109.悪役令嬢の分かち合い
テンプレな“真実の愛”のイジメ疑惑追求から始まった、エリザベスと周囲のお話—
※糖分高めです。苦手な方は閲覧にご注意ください。
エリザベスの幸せと、その周囲を描きたいと思い書いている連載版です。
ルイスとの新生活としては、これで47歩目。
引き続き、ゆるふわ設定。R15は保険です。矛盾はお見逃しください。
※九州にお住まいの方々、関東南部の方々、地震お見舞い申し上げます。ご安全に過ごせるよう願っております。
「エリー。ちょっとお話があるの。いいかしら?」
朝食後、伯母様にサロンの一角に連れてこられ、早々に昨日の出仕の経緯を説明した。
昨日、伯母様は木工細工の打合せをしていらしたが、途中で私のピアノに気づいたようだった。
まあ、貴族令嬢があんな“お行儀悪く”弾いてたら、何かあったって悟られちゃいます。
悪役令嬢にぴったりだったから、2年以降は王立学園でも時々、“苦悩悲哀激情オンステージ”を音楽練習室でやったりしました。
『技巧的な練習です』と言い、見逃されてましたが。
と、今は公爵閣下でした。
令嬢とか言ったら、ルイスに泣かれてしまう。
いや、叱られちゃうな。
伯母様はハーブティーをひと口飲むと、小さなため息をつく。
「そう……。皇女母殿下にも困ったものね。
少しだけ、図々し“すぎる”ところがおありのようだわ。
それだけ必死なんでしょうけど。
ご夫君がエリーとルイス様に何をしたか、お忘れなのかしら。
謹慎が終われば、無罪放免という訳ではないのよ」
「はい」
伯母様も容赦ない仰りようだ。
「マーサは素晴らしい専属侍女ね。
エリー。その型紙ができたら、すぐに私宛に送りなさい。
あなたがエヴルーにいる間に、私が注文を取ってくるわ。
お披露目はできれば、カトリーヌ殿下の“白猫”とご一緒の方がよろしいでしょう、とでも言えば、食いつくわよ。
ふふふ、賭けてみる?」
マーサと同様の不快感を持たれていたようだった。
また、お披露目がカトリーヌ殿下の白猫と同じ方が周囲に与えるイメージが大きいのは事実だ。
ある意味正しい。
「ありがとうございます、伯母様。
私も意見はご一緒なので、賭けは成立しません。
お忙しいところ、申し訳ありません」
「いいのよ。私こそこの新しい“学遊玩具”で楽しませてもらってるんだもの。
エリーが考えてくれた、“かずかぞえ”は興味深いわ。
木工は怪我や誤飲には注意が必要だけど、“音”と組み合わせが面白いでしょう。
“七家”の方々とも、色んな交流ができてるし、充実させてもらってるわ」
“学遊玩具”は、『安全に楽しく遊びながら学びましょう』という、基本的構想を元に計画されている。
私が王国時代に、後宮経営のために収集していたデータを元に、クレーオス先生の医術的見地も取り入れていた。
マルガレーテ第一皇女殿下の乳母兼教育係となった、“中立七家”が各領地の特色を活かし、協力しあって、少しずつ開発が進んでいた。
要となってくださっているのが伯母様だ。
実際、“かずかぞえ”の金具は、アンナ様のノックス侯爵領地で盛んな金属加工の工房で試作していただいたものだ。
“かずかぞえ”の木製の部品に塗る、色鮮やかな塗料や、ごっつん防止リュック”の生地も、他家の製品だった。
「“ごっつん防止リュック”は、“両殿下ご愛用”を使わせていただけるお許しを頂戴しました」
「あら、だったらついでに、契約書もお持ちしましょうね。利益の3%をお二人で分割だったわよね」
「はい、そうです」
「きちんとしておいた方が、後々のためですものね。これも私がやっておくわ」
「契約書は私が作成します。
届けていただけるだけでも、本当にありがとうございます、伯母様。
それと、ご報告が遅れ申し訳ありません。
実は……」
