。



 帝都壁門からエヴルー公爵家帝都邸(タウンハウス)まで、事前に許可を得ての、エヴルー騎士団の帝都入場行進だ。

 指定された大通りのこの時間帯は、一般の馬車や馬の往来は禁止され、エヴルー騎士団が堂々と通っていく。


 帝都民にとっては、正式には初お目見えだ。


 

 青空の下、ドラムは高らかにリズムを刻み、ラッパとホルンで旋律を奏で、大通りから帝都へ響いていく。

 今のところ、行進もリズムに合わせ、中々上手くいっている。


 曲目は帝国国歌、聖歌、エヴルー領歌(りょうか)を繰り返す予定である。



「こうした騎馬での行進って、胸が躍りますわ。

ほら、子ども達も走って着いて行こうとしてて」


「エリー様、まもなく……」


 控えていたマーサが私に声をかけてくれる。


「そうね。そろそろ下に降りないと、置いてきぼりになってしまうわ。

伯母様、マダム・サラ。また後でお会いしましょう」


「えぇ、エリー。楽しみにしてるわ」


「私も、でございます」


「では、一旦失礼します。ごきげんよう」


「ごきげんよう」「お気をつけて」



 私は小さくお辞儀(カーテシー)をすると、護衛と共に移動し、ホテルの正面に停めていた、エヴルー公爵家紋章入りの馬車に、マーサと共に乗り込む。

 そこには、クレーオス先生が待っていた。


「姫君、いいタイミングでございますぞ。

ちょうど最後の列が行くところじゃ」


「エリー様。お早くお座りください。交通規制が解かれたら、付いていけなくなります」


 私が急いで座ると、マーサが御者に合図し、馬車は行進の一番最後に付く。


 車窓を開けると、「エヴルー公爵家の馬車だ」「エリザベス閣下か?」「ご夫君と共にって仲がいいねえ」などといった、帝都民の声が聞こえてくる。


 私が優美に微笑み手を振ると、わあっと歓声が上がる。

 帝国民の好感度は高いに越したことはない。


 私は貴族街に入り、見物の観衆がいなくなるまで、手を振り、微笑みを絶やさなかった。



 〜〜〜*〜〜〜〜〜*〜〜〜〜〜*〜〜〜〜〜*〜〜〜



 行進はエヴルー公爵家帝都邸(タウンハウス)へ入っても続き、訓練所の馬場へ向かっていく。


 そこには、帝都邸(タウンハウス)を守っていた、帝都駐屯隊が、儀礼服で馬に(またが)り整列して、本隊を待っていた。



 先頭は帝都邸(タウンハウス)副団長だ。


 ルイスが指示を出し、軍楽の演奏は止まり、ラッパが高らかに鳴る。



「帝都駐屯隊!出迎え、ご苦労!」


「はっ!ルイス団長閣下!お待ちしておりました!」


「それでは、本隊は休憩に入れ!

帝都駐屯隊は訓練に移る!

軍楽隊、前へ!」


『はっ!』


「壁門からここまでの演奏、見事だった。

4日後の閲兵式(えっぺいしき)での演奏を許可する!」


『ありがとうございます!』


 見守っていた本隊からも、『お〜』という喜びのざわめきが洩れるが、鬼団長となっているルイスは容赦しない。



「今、軍楽隊以外で声を上げた者!誰が発言を許した!

閲兵式(えっぺいしき)では、緩んだ態度は絶対に見せられない!

エヴルー騎士団の誇りに関わる!

