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公爵令嬢は顔が薄い  作者: ねこまんまときみどりのことり


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地味顔ではなくなった、公爵令嬢の周辺

「イゾルデ、今日も早いのね。毎日お弁当作りご苦労様」


「なんの。苦労なんて思っておりませんわ。私の作った物で、ジェドの体が作られていくのですから。至福ですわ!」


「そ、そうね。じゃあ、私はランニングしてくるわ」


幼い時から彼女(イゾルデ)の初恋は終わらず、ずっとジェドへのアタックは続いている。ジェドは特に受け入れもしないが嫌がらないので、幼い時からはじめたお弁当作りは続いていた。学園卒業後のイゾルデは一念発起し、難関と言われている魔石研究所に就職し、ジェドと共に迎撃用の魔道具を開発している。


まわりの大人達は成長すれば気も変わるだろうと放って置いたが、変わらない気持ちに尊敬の念を抱かれていた。


今では同じ土俵で仕事をする仲間だと、ジェドから認められたイゾルデ。彼女に対するジェドの対応も、以前より優しく見えるから不思議なものだ。




ラリサ(エリザベート)だけは、イゾルデの思いに感動していた。確かに以前(と言うかだいぶん昔に)、素敵な淑女になって同じ仕事をしてみたらと適当なアドバイスはしたが、本当に実行するなんて…………。


彼女の強い思いを、今さらながらに感じた。



「こんなに真剣だったのね、イゾルデ。あの時、適当なことを言ってごめんね。貴女はすごい子よ」

きっとすぐに飽きると思っていた彼女の初恋に、大人にするような助言をしていたラリサ。間違ってはいなかったが、幼子には難しいものだったのに。


けれどそれらを熟してある意味夢を叶えたのだから、心から尊敬の念を送るラリサ。そしてその執着に少しだけ怖さも感じた。


「ジェドは優秀だし、イゾルデの目に狂いはないわ。それにイゾルデがいつも隣にいるから、他の女性も近づけないし。…………ジェド、悪いけど貴方は逃げられそうにないわね」


仄暗い何かを感じながら、日課のトレーニングに向かうラリサだった。




◇◇◇

ジリアンが魔界に渡ってから、3年が経った。

今もジリアンや魔獣が、ジャームンサンド国に攻めてくる様子はない。

ただラリサ達は、いつ何かあっても備えられるように、訓練は続けている。




ラリサ(エリザベート)は19才になった。

ウィリアムは18才。

ジョージは17才。

イゾルデは15才。

シーラ三女は14才。


ついでにジェド(ジェダイ)は10才に。



未だにラリサには婚約者どころか恋人もいない。

弟のウィリアムもだ。


もう1人の弟ジョージは、侯爵家のマーメイラ・ラボンネ嬢に周囲から囲われるように婚約していた。ジョージ本人が「美人と婚約できてラッキー」と喜んでいるので、誰も反対はしなかった。彼女の少々腹黒いところは(大っぴらには言えないが)、単純過ぎて簡単に騙されるリスクのある彼には必要な人材だろう。何よりジョージがその腹黒さに気づかないので(マーメイラも気づかせないので)、終始平和なのだ。


「マーメイラは純粋だけど、しっかり者で可愛くて頭も良いんだ。それなのに時々俺に弱味を吐いてくれてさ。守んなきゃって思うんだよね。デヘヘ」


両親であるブルーノとメアリーは、彼が良いならと応援しているし、タルハーミネ(ヘルガ)は「本性を見てからが本番よ」と愛弟子兼、孫を面白がっている。ヴァルモンは「家格も合うし過不足なし」と認めていた。


ラリサやイゾルデは思った。

(本当に純粋な女は、いろんな画策とかしない。障害をなぎ倒して涼しい顔をする女は、弱音さえ偽りなのよ)

(そうよ。あの感じの女性は、ブルーノに近づく女がいれば容赦しないはず。何かきっと良くない状態に陥ってそうよ)


そんな言葉を姉や妹としてかけてあげられない。

万が一彼女に聞かれたらなんか怖いし…………。

ジョージが幸せなら良いかと口を結ぶのだった。



◇◇◇

イゾルデとシーラは金髪碧眼の美少女で、ラリサ(エリザベート)とウィリアム、ジョージは銀髪緑眼だ。男子2人は昔から整った美男だが、エリザベート(ラリサ)も16才くらいから素朴な美しさを持つことになった。