私はマルガレーテ殿下の“ごっつん防止リュック”の刺繍のデザイン、『満月と蘭』の私的使用を皇妃陛下にお願いされた件を説明する。
「それはもう、仰る通りにするしかないでしょう。
今のマダム・サラが、“皇妃陛下御用達”になったら、過労死してしまうわ。
それに帝室に縛られると、冒険できなくなって、魅力も半減しかねないもの。
あの“大御所”デザイナーを怒らせてもいいことはないし。
マダム・サラには、私から話しておきます」
「感謝します、伯母様」
「エリー。そろそろ、準備しておきなさい。
お迎えがきっと来るでしょう」
「え?は、はい。ありがとうございます。失礼します」
『伯父様から話を伺ったので、準備はいつでもできています』などとは言えない。
伯母様もきっとお話は聞いたのだろう。
毒殺未遂の時、伯父様と同じくらい、いえ、下手をしたら伯父様以上に、怒ってくださっていた。
私はていねいにお辞儀をして、にっこり微笑む伯母様の前から退席する。
「ルー様、いつごろ来てくれるかしら」
部屋のソファーで、黒い大きな犬のぬいぐるみを抱きながら呟いていると、ルイスの来訪を告げられたのだった。
〜〜〜*〜〜〜〜〜*〜〜〜〜〜*〜〜〜〜〜*〜〜〜
ルイスの訪問を侍従に知らされ、私は犬のぬいぐるみをベッドに置くと、部屋を出て玄関へ駆け出す。
絶対的にマナー違反だが、これほどもどかしい時間もなかった。
「エリー!」
「ルー様!」
廊下で私を見つけたルイスが呼びかける。
急ぎ足で歩いていたのに走り始め、すぐに私の目の前に現れる。
高ぶった気持ちが溢れ、右頬の傷がうっすら紅色に染まっている。
なに、この速さ?!
さっきまであんなに距離があったのに、と驚く間もなく、抱きしめられる。
苦しいほどだが、気持ちは痛いほど伝わってきた。
「エリー、ただいま」
「ルー様、おかえりなさいませ。お顔を見せて」
「嫌だ。今はエリーを全身で満喫してるんだ。離したくない」
「ルー様?ここは廊下、しかもエヴルーじゃなくて、タンド公爵邸ですわよ」
『殿下!』と伯母様に注意されていた頃の、条件反射か、ピクッと身体が反応する。
それでも私のうなじに鼻を当てて、思いっきり吸い込んだ後、やっと抱擁を止めてくれた。
が、マントに包まれるように、ぴったりくっついて、エスコートされる。
「馬車は待たせてるんだ。一刻も早くエヴルーの帝都邸へ行こう」
「ルー様。伯母様にご挨拶しないといけないわ。お世話になったのだもの」
「先にしてきた。『そのままエリーを連れてっていいわよ』と仰ってた。
ご好意に甘えて行こう」
「ちょ、ちょっと待って。荷物を運ぶわ」
「俺が運ぶよ。どこにある?」
「もう、まとめてあるんだけど…」
部屋へ入ると、マーサはしっかり荷物をまとめ、知らせてくれた侍従に運ぶ指示も出していた。
「旦那様。大変お疲れ様でございました。
ただ1ヶ月近く、お会いできなかったとはいえ、余裕がなさすぎます。
お二人はエヴルー“両公爵”閣下なのですよ」
「マーサ。諫言は後でじっくり聞く。
約束する。今はエリーが最優先なんだ。
エリーは俺が運ぶ。マーサは荷物の監督を頼む」
「最優先って?キャッ!」
「ふう……。かしこまりました」
ルイスは私をお姫様抱っこすると、そのまま馬車へ直行する。
タンド公爵家の使用人達にお見送りされる私、とっても恥ずかしいんですけど。
伯母様は、階段の上から、『あらあら、まあまあ』という表情で、手を振ってくださっていた。
私を宝物のように馬車にそっと乗せ、ルイスは脇に座る。荷物の手配をしたマーサが侍従の手を借り、乗ってくると、すぐに出立だ。
といっても、数軒先なので、到着はすぐだ。
ここでもお姫様抱っこされ、先触れを聞き、使用人達が出迎えてくれた玄関をくぐろうとする。
私は流石に、ルイスの耳を引っ張って抗議する。
「ルー様!いえ、ルイス閣下!