声を出した者は、儀礼服から訓練服に着替えた後に、訓練所の周回、10周を命ずる!」


『はっ、申し訳ありませんッ!』


「軍楽隊、帝都駐屯隊の訓練に加われるか否か確認したい。

無理をして、本番に支障を来たしては、本末転倒だ」


「団長閣下!自分たちはまだまだやれますッ!」



 馬車を降りて、見学していた私が声を上げる。


「ルイス団長閣下!エリザベス顧問の発言の許可を求めます!」


「エリザベス顧問の発言を許可する!」


「軍楽隊については、クレーオス先生の確認を願います。

手指や唇の状態如何(いかん)では、許可は出せません。

閲兵式(えっぺいしき)のためです」


「了解した!クレーオス先生、よろしくお願いします!」


 同じく馬車から降りて、にこにこと様子を見守っていたクレーオス先生が、前に出て、軍楽隊のメンバーを診察していく。


「ほいほい。任されましたのお。

ふむふむ、ずっと演奏し通しだったからの。

あと、1時間といったところじゃ。

シャワーを浴びた後、唇には軟膏を塗り、筋肉痛には湿布を貼ること。必ずじゃ。

晴れ舞台にいいとこを見せたいじゃろ?」


『はっ!了解です!』


「クレーオス先生。診察ありがとうございます。

彼らは1時間後には、必ず終了させます。

では、訓練を始める!

まずは、軍楽抜きの状態を見せてもらおうか」


 私はマーサに日傘を渡され、しばらく見学し、軍楽との相性の良好さを見届けた後、帝都邸(タウンハウス)へ戻った。


 〜〜〜*〜〜〜〜〜*〜〜〜〜〜*〜〜〜〜〜*〜〜〜



 その夜—


 エヴルー帝都邸(タウンハウス)では、タンド公爵一家、伯父様と伯母様、従兄弟達夫妻、マダム・サラを招待し、晩餐会(ばんさんかい)を開いた。


 帝都邸(タウンハウス)晩餐室(ばんさんしつ)で、食事をするのは初めてだ。

 いつもは、定員6名ほどの朝食室で食事をしていた。

 ルイスも私も距離感の近さを好んでいた。クレーオス先生もだ。



 晩餐室(ばんさんしつ)の天井は、漆喰(しっくい)彫刻の花や草木の模様に華やかに彩色され、蔓草(つるくさ)に花の(つぼみ) のような照明が吊り下がり、落ち着いたオーク材の部屋とあいまって、森のような空間だ。


 タンド公爵家の人々にマダム・サラを、ルイスと私がもてなす。

 そこにクレーオス先生もお洒落にタキシードを着こなして加わり、マダム・サラをエスコートしていた。


 私はマダム・サラにお願いした、『エヴルー・シリーズ』とも言うべき、ドレスを着て、ゲストをお迎えする。

 ルイスの瞳の青に近い生地に、小麦の穂を地模様に織り込んだ、Aラインの上品なドレスだ。

 今夜は金髪をハーフアップで下ろし、宝飾はエヴルー公爵家紋章の金細工で揃えている。


 この青い生地に、地模様を織り込むモチーフは、他にはハーブの花、カモミールやローズマリー、ラベンダーなどがあり、すでに数着ドレスに仕立てている。

 言わば、この『エヴルー・シリーズ』は、エヴルー公爵邸での“制服”だった。



 神に祈りを捧げた後、晩餐(ばんさん)が始まる。

 帝都邸(タウンハウス)で初めての晩餐会(ばんさんかい)に、料理長は大いに力を入れ、準備していた。

 身内同然だから、そこまでしなくても、と声をかけられないくらいだった。


 うん。せっかくの腕を振るう機会を作れてなくて、ごめんなさい。

 これからは、もうちょっぴりは考えます。

 ここ帝都邸(タウンハウス)のお披露目も、のびのびになってるけど、4日後の閲兵式(えっぺいしき)の夜の祝賀会とは別に、きちんとやるから許してね。


 心中、料理長に()びながら、運ばれてくる繊細な味と美しい料理を味わう。



「ルイス様、今日の行進は、皇城でも話題になっていましたぞ」


「タンド公。どういった噂でしょうか」


「まあ、多種多様ですな。

私が親族ということを割り引いても、好意が6割、反発が2割、恐れが2割といったところでしょうか」


「反発はわかりますが、恐れとは?」


「エヴルー脅威論を唱えている者がいるのですよ。

バカバカしい。

エリーが王国の王女であることを根拠にして、帝都に攻めてくるだのどうだの。

小説でも売れませんな。出来が悪すぎる」


 伯父様は憤懣(ふんまん)やる方なし、といった雰囲気で、赤ワインをあおる。

 よほど腹立たしかったのだろう。


「4日後の閲兵式(えっぺいしき)で、皇帝陛下への忠誠を改めて誓えば、自然に消滅していくでしょう」


「そうですよ、父上。

そうだ、ルー。お前、貴婦人の誓いがまだだっただろう?