ラリサは幼い時に考えていた、他国へ旅する夢を諦めていた。ジャームンサンド国が攻められる可能性がある今、自分だけが国を出るのは無責任と感じていたからだ。


それ以上に前提条件が既に変化していた。


彼女(ラリサ)は前世を思い出した3才の時、今度こそは貴族のしがらみに縛られたくなくて逃げようと思っていた。けれど今世では大切な人が増え過ぎて、側を離れたくなくなったのだ。


「私の魔法が役に立つなら、みんなを守りたい」

その思いは強く、魔法の訓練にも力を入れた。


ただ魔力はそのままであるが、身体能力(筋肉や瞬発力など)は格段に落ち、武器での戦いは難しくなった。以前はほぼ一撃で物理で倒したオウギワシさえ、剣技では歯が立たない。魔法の威力は凄まじいが、体力に引っ張られるように持久力がもたなくなった。


現在は保存している魔石を使った、ジェド製作の対迎撃用魔道具を平行して、体にかかる負担の軽減を図っている。完成した魔道具はなかなかの威力があり、魔力が乏しくても使えるので、強い戦力になるだろう。


軍にはタルハーミネ(ヘルガ)とジョージも、ラリサと共に赴いて訓練を行っている。彼らが訓練をつけた弟子のような部下達も、強く育っている。

ラリサは主に、魔法の教育にあたっていた。

生活は豊かになったが、その生活の基盤を築いたのが誰かを知っている国民達は、自らの幸せにあぐらをかくことなく慎ましく暮らしている。


貧しかった生活からここまで来るのには、20年も経ていない。記憶に新しいものだ。



ラリサはそんな国民も好きだし、家族のこともとても大事だった。




◇◇◇

ウィリアム(イリヤ)は、次期公爵として必死にブルーノから経営などを学んでいた。彼にもまだ婚約者はいない。けれど必要があれば結婚することも考えてはいた。


今後誰とも結婚出来なければ、ジョージの子に後継を譲ることも考えながら。


ジョージにそのまま後継を譲ることも考えたが、(ジョージ)は自分では公爵家を継ぐ能力はないと言った。遠慮ではなくて本心から。

彼の婚約者のマーメイラも、公爵夫人にはなりたくないそうだ。彼女は彼女で書籍の発行や出版の商いをしており、それなりに多忙なのだそう。そしてジョージとの時間を持ちたいので、多忙な公爵位は荷が重いと言う。