私、エヴルー公爵エリザベスを降ろしてくださいませ。
主人の帰還なんですのよ。私だってみんなにきちんと挨拶したいの」
「……わかった」
ルイスはそのままくぐると、私をそっと玄関ホールに降ろす。
くしくも、5度目のお姫様抱っこの帰邸になってしまった。
もう数えなくていいかな。
『お帰りなさいませ。ルイス様、エリー様』
「ただいま、みんな。
色々あったが、この屋敷はもう安全だ。今まで通り、勤めてほしい」
「ただいま。お出迎え、ありがとう。
ルイス閣下の仰った通りです。これからもよろしくね」
執事長と家政婦長が、使用人達を代表し、にこやかに応えてくれる。
「ルイス様、エリー様。
今まで通り、いえ、今まで以上にお仕えさせていただきます。
お近くではございましたが、お疲れでございましょう。
お部屋の用意はできております」
「お風呂もいつでもご用意できます」
「ありがとう。昼食まで少し休みましょう、ルー様」
「ああ、助かる。皆、ご苦労。
できれば二人っきりにさせて欲しい。昼食も俺の部屋に運んでくれ。
エリー、さあ、行こう」
「ちょ、ちょっと、ルー様!」
「ルイス様!奥様を降ろしてくださいませ。
お着替えのご用意もございます」
「マーサ。安心しろ。大丈夫だ。小姓役もやったんだ。俺が着替えさせる」
「殿方とご婦人とは違うのです」
「エリーだったら、大丈夫だ。
マーサはエリーの部屋で待機しておくように」
「ちょ、ちょっと、ルー様!」
「ルイス様!どうかお待ちください!ルイス様!」
私だったら大丈夫って、どういう基準って私も思う。
またもやお姫様抱っこされた私は、そのまま、ルイスの部屋に強制連行され、抗議し続けるマーサの目の前で、ドアは閉じられたのだった。
〜〜〜*〜〜〜〜〜*〜〜〜〜〜*〜〜〜〜〜*〜〜〜
暴走気味だったルイスも、遅めの昼食を食べる頃には、少しは落ち着いてきていたが、私の傍からぴたりとも離れない。
ソファーで横並びに座って、昼食を食べるのに、本当に隙間なく、身体を寄せてくるのだ。
「ルー様。ちょっとだけ、食べづらいんだけど……」
「ん?だったら、食べさせてやろう。ほら、あーん」
「ちょ、一人で食べられ……」
口許に運ばれ、とろけそうに優しい青い瞳で見つめられると、口を開けざるを得ない。
私との時間が嬉しくてたまらない、という想いが溢れている。
私以上にルイスは寂しくて、辛かったのか、と思うと、怒るに怒れない。
思わず黒髪に触れ、頭を優しく撫でる。
「ルー様。私に話したいことはない?」
「今はいい。エリーの話を聞きたい。圧倒的にエリーが足りてないんだ」
さっきまでで充分足りたと思うんだけど、騎士の体力は底無しらしい。
いや、今は心を欲してるんだろうな。
ルイスを不快にさせない、楽しい話題、ときたら、エヴルーとぬいぐるみ試作の話に限る。
「この前のエヴルーで、受洗式で第五皇子殿下と第四皇子殿下からお願いされた、ぬいぐるみの試作をしたんだけど……」
ルイスは私が笑顔で話している間、頷いたり、合いの手を入れるくらいで、ずっと耳を傾け、時には笑ってくれていた。
「エリーも皆もよくがんばった。
ご協力いただけたクレーオス先生にも、改めてお礼を言わなければならないな。
これでまたエヴルーの名産が増える。ありがとう」
「まだまだよ。
実際使っていただいて、改良点を見つけて、もっとよくしていくの。
努力を怠ったら、すぐに真似されて、蹴落とされちゃうわ」
「俺はエリーがまだまだなんだけどな」
ルイスが両腕で私を囲い、耳元で甘やかに囁く。
「え?ルー様?ちょっと……」
「俺とエリー、二人の関係をもっと良くしていきたいんだ。任務とはいえ、1ヶ月も放っておいて、すまなかった。