皇妃陛下に捧げたら、ちょうどいいじゃないか」


 タンド公爵家次男である、従兄弟のピエールが良い事を思いついた、と意気込んで話す。



「貴婦人の誓いは、エリーに捧げた。エリー以外、誰にも捧げる気はない」


 ルイスがさらっと答える。

 事情を知っていたのか、伯母様などは、『まあ、いつのまに?』という表情だ。


「え〜。お前、あの公開訓練の事故の後、あんな事したら、言い出せなくなった、とか言ってたのに、いつのまに?」


「いいじゃないか。とにかく俺の貴婦人の忠誠はエリーに捧げた」


 ここで伯母様がさくっと割って入り、新たな提案をする。


「だったら、エリーが忠誠を捧げれば、いいんじゃないかしら?」


「え?私ですか?」


 確かに王国時代も、騎士団の訓練に参加していたが、女騎士として忠誠の儀式は行っていない。


「エリーはエヴルー騎士団の顧問なんでしょう?

だったら、閲兵式(えっぺいしき)で、皇帝陛下に忠誠を誓えばいいんじゃないかしら?」


 確かに、と思うが、心情的には皇妃陛下がいいなあ、と思ってしまう。言わないけどね。



「それで払拭(ふっしょく)できるなら、いくらでも誓います。本当はルイスに捧げたいんですが」


「まあ、ごちそうさま」


 伯母様の返しに皆が笑い、その後も和やかな雰囲気で、晩餐会(ばんさんかい)を無事に終えた。


 〜〜〜*〜〜〜〜〜*〜〜〜〜〜*〜〜〜〜〜*〜〜〜



 いよいよ、閲兵式(えっぺいしき)の朝だ。


 勢揃いした全員が着用している、エヴルー騎士団の儀礼服は、黒の騎士服に、ボタンやベルト、モール等は金色で、肩章の(ふさ)が緑だ。


 この色は、黒い大地にエヴルーの小麦の若葉と実りを表していた。

 左上腕には、帝国の紋章が刺繍されている。


 膝丈の肩掛けマント(ペリース)には、エヴルー公爵家の紋章が大きく刺繍されていた。

 ルイスは、真紅のサッシュにガーディアン三等勲章と胸に星賞を着けている。



 訓練の成果が試される時を迎え、訓練所では、団長であるルイスを前に、参加する団員全員が引き締まった面持ちで、その演説を聞く。



「今日はエヴルー騎士団、初の晴れ舞台だ!

今までの訓練通りにやればいい!

俺はお前たちを信じている!