イゾルデとシーラに聞いても、公爵位なんていらないと言う。


イゾルデは「ジェドの傍にいつも居たいの。何れ平民になるから」なんて勝手に決めているし、

シーラにしても幼馴染みの伯爵令息と結婚の約束(口約束をしていると言う。

口約束なのは “家に遠慮をしないで自由にいたい” からだそう。


いつの間にか大人になっている弟妹に、ウィリアム(イリヤ)も驚いている。


「ちゃんと自分の意思を持っているんだな。それにパートナーを重視か? 僕より大人に見えるよ、まったく。

でも、公爵家の後継者がこんなに不人気とはな。他の者が聞けば、潤っているこの地位は垂涎ものだと思うのだが」



国民は思っていた。

他国と違い腐った貴族がいない我が国。

力を分散させるより、正しき者が力を持ち導いて欲しいと。

なので生活が安定し、貴族制度が徐々になくなる方向に行くと考えていた王族や高位貴族達は不思議だった。

けれどいろんな諜報からの情報を得て、アナスタシアがいろいろ暗躍していたので、明らかな悪徳貴族は成敗されていたのだからさもありなんだ。


なんとなく、誰の仕業とかは漏れてしまうみたい。


なので悪さをしない貴族や王族制度は、今後暫く続きそうだ。




◇◇◇

ウィリアム(イリヤ)は(ブルーノ)へは国の視察目的だと言って、港街にあるハイルリヒに会いに行った。


漁港で貿易船の荷運びをするハイルリヒを見た時は、信じられず目を疑った。


ウィリアム(イリヤ)は仕事をしている者と普通に話をしたいからと言って、威圧感のある護衛を後ろに下げてハイルリヒに近づいた。


「ご苦労様です。お仕事は大変ですか?」

「っ!。 イリ、じゃなくて、小公爵様。こんにちは」


慇懃に頭を下げたハイルリヒは、驚愕して声が上擦る。


魔界にいた時の威厳たっぷりの国王とは違い、今自分(イリヤ)の前にいるのは、この国の一国民のようだった。


イリヤは2人の空間に、防音の魔法をかけた。

これがあれば会話は周囲に漏れない。遮音ではないので周囲の声や音も聞こえ不都合はないのだ。

近くの護衛にも、小声で話しているに見えるだろう。


「お久し振りです、父上。お手紙読みました。お元気そうで良かったです。あ、今は防音状態なので、普通に話して大丈夫ですよ」


微笑む息子に呆気に取られてから、ハイルリヒは決意したように漸く言葉を口にした。

「ああ、そうか。久し振りだな、イリヤ。大きくなって。人間は成長が早いな。魔界ならまだ子供の形態なのに、今はもう大人の姿だ。…………俺は魔族のお前を殺したようなものだ。体をドラゴンに盗まれたんだもの。お前も体がなくなったことに気づいただろう? 済まなかった。謝って済むことじゃないのは分かってる。だから俺を殴れ、気の済むまで! 死ぬ覚悟も出来てるから、来いや!」


「はあ?」

「え?」


きょとんと不思議そうな表情のイリヤに、ハイルリヒは言う。


「俺を殺しに来たんじゃないのか?」

「はぁ? 殺しませんよ。なんでそんな物騒なんですか?」

「いや。こんな失態。魔界なら当然死刑だろ?」

「いやいや。ここは魔界じゃないし、魔界なら父上は国王だから罰は受けないですよね。そもそも見張りの失態ですし」


「俺は今、国王じゃないし。国を追われたんだから権限なんて何もない。そうじゃなくて、結局守ってやれなかったからさ」

ばつの悪そうな顔をしたハイルリヒは、辛そうに俯いてそう答えた。


「じゃあもう、良いですよ。全てを赦します父上。僕は今幸せなので」

「そんな簡単に……。もう人間としか生きられないんだぞ!」


魔族は人間よりも力や魔力があることで、優位だと考える者が多かった。それは魔界にいた時のハイルリヒも、イリヤもだ。だからハイルリヒは我が息子の運命に罪悪感を強く感じたのだ。


沈黙の後、ポツリとイリヤが呟く。

「魔界を出る時、それは覚悟の上でした。転生を失敗しても仕方がないと思ってましたので。

……もしかしたら国の為と言いながら、僕はあの場所から逃げたかったのかもしれません。当時の僕は多少優秀とは言われましたが、ジャスパー兄上と王位を争う気はありませんでした。勿論弟妹と争う気も。

それなのに兄上と僕で派閥が分かれて、兄弟同士で喧嘩して部下達も怪我や嘲笑を浴びせあって。


正直辛かった。

僕は臣下として生きていくと誓っていたのに、まわりを止めることも出来なくて。そして実の母上も僕が成人すると、人間界に下って行ったから。


思い出すと、ちょっとヤケな部分もあったみたいです。

なので父上も、もう気にしないで。


今は優しい両親と姉と弟妹がいて、幸せですから。


それにですね、転生した姿のタルハーミネ母上にも会えました。なんと僕の祖母なのです。記憶も思い出していて、仲良くしてくれてます。


だからもう、気にしないで。

頑張って生きて下さい」



話終えたイリヤが見たのは、俯いたまま慟哭なくハイルリヒだった。

「なんで俺は、向こうにいた時にそれに気づかなかったんだろうな。成人したと言ったって、まだまだ子供だったのに。お前の立場はなんとなく分かっていても、深く考えていなかった。