知らずに危険な目にも合わせてた。
もう大丈夫だ。エリーも、俺も、生きてる……」
「ルー様……」
両腕に少しずつ力がこもり、何度目か分からない抱擁で、ルイスの愛情に包まれる。
確かにあの“新道”にあった“隠し部屋”の研究室に、よりにもよってあんな危険人物達が潜んでいたなんて、改めて考えればゾッとする。
あの聴取の後も調査し、実態をさらによく知ったルイスにしてみれば、その危機感は私以上なんだろう。
そして、危険に晒していた不安をこうして消して、無事に生きている私を確かめたいんだろう。
『なさった無理を分かちあえるほど、私はもう元気です』
って手紙に書いちゃったしなあ。
でも、それはこういう意味とは、少し違うんだけど……。
口に出せないままの言葉は、ルイスの愛情の波にさらわれていった。
〜〜〜*〜〜〜〜〜*〜〜〜〜〜*〜〜〜〜〜*〜〜〜
「ルー様!夕食はさすがにお部屋じゃなく、“きちんと”食べましょう。
みんなにお仕事をさせてあげるのも、当主の役目です!
それにクレーオス先生も、今夜はお帰りになるんでしょう?
大切なお仕事をしてくださってご帰邸されるのに、放っておいてどうするの?!」
甘い雰囲気で押しきり、部屋に篭ろうとするルイスを、叱るように振り切ると、私は夫婦の部屋経由で、自分の私室へ移動した。
捨てられた子犬のような目をしたルイスに、心が痛んだが、このまま朝を迎えるのは、さすがにちょっと、と思う。
ルイスの予備のバスローブ姿では、廊下は絶対に通れない。
私室には、ルイスの命令通り、ずっと待機してくれていたマーサがいた。
待機していただけでなく、私が居心地良く過ごせるように整えてさえくれていたのだ。
マーサ、本当にありがとう。
「マーサ。ルイスがごめんなさいね。私からも言っておくわ。
お待たせしたわね。お風呂をお願い」
「エリー様。お疲れ様でございます」
何も聞かずに労ってくれるマーサがありがたい。
ルイスの部屋にも執事を行かせるように頼むと、私は猫足のバスタブに浸かり、マーサのケアに身を委ねた。
気心が知れた者同士の食事に使用する朝食室は、壁にはステンドグラスのような飾りガラスがはめ込まれ、薔薇や百合など12ヶ月の花が並んでいた。
この眺めだけでも、帰って来れたと実感する。
美しい木目細工の格子天井下での夕食は、クレーオス先生も加わり、楽しいものだった。
シェフの料理も久しぶりで、ゆっくりと美味を満喫する。
「クレーオス先生が、あれほど見事に馬に乗られるなんて。お若い頃の移動もやはり馬ですか?」
「そうじゃよ。宿場宿場の貸馬で鍛えられたんじゃ。癖のあるのが多かったしの。
マーサ殿も訓練を始められたとな。置いてきぼりが堪えたんじゃろう」
「マーサが……」
「乗れる場所では、朝一番に練習されてるようじゃ。
なに、ちょいと見かけての。
筋肉痛の時は遠慮なく言うように伝えておいた。
安心なされ」
「ありがとうございます、先生」
デザートの後は、ルイスの執務室に場所を移す。
二人から私に説明があると言う。
「エリー。例の“新道”は、“隠し部屋”の研究室以外の仕掛けは潰す。
研究室はクレーオス先生に預かっていただき、研究を“アイツ”から引き継いでいただいく。
全く別の、新薬の研究だ」
「姫君。あの光り茸は、上手くいけば、人の役に立ちそうなんじゃよ。
今までの研究内容は充分把握しとる。これからが楽しみじゃて」
「では、この執務室の仕掛けはこのままで?」
「ああ。俺の執務室を別途設けて、ここはクレーオス先生の“表”の研究室にしていただく。
“新道”までの縦穴も安全性を高めて整備する」