以上!」


「エヴルー騎士団長閣下に、敬礼ッ!」



 本隊副団長が号令をかけ、全団員、ピシッと敬礼を決めている。

 各々の騎馬に(またが)ると、号令一下、出発した。




 私はこの凛々しいルイスや団員達の、出発する姿を見ることは叶わなかった。


 閲兵式(えっぺいしき)が行われる皇城前の広場に設けられた観覧席で、帝室の方々へご挨拶(あいさつ)をしていた。



 今日の衣装は、“ほぼエヴルー騎士団儀礼服風”の黒いドレスだ。

 トップスは儀礼服のまま、真紅のサッシュにガーディアン三等勲章と胸に星賞を着けている。


 スカートは乗馬用のように足が動かせる足首までのキュロットの上に、たっぷりとギャザーをとった黒レースのフレアースカートをふわりと重ねている。

 金髪は編み上げ、宝飾はエヴルー公爵家紋章のピアスと髪飾りだ。


 腰丈の肩掛けマント(ペリース)には、エヴルー公爵家の紋章が大きく刺繍されている。

 腰のベルトには、サファイアとエメラルドを配した金細工の儀仗剣(ぎじょうけん)を下げ、靴はほぼ見えないが、黒の編み上げブーツだ。



 正面の観覧席には、皇帝陛下、皇妃陛下、皇女母殿下、第五皇子殿下、第四皇子殿下、と帝室の方々が(そろ)って出席している。

 その他には、同じく騎士団を持つ、公爵家当主夫妻六組や、帝国騎士団幹部ご夫妻なども多数出席していた。


 私は、帝室の方々を始め、公爵家、騎士団幹部の方々に挨拶(あいさつ)した後、皇帝陛下と皇妃陛下の間に控え、質問があった場合は説明をさせていただく。



「まあ、エリー閣下。今日のお召し物は、騎士団に合わせられたのね」


「はい、騎士団でも顧問を務めております。

後ほど、皇帝陛下が閲兵(えっぺい)なさる際も、ルイスと共にご案内させていただきます」


「それは心強い。よろしく頼む。エリー閣下」


「はっ、かしこまりました」


 今日はどうしても受け答えが騎士団風になってしまう。


 そこに、軍楽隊の奏でる行進曲が聞こえてきた。



「まあ、何かしら」


「ごくごく小編成の軍楽隊を設けました。

その行進曲かと存じます」


「ほお、軍楽隊か。他の公爵家の騎士団にはないのお」


「はい。エヴルー公爵領は広く、創設されたばかりの公爵家でございます。

領民の帝国や領地を思う心を喚起すべく、騎士団巡回に軍楽隊を同行させ、国歌や領歌の斉唱を考えております」


 とりあえず、領地優先とは言わずに、帝国愛も打ち出しておこう。


「ふむ。そういうことか」


「はい、特に子ども達は、騎士への憧れが強うございます」


「なるほどな」


「そろそろ、参るかと存じます」


 大きくなってきた行進曲は、帝国国歌だ。

 閲兵式(えっぺいしき)の式典前後は、国歌のみにしてある。

 下手に突っ込まれたくないためだ。


 先頭は軍楽隊指揮官の本隊副団長が率いて、指揮棒を振り、ドラム、ラッパ、ホルンと続く。

 ドラムの周囲には、エヴルー公爵家と帝国の紋章を刺繍した緑の地色に、金のふさを垂らした飾り布をかけている。

 ラッパとホルンにも、金の(ふさ)を付けた緑の飾り紐を巻いていた。


 儀礼服に合わせ、騎馬達も(たてがみ)を飾り編みし、馬具も装飾され華やかだ。



「まあ、綺麗だこと。行進も見事ねえ。陛下?」


「まあ、これからだ。騎馬の整列は中々難しい。

さてと、(わし)も行くか」


「はっ、こちらでございます」


 皇帝陛下の仰る通り、訓練を重ねた馬と騎士でないと、人間のようなピシッとした整列は難しい。

 何かのきっかけで、馬が(いなな)いてしまったりもする。


 ルイスは帝国騎士団での経験で、この広場の実測を知っており、訓練所で線を引かせ、手の空いてる使用人や、希望した領民に見学させ、馬を狭さや観衆に()らさせてきた。


 その甲斐あって、行進してきた順番通り、奥から整然と並んでいく。

 騎馬も騎士も集中し、整列は終了した。


 皇帝陛下も用意されていた愛馬にまたがり、観覧席の前に止まる。

 ウォルフ騎士団長を始めとした数名と私も騎乗し、共に皇帝陛下に付き従う。




「軍楽、()めッ!」


 ルイスの雄々しい声が響く。


 最前列に位置し、朗々とした声でエヴルー公爵家騎士団長として挨拶(あいさつ)する。



「帝国を(あまね)く照らす太陽たる皇帝陛下!

お召しにより、エヴルー公爵家騎士団、このよき日に、御前に参る栄誉を(たまわ)り、恐悦至極(きょうえつしごく)に存じます!

一同、礼!」


 全団員が馬上にて右手を心臓に当てた騎士礼を取る。

 皇帝陛下もこういう場では、決める方だ。

 威厳ある声で、団員達を慰撫する。



「おおっ、エヴルー公爵家騎士団よ!よくぞ、まいった!

その行進、見せてもらったぞ!