たいして酷いものではないと、勝手に解釈して逃げてたんだ。面倒事から。


それなのに怒るどころか、俺の心配までしさぁ。

どんだけ良い奴なんだよぉ。


そんな奴にこんな苦労させてさぁ、俺はなんて親なんだ。うわあぁぁぁぁぁぁ」



激しく泣きじゃくるから、周囲の人も心配そうに見ている。多少人混みから離れていても、その様子は伝わっただろう。


イリヤもまた、(こんなに後悔してくれるなら、もう全て緩そう)と改めて思っていた。


肩を擦り慰めると、さらに加速して泣かれた時には戸惑うほどに。


ただ視察の目的のウィリアム(イリヤ)だから、ずっとここには居られない。彼はハイルリヒに軽く頭を下げて、「また会いましょう。そして父上が泣いた理由は、離れて暮らす息子に僕が似ていたから、と言うことにしましょう」

そう言って踵を返したのだ。


防音魔法を解除し、護衛の元に歩くウィリアム(イリヤ)。


護衛にも先程の理由を言えば、大きく頷いていた。

「なるほどそうでしたか。そう言えばウィリアム様とあの男、何となく雰囲気が似ておりますよ。特に目元が。あの者もいつか息子に会えると良いですな。所帯を持てばなかなか1人で動けんですからなぁ。遠方に住むのならば、なおさら難しいでしょうな。そう言う私めも、里帰りをずいぶんとしておりませんし。

手紙で近況を綴り、体を心配する日々が続いておりますよ。

そんな時に似た顔を見て懐かしく思うのは、仕方がないのでしょうな」


そんな風に静かに話す護衛に、ウィリアム(イリヤ)は頷き目を潤ませた。

(僕は転生しても父上に似ていたんですね。案じてくれる父が2人もいて、僕は幸せです)


その後も手紙のやり取りを続けたウィリアム(イリヤ)とハイルリヒ。

その時の護衛券側近のキリバルスは、2人の状況を知るので手紙を不審に思わず渡していた。民に優しいウィリアムがハイルリヒから特産品を送られ、そのお礼状を送るやり取りを。


「ウィリアム様はお優しい。きっと名高き当主となりましょう。民との対話は必要ですからな」



◇◇◇

その後。

港街のあの地域の産業をウィリアム(イリヤ)が密かに投資し、その様子を見守っていた。その結果、ほんの少しだけハイルリヒ達の生活は豊かになり、スレイナの弁当屋も店舗が増えた。

レヨンは店の従業員と結婚し、スレイナはアイドステルと結婚した。2組とも子宝に恵まれ、弁当屋の前を子供達が走り回っている。

ハイルリヒとアマリィにも男女の双子が生まれ、年の近い4人の子は賑やかにしていた。


時々ジャームンサンド国に遊びに来るローゼは、侍女と共にその様子を見て少しガッカリしていた。


「私はスレイナとレヨンが結ばれると思いましたわ。残念です」

「ふふっ、ローゼ様ったら。まあレヨンの方は恋心はあったんでしょうが、スレイナは弟のように思っていましたからね。一方通行では、恋愛に繋がるのは難しかったでしょう。良いじゃないですか、幸せそうですもの。次はローゼ様が幸せになる番ですわよ」


「なれるかしら? 幸せに」

「それは努力次第ですね。まあ相性もありますから、慌てずに決めましょう」


「そうね。でもファンファン、貴女は付いて来てくれるわよね? 傍にいてくれる人がいないと、私寂しいの」


「私はもう40才を越えています。よろしいのですか? 若い侍女の方が……」


「駄目よ、ファンファンじゃなきゃ。貴女はもうお嫁には行かないわよね。ずっと傍にいて!」

「ローゼ様…………。私でよろしければ、生涯の忠実を」


ファンファンは左膝を突き右手を胸にあて、頭を垂れた。



◇◇◇

ローゼの母パルゼーナはショートニンとも子供達とも仲が良かったが、嫡男であるローゼの兄チャーリーに多くの時間を割いていた。

クリンアンパーン国は特殊な国だから、強くなければ生きていけない。国王はさらに強くなければいけない。


その信念のせいで、次男のトレングとローゼは自由であるが喪失感を抱えていた。


前王妃も同様に信念を持つ強い女性であった。

だからこそ、不満を言うことなどは言えなかった。


トレングとローゼは、乳母と侍女に育てられたのである。

本来ランランは嫁がずにローゼに付き従うはずだったが、キャラウェイと結婚した。リンリンもまた。


母のような姉のような侍女が離れ、本当は寂しかった。次男のトレングはローゼの10才ほど年上で、既に親離れをして海軍で海賊狩りをしている。彼はもう吹っ切れたように見えた。



