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公爵令嬢は顔が薄い  作者: ねこまんまときみどりのことり


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ランランの就職

 ライメイに魔族の体を奪われたウィリアム(イリヤ)14才とジェド(ジェダイ)5才。


彼らは人間として、生きることを受け入れるしかなかった。


ウィリアムはラリサの弟として、ジェドは魔石の第1号研究員として生きることを決意する。




◇◇◇

キャラウェイと結婚したランランは、この国での仕事を魔石の研究にあてることにした。


ジェドが開発した、此方の青(水属性)の魔石に白金プラチナを溶かした「プラチナウォーター」は、 美容やアンチエイジングに非常に効果があった。化粧水はクリンアンパーン国でも大人気だ。


ランラン(28才)は美しくて頭も良い。

けれど美容研究家でもあるキャラウェイの肌は、彼女よりもっとスベスベなのだ。


「キャラウェイは38才なのに………。私だってまだまだ20代。お手入れは欠かしてはいないけど、もっと美しく見られたいのです!」


他にもこれから伸びのある仕事だと思ったり、今までにない産業だったことも理由ではあるが。それでも理由の1位は、夫に綺麗だと思われたいであった。 



彼女は早速、魔石管理の仕事に就いた。

管理者1号はジェドで、2号はカリナ(25才)で、彼女(ランラン)は3号管理者になった。

管理者達の灰汁が強く、人員補充は難航していたので、正に渡りに船だった。



挨拶でジェドの若さには驚いたが、所謂天才なのだと納得した(しないといろいろ?が飛びそうだったから飲み込んだ。口調とか、態度とかいろいろとね)。


黒髪黒目の生意気な(ジェド)に対し、カリナは緑髪でピンクの瞳の空気を読まない女性だった。


ピンク縁のお洒落な眼鏡をして、オカッパの髪をヒマワリの飾りピンで止めている。白衣のボタンを止めないので、彼女のミニスカートから見える生足に目が行ってしまう。

(ハレンチだわ。でもこの国って、ファッションが自由なのよね。恥ずかしがる私の方が変なのかしら?………)


目を覆って失礼だと思われないように、慣れるまでは要らぬ努力をしたランラン。だが、ランランを愛しているキャラウェイなら、(嫁限定で)ミニスカートは反対派にまわるだろう。




勤務初日の回想。

白衣を着ている2人は、熟練のお笑いコンビのように言いあいをしていた。


「だっから、こんなに魔石崩したら、時間かかるだろ? 人件費の無駄だよ!」

「いやいや。大きいままだと、薬液の味にむらが出ますから!」

「そんな繊細なこと、冒険者や騎士は求めないぞ!」


「何言ってんですか、ジェド。一番のお得意様は、お肌が気になる淑女達ですよ。昨今は味も大切なんでよ、治癒ポーションは。お肌に効くんですって!」

「怪我もしてないのに、治癒ポーションなんて飲むなよ。ったく。まあ儲かるなら仕方ないけど」


「あ、あのー。今日からお世話になります。ランランと申します。よろしくお願いします!」


「「あ゛ぁ!? 」」 


ノックをしたが気づかれず、扉の前から大声の挨拶で、漸くランランに気づく2人。勤務時間ギリギリまで頑張ったが、普通の声ではスルーされていたのだ。


「何でそこで挨拶を?」

「入って来れば良いじゃない?」


「や、でも。白熱した会議のようでしたから。それにいくら私でも、勝手に入るのはちょっと………」


「遠慮しないで。みんな平民だから」

「そうだぞ。俺達は上司以外に、敬語なんか使わないからな。まあ、金を落としてくれる客にも、若干気を使うけどな」

「ぷぷぷっ。本当、詐欺師みたいなのよ、ジェドって。貴族には特に丁寧に話すから、素敵って誤解されてんの。こんなに口の悪いガキなのにね~」


「………降格だな、お前」

「はぁ? 何言ってんのよ。ただでさえジェドが上司で私が部下なのに。これ以上、下なんていない………はぁ? 嘘でしょ、信じらんない」


「?」

急にカリナの視線から向けられ、キョトンとしてしまうランラン。

(何かしら? 私まだ、挨拶しかしてないのだけど? 全然話が見えないわ)