初の閲兵式(えっぺいしき)、実に見事であった!」


「もったいないお言葉、エヴルー公爵家騎士団を代表し、ありがたく頂戴つかまつります。

エヴルー公爵家騎士団は、帝国と皇帝陛下に忠誠を捧げます!」


『エヴルー公爵家騎士団は、帝国と皇帝陛下に忠誠を捧げます!』


 ルイスの凛々しい声に、全団員が唱和する。

 馬はこれにも落ち着いていた。

 訓練の成果だ。


「誠に喜ばしいことだ!

お?そういえば、エリー閣下は今、唱和してなかったの」


 ここで、からかうか〜〜〜?!

 雰囲気を読め!雰囲気を!

 まあ、いい。売れられたものは倍で売ってやる!


「これは失礼いたしました。案内役に集中し、飛んだ粗相をいたしました。

少々、お待ちください」


「少々?」



 私は速やかに下馬すると、左腰に下げていた、儀仗剣(ぎじょうけん)(さや)ごと抜き、捧げ持って(ひざまず)く。


 皇帝陛下もすぐに意味が分かったようで下馬し、私の前に立つ。

 私は腹からの発声で、凛とした声を辺りに響かせる。



「エヴルー“両公爵”が一人(いちにん)、エリザベス・エヴルー、エヴルー公爵家騎士団顧問として、帝国を(あまね)く照らす太陽たる皇帝陛下に、忠誠を捧げつかまつります!」


「うむ。確かに。エリザベス・エヴルー、エヴルー公爵家騎士団顧問より、忠誠を受け取った!

ここにその(しるし)とする!」



 私が捧げた儀仗剣(ぎじょうけん)を抜き放った陛下が、私の左肩を剣で三度軽く叩く。

 剣を(さや)に収め、(ひざまず)いていた私に、手を差し伸べ立たせる。



「エヴルー公爵家騎士団よ!

おぬし達の、誇り高き主人(あるじ)の忠誠を確かに受け取った!

その(あかし)に、帝国の皇帝として、エヴルー公爵家騎士団に栄誉を授けよう!」



 皇帝陛下は、ご自身の腰の佩刀(はいとう)(さや)ごと抜くと、私に差し出す。


 うっわ〜。家宝第一号発生したわ。

 こんな予定じゃなかったのにな。


 私は再度、(ひざまず)くと、(うやうや)しく拝領した後、立ち上がる。

 ルイスがここで、雄々しく宣言する。



「我がエヴルー公爵家は、帝室の藩屏(はんぺい)であり、盾である!

本日、ここに、エヴルー公爵家騎士団として、新たに剣を賜った!

帝恩に深く感謝し、我らの忠誠を捧げん!」


「我らの忠誠を捧げん!」『我らの忠誠を捧げん!』


 私も含めた全団員が唱和した響きは、皇城の青空高くに響き渡った。


ご清覧、ありがとうございました。

エリザベスと周囲の今後を書き続けたい、と思った拙作です。


この『悪役令嬢エリザベスの幸せ』の世界を借りて、

小説投稿サイト「小説家になろう」様が主催する、夏季の期間限定企画「夏のホラー、テーマはうわさ」に参加させていただいています。

夏っぽい、怪談仕立てのお話です。


【ここだけの話】

https://ncode.syosetu.com/n7906jj/


お盆になっても猛暑が続いています。

残暑お見舞い代わりに、よかったらお楽しみください。

ヽ(´ー`)


誤字報告、感謝です。参考にさせていただきます。

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悪役令嬢エリザベスの幸せ
― 新着の感想 ―
[良い点]  エリザベスさんの伯母様タンド公爵夫人、ナイスご提案! お陰さまで家宝となる剣一振り下賜されました笑! しかしこれも伯母様のご計算の内のような気もします笑。 [一言]  やはり映像で拝見し…
[良い点] エヴルー公爵領としての初代“両”公爵が創設し、初閲兵式で皇帝陛下より拝領した剣…… 末代まで伝わるお話ですねぇ 陛下も瑕疵はあれど、公的な時は安心感ありますね、ノリも良いのでアレですけどw…
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