家族はローゼを大切にしてくれたが、短い時間では十分ではなく孤独だった。だから若い侍女達と一緒に、ウィリアムのファンになったのである。


そんなキャアキャアと楽しんでいたのに、成長するごとにみんなは変わっていく。離れることがないと思っていたランランとリンリンも、自分から去って行ったのだから。


そんな彼女(ローゼ)も15才になった。

傍らにはファンファンと、3年前から侍女になったユウユウがいた。


彼女はまだ婚約者はいない。

国と国との扮装がなく平和な為、政略結婚をする必要がなかったことで、ショートニンは好いた相手を選んで良いと言ったのだ。


それは青天の霹靂で、逆に動揺したローゼ。

政略結婚すると思っていたので、異性を好きにならないようにしていたのだから。


「今さら、そんなこと言われても」

「大丈夫よ、ローゼ。貴女はまだ15才になったばかりだもの」

「そうだぞ、ローゼ。平民でも王様でも狩ってこい。ガハハッ」

「結婚しなくても、城で暮らせば良い。王太子妃のスウィートもローゼが大好きだからな」

「まったくもう、兄上も妹離れしろよ。ローゼは暖かい家庭を持って幸せになるんだから」


ローゼ置いてけぼりで、議論が進んで行く。


そんなことがあり、取りあえずジャームンサンド国に逃げて来たのだ。遊びに行くと言って。


「ねえ、ファンファン。王女は結婚しないと駄目なの? 独身ではいけないの?」


独身で自立しているファンファンに、ローゼは尋ねる。

すると彼女(ファンファン)は答える。


「いいえ、駄目ではないです。ローゼ様の幸せだけを願っておりますよ。でも不安ならば、商売でもしてみますか?」

「商売ですか?」

「ええ! 力をつければ、誰も文句は言えないでしょうから」

「面白そうです。やってみたいわ!」



そんな感じの軽いノリの2人だったが、もう1人の侍女ユウユウは頭を抱えた。

「ああローゼ様ったら。それを王族がやっちゃ駄目でしょうが。ああ、ファンファンも止めないし。いくら元手が少なくても良いからって。ふふふっ、お馬鹿ねぇ」


いつも真面目なユウユウは、ショートニンの手の者だった。そして主に護衛と監視と報告が義務だった。確かに彼女は仕事を熟なしていたが、後でお叱りを受けることになる。


ローゼの商売がウィリアムのブロマイドと、編みぐるみやぬいぐるみの商会立ち上げて作り、販売することだった。


ウィリアムは、未だクリンアンパーン国やその向こうの国に大人気である。ローゼは会う度に写真をたくさん取り、その写真を焼き増しして売買していたのだ。


さすがに許可は、直接ウィリアムに貰った。

彼は少し驚いてから、恥ずかしそうに条件を言う。


「ジャームンサンド国の孤児院に5%を寄付してくれるなら、良いですよ。様々なことでやはり孤児は出ますから、資金はいくらあっても助かりますので。それで良ければ」


ウィリアムはパパラッチよろしく、知らぬ者から隠れて写真を取られていた。表立って文句も言えないなら、堂々とお金になれば得だと考えたのだ。

ローゼがベストショットを撮影すれば、それらの者の写真は売れなくなって、少なくなり丁度良いと思って。


勿論、ローゼとファンファンは承諾した。

大賛成である。


「是非その条件で、よろしくお願いします。全世界のウィリアムファンもその心意気に賛同しますわ。一切本人の利益にせず、孤児院に寄付なんて! お素敵です! やっぱり良い!」


多少興奮したが、うまく契約書も交わすことが出来たローゼ。


ユウユウは飽きれ、その報告を受けたショートニンは盛大に笑っていた。

「以前のように(エリザベート)に執着もせず、立派な小公子になったようだし、ローゼの嫁ぎ先に良いのではないか? まあ、まだ余計なことはせんがな。ガハハッ!」



そんな感じで、呑気に時間が流れて行くのだった。


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