「王妃であるアナスタシア様からの肝入りの紹介だ。結婚前は男爵令嬢で、隣国の王女の侍女。気品もあるし、難しい交渉も出来そうだしさ。研究は俺達がして、販売はランランに任せても良いし。そしたらまあ、彼女が2号管理者で良いんじゃないか? 反論は?」


「ぐぬぬ。そうね、私には叶わないわ。あのオッパイは目が行くもの。顔も綺麗だし、営業先も増えそうね。『私もこの商品使ってます』とか言ったら、男女群がりそう。また売り上げが伸びますな、ジェド」


「おおっ! 納得してくれるか、カリナ。さすがだな、心の友よ!」


「「ワッハッハッハ」」

「何ですか? 何の話ですか!?」


そんな出会いの3人だった。

想像通りにランランが此処を仕切り、2人は研究業務だけに落ち着き、人員募集をかけて組織を構築していく。部署は別になったので、降格とかは関係ない話だった。



魔石研究所の代表、ランラン。

魔石研究所長ジェド。副所長カリナ。


その下に履歴書を見てからランランが独自調査し、優秀な人材をとりこんでいく。諜報員の技術が無駄に発揮されたのだ。

だがそれは杞憂ではなく、国の財政に直結する魔石産業は大事な屋台骨だったから、結果オーライである。


この国はわりと脳筋(知性派と呼ばれるアナスタシアも脳筋寄り)なので、知的財産を守れる人材が少なかったのだ。


ランランもキャラウェイと暮らすこの国が好きになっていたので、そこを守ろうとちょっと頑張った。

ショートニンに依頼し、管理業務が出来る人材を送って貰ったのだ。


ロビンは更正しリンリンと仲が良く、ランランも重要な仕事を任されたことで、ジャームンサンド国に一枚噛もうと思ったショートニン。派遣された比較的仕事が出来る人材達は、他の人材を抑えて重役ポストを確保していった。


「あの国は戦えないと肩身が狭かったんだ。だからここは天国だよ」

「ああ、本当にな。普通に戦えるだけじゃ、全然間に合わないんだもん。事務仕事だけ出来るなんて、幸せだよ」

「私もこの国好きよ。暖かくて食べ物も美味しくて。家族や友人も呼ぼうかしら?」


話す順番に紹介すると、

ベルタン(32才、男性)、ブロンクス(24才、男性)、ジェーン(22才、女性)は、クリンアンパーン国でも優秀な文官であった。

ただクリンアンパーン国では、戦闘力が低いと評価が下がる傾向にある。移動中に猛獣や野党の襲撃で他者に守られると、それはもう顕著に。


彼らも弱い訳ではなく、ジャームンサンド国の者と同じ程度には戦えるのだが、クリンアンパーン国はもっと切実だったのだ。脳筋が優遇されている訳でもなく、猛獣や野党も強かったので。


そんな感じで新天地を得た3人は、思う以上の実力を発揮していた。素質 + 環境である。


ショートニンが大したことないと送りつけた人材が、実は超優秀だったと知るのは、ジャームンサンド国とクリンアンパーン国が商品売買のテーブルについた時に発揮されるのだ。


ジャームンサンド国に安住の地を見つけたベルタン達は、ショートニンの思うように動かないどころか、ふっかける勢いである。けれどそれを悟らせない交渉術を巧みに行使する3人。ランランも勿論ホクホク顔だ。


ランランと一緒で、彼らはこの国ジャームンサンド国が気に入り、真の住人になったのだった。



◇◇◇

ジェドは体が消失したことに気づいたが、忙しさにかまけて考えることを止めていた。


「しょうがないよな。きっとあの(魔界の)国の中でもいろいろあったんだろうし。そんな危険も考えて、ここに転生したんだから。姉上は姉上で頑張ってくれよ」


ジェドは体の件に対して、国王とは別の派閥のせいだと考えていた。ならば仕方がないなと。狙われる危険性は最初からあったのだ。

心残りは姉のことだが、もう祈るしかない。



まさかドラゴンのライメイが、自分の欲望の為に人間に力を与えたなんてことは、これっぽっちも考えてはいないのだった。


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