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公爵令嬢は顔が薄い  作者: ねこまんまときみどりのことり


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ジリアンの仲間達

「この姿で眠るのも慣れましたね。人間の姿だとオーラを読まない魔獣が時々襲って来ますけど、さすがに巨大な蛇になればね。どんな間抜けでも戦きますから」


「全く面倒な連中さ。今の私達は、大きさならドラゴンの次くらいだからね。余程の馬鹿か命知らずじゃなきゃ、逃げ出すだろうよ」



ジリアンとガールナはグッドイメロディ国にある、根城の巣穴にいた。

硬い岩をくり貫いた、奥に行くと天井が広いダイヤが埋まる鉱山。

くり貫く時に削られた部分がキラキラと煌めくこの場所は、2人のお気に入りだった。

今さら住み家を変えるつもりもない。


卵が孵っている場所(元はドラゴンの巣)はこことは離れており、孵化した後には自己責任で頑張って貰っている。それは本来の魔物や魔獣の扱いと同じなので、責められるものではない。


そこにはバリアーを張り、ドラゴンが近づけないようにしてあるので、ジリアンやガールナの産んだ魔力の強い魔獣達は、魔界では強い部類に位置する。


けれど食物連鎖はあるので、油断すれば下位の魔獣達に屠られる可能性もある訳だ。特に産まれてから少し体が強くなるまでは、かっこうの餌食として狙われる。


生き延びた個体が子孫を残し、魔物はさらに強くなっていく。


そんな作られた箱庭のような場所を、ドラゴンからぶんどったのだ。


そこはあの巨大なドラゴン(ライメイは15mで高さ20m)が体を休め、捕食できる場所(大森林)を近くに置いた立地だ。


人間でいえば、家の隣がレストランのようなものだ。

ただ規模が大きすぎて、普通の魔獣達にすれば途方もなく広い。


ある意味賑やか過ぎる喧騒から離れたところに、ジリアン達の巣穴が存在したのだ。




◇◇◇

ジリアン達は、特に気に入った魔獣達を名付けして傍に置いた。


フェンリルとブルーレッドコンドルの混血である『ニューカム』。

ニューカムはフェンリルと、炎を吐く紅いコンドルと冷気(温度調整により氷塊を出す)を出す濃青のコンドルの混血の遺伝子を持つ。混血コンドルは自然に起こった組み合わせで、後にジリアンが捕食して得たフェンリルとの細胞を掛け合わせたが、コンドルの因子を強く持った魔獣。

体はほぼ純白のフェンリルだが、翼は紅く羽根の先だけが濃青だ。炎と冷気の両方を操ることができる。



大型の白馬で、脚力の強さに特化したペガサスの『ビィータ』。彼に蹴られればどんな強靭な魔獣の骨をも砕く。


この2体は魅了とも産みの親だからというものとも違い、単純に強さからブラックゴルゴスネークのジリアンとガールナを崇めていた。

彼女達を自分の女王として認めていたのだ。

故に忠誠心。


それもジリアンとガールナは理解していた。

だからこそ彼らにも、人化できる魔法を習得させた。

普通は叶わないことだが、知力が高い2(ニューカムとビィータ)であったことが幸いした。


ニューカムは紅い髪で濃青の瞳の清楚な美女に。

ビィータは毛髪や体毛が純白の屈強な、漆黒の瞳を持つ美男に。


「我らの女王に忠誠を誓います」

「我らの力は女王のものです」


それぞれが跪いて、恭しく言葉を述べた。


「よろしくね。ニューカム、ビィータ」

微笑むジリアンに彼らは、さらに頭を垂れた。


そしてガールナも言葉を彼らに伝える。

「2人とも聞くが良い。ジリアンは私の愛する孫だ。私が生きる意義はジリアンなのだ。その為ならこの命は捧げることも厭わない。故にそなたらが女王と呼ぶのは、ジリアンだけで良い。私こそジリアンの補佐の一人なのだ」