「氷室の出入り口は?」
「とりあえず、そのままだ。クレーオス先生が、研究にもし低温状態が必要なら、今のままの方が、氷を取りに行けて便利だと仰ってるんだ。
それにあの光り茸はかなりデリケートらしくて、今の環境を変えない方がいいらしい。
弱ってきたのを、クレーオス先生が“アイツ”のノートを見て、世話をしてくれたんだ」
「先生、深く感謝いたします」
「なに。『自分が死ねば、あの素晴らしいきのこも全滅だ』とか抜かすもんでの。
腹が立って、記録を全部速読して、世話だけは把握したんじゃ。
儂と“アヤツ”とは研究方針が全く違う。
後は騎士団にお任せじゃ。
マックスの儂もお役御免じゃよ。
いや、久しぶりで懐かしかったわい」
「マックス・リュカな先生も、とってもかっこよかったです」
私が両手を握り、つい楽しそうに応じると、 ルイスの右頬がピクッとした。
『あ、まずかったかなあ』と思った時、クレーオス先生がさらに追い詰めてくださる。
「そうかそうか。お褒めいただけて嬉しいの。
エリオット殿もかっこ可愛かったぞよ。
そういえば、ルイス様に、あの犬のぬいぐるみは見せたのかの?そっくりで、驚いたじゃろ」
ぬいぐるみの試作品作りにクレーオス先生も参加していて、あの妊婦のための、大きな犬のぬいぐるみの時も同席していたのだ。
「犬のぬいぐるみ?」
「あ、あの!クレーオス先生。実はまだなんです。
その、ゆっくり話す時間が、まだ、取れて、なくて……」
あ゛〜。なんて恥ずかしい事を言わせられてんだろう。私。
ルイスが午前中早くには騎士団を出たって知ってる先生に、話す時間がなかったなんて!
首筋がかあっと熱く火照ってくる。
今夜は絶対、眠るのは別よ、別!
「ああ、なるほど。久しぶりの夜にお邪魔じゃったの。ではこの辺で。
ルイス様。姫君がいかに丈夫でも、騎士殿とは体の作りは全く別物じゃ。無理は禁物じゃよ」
「はい、無理はさせません」
いや、もう、今の時点で、心が無理だから、と思う私を残して、クレーオス先生は、「では、おやすみ。素敵な夜を」と、とってもいい笑顔で退室されていった。
残された私は、心身共に、ルイスに扉を背にするほど、さらに追い詰められる。
ちょっと、どうしてこうなるの?!
「エリー?で、俺にそっくりの犬のぬいぐるみってなんだ?」
ルイスは扉に腕を突き、私を上から覗き込みながら、いたずらっ子のように私に微笑みかける。
もう、その顔、ちょっと悪くて、かっこ可愛くて、ずるい!
「え〜っと……。それはですねえ。なんと言うか」
「そうか、俺には言いにくいのか」
「そういう訳じゃなくてね……」
ルイスは扉を開けて執務室に鍵をかけ、言い淀む私をエスコートし、私室の前まで連れて行く。
「よし、わかった。実物を見た方が早いよな。
夫婦の部屋に20分後に集合。物品を持ってくるように。
遅刻は厳禁だぞ」
「え?ちょっと待って。ルー様ったら!」
騎士団風に宣告し背中を見せたルイスの足取りは、とても軽やかで嬉しそうだった。
ご清覧、ありがとうございました。
エリザベスと周囲の今後を書き続けたい、と思った拙作です。
あまりに甘すぎて口直しされたい、という方向けに、番外編的な短編を書いてみました(⌒-⌒; )
小説投稿サイト「小説家になろう」様が主催する、夏季の期間限定企画「夏のホラー」に参加させていただいています。
【ここだけの話】
https://ncode.syosetu.com/n7906jj/
もしよかったら、こちらへどうぞヽ(´ー`)
誤字報告、感謝です。参考にさせていただきます。
★、ブックマーク、いいね、感想など励みになります。
よかったらお願いします(*´人`*)