02:思い出したことが多すぎる!
「その制服……同じ高校だよね?一般人がここに入れる訳ないんだけど」
そう少女が語り掛けて来たが、こんな非日常が雪崩の様に押し寄せて来たらいくら「耐性」があろうがなかろうが何も言えないだろう、少なくとも今の俺には少女になにも返答することが出来なかった。……「耐性」ってなんだ?さっきから何かおかしい
「そりゃ一般人が迷い込んだら混乱するよね、とりあえずキミは下がってて、私が何とかするから」
そんな俺を不安にさせない様な口調で少女が話した瞬間、今まで聞いたことの無い様な轟音が鳴り響いた
「スキル「メテオスマッシュ」……あなた程度、雑魚なら補正が無ければこの一撃で砕けてるはずなんですがね」
轟音と共に吹き飛び神社前の建物に突っ込んだはずの骸骨騎士ほぼノーダメージと言った様子で瓦礫をかき分け出てきた。
「やはりファンタジー系が相手だとやりづらいですね、ゴーレムなら少しは攻撃が通るはずなのですが」
少女がそう言いながらも何度も攻撃をヤツに叩き込んだ、徐々に目が慣れて来たのか
音で攻撃が起こった事を判断していたのが、少女が何度も殴ったり蹴ったりしているのが分かるようになってきた
目で追えて来たから断言できる、明らかに少女の方が強い、ヤツの方が明らかに格下なのは一目瞭然だ、なのになぜこれだけ攻撃を受けて耐えられる?
「あの、ひょっとしてこの空間に入れているって事はあなたって帰還者だったりしませんか?」
攻めあぐねている少女が俺に語り掛けて来た
「帰還者?なんだそれ」
帰還者が何かは分からないが、確かにさっきからおかしい、脳内で出来もしない魔法や剣術の知識が勝手に溢れて来る。こんな状況普通なら恐怖で動けなくなるはずなのに、だんだんと身体も軽くなってきたし力がみなぎってる気もする
「簡単に言えば異世界帰りってことです、あなたも読んだことあるでしょ?異世界転生物、それに似た経験ありませんか?」
そう聞かれた瞬間パズルのピースがハマる様に、頭の中にあった封印が解かれた気がした。
「……ある、俺は異世界『ブレイエル』の勇者だった」
全てを思い出した、非日常なんて飽きるほど経験してたのにな……
今の俺は文字通り最強だ、アイテムボックスから一振りの剣、唯一無二の聖剣の名を持つ剣を取り出しヤツに向かって言い放った。
「おかげで思い出した、礼に一撃であの世に送り返してやるよ骨野郎」
『結城 雄大は異世界帰りの勇者である』
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