その言葉に更に2人は「了解しました」と、頭を垂れる。

女王でもそれ以外でも、ニューカム達の気持ちに違いはない。強者に対する敬意を表しているのだから。


その気持ちは、ガールナにもジリアンにも伝わった。



彼らはその後、ジリアン達の手足となり、諜報を行っていくのだ。




◇◇◇

以前サーシャルとジャスパーには、ジリアンに提案しようと思った話があった。

それはグリッドイメロディ国の王妃、即ちジャスパーの妻になって貰うことだった。


ジャスパー達からは、美しい国王の妻の座を。

ジリアンには、その戦闘力や魔物を操る能力を提供して貰うことを考えていた。


彼らは知性的であるが愚かだった。


以前のジリアンは第二王妃だったから、王妃なら受け入れると考えたこと。

ついでにジャスパーが美形で、鍛えてはいなくとも王太子としてモテモテだったから、ジリアンも靡くと思ったのだ。


それを彼女が望むはずないのに。

ジリアンは恋については愚かだったが、それ以外は計算高さのある理性を持つ女だった。

きっとニール(ブロディ)に引っ掛からなければ、我が儘だけど可愛い妻として幸せの中にいただろう。


今さら美形も、権力も、お金さえも不要なのに。


始めからサーシャルの計画は破綻していたのだ。

男尊女卑の傾向が強い国で、女性の参謀や補佐が不在だから失敗に気づかなかったのだろう。


もう今さらである。



グリッドイメロディ国に居るのだから、言うことを聞けと脅しても無駄だろう。

以前のジリアンとガールナだけなら、グリッドイメロディ国の軍が出陣すれば討伐できたかもしれない。



けれど今はニューカムとビィータを筆頭に、ジリアン達の子供とも言える魔獣や魔物達はかなりの軍勢となった。

数も強さもグリッドイメロディ国を簒奪できるほどに。

勿論そんな面倒なことは、ジリアンは望まない。


望まないけど、ニューカム達が勝手にやらかしてくることも皆無と言えなかった。



ニューカムは気高く強く美しい。

人化の身長は180cm近く、紅いウェーブする髪は腰まで伸び艶やかにその身を飾り、濃青の瞳は切れ長に少しつり上がりきつく見えた。

実際にジリアンとガールナ以外には冷徹だった。

仲間であるビィータにも、突き放す言い方をすることもある。

「私が一番の側近よ」とか。



ビィータは2mを遥か越える屈強な男だ。

反面甘さのあるタレ目と黒い瞳は、誰もに油断を誘う。

微笑む姿は少年のようだ。

けれど彼もリスペクトするのは、ジリアンとガールナだけだ。

でもニューカムのことも、妹のように思って大事にしている。



ジリアンとガールナはこの関係が心地よく、家族のようにいつも近くにいた。そんな彼女(ジリアン)が王妃を望むはずがないのだ。



ニューカムとビィータが諜報して得た、サーシャル達の情報がくだらなくて溜め息が出たジリアン。


「しつこくするなら、私が滅ぼしてくるよ」と怒るガールナに、ジリアンは笑う。


「お姉様は手を出さないで良いのよ。屠ってエネルギーにしたいと思ってる子達はたくさんいるから。私が囮になるなら丁度良いわ」


「そう? なら良いけど。暇潰しにもならなそうね」


「そうね。強くなってきたわ、孵化した子達。何れ側近も増やしましょうか?」


「それも良いが。嫌がるだろうね、ニューカムとビィータは。自分達が守ると豪語してるからね」


「本当に可愛いわ。だからこそ、彼らに怪我などさせたくないのに。伝わらないのよね」


「ふふっ。言ってやるな。それだけ大事に思ってくれているんだから」


「……本当に。私は幸せね。ここに来る為に今までの不幸があったみたいに」


「私も幸せだから、きっとそうなんだろ」



穏やかな空気が流れる魔界の喫茶店で、ジリアンとガールナはお茶をしていた。ニューカムとビィータは周囲の護衛をしている。


一緒にお茶をしようと言う誘いを断り、安全を守ろうと目を光らせているのだ。



仕えるうちに知ったジリアンとガールナの過去を、彼らは悔しく切なく思い、理不尽に腹を立てた。

そしてそれを乗り越えた2人を、さらに大好きになっていくのだ。


だから今、障害になる者の排除とジャームンサンド国に怒りの矛先を向けていた。


「なんとしても、ジリアン様とガールナ様の笑顔を守るのだ。それが出来るなら、同胞が増えるのも受け入れようと思う」


「ああ、賛成だ。俺達だけで護衛と襲撃は無理だからな。その為なら仲間を増やしても良いだろう」


彼らはジリアンからの、側近を増やす意見を受け入れることにした。

偏に、ジリアン達を守りたいと思う愛ゆえに。


ビィータとニューカムは、何れも異邦人の捩りです。


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