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公爵令嬢は顔が薄い  作者: ねこまんまときみどりのことり


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地味顔もほどほどに

「「「こんにちは」」」

「いらっしゃい、好きなとこに座ってください」

「「「はーい」」」



学校近くの空き地には、次々に商店が立てられていく。


学校や魔石工場があり、人の出入りも多くなったせいである。

特に魔石は産地直送ということで、輸送コストや仲介者が入らないことで安くなっている。 大きな物じゃなければ購入できるので、観光客が増えていた。


それに便乗して、魔石のついた衣類やバック、小物を売るお店もできた。 指輪やネックレスの店も。高級店ではなく土産物感覚なので、クズ魔石を使うので安い。


それを当てにした食べ物屋も、いろいろとできた。

食堂は季節に関係なく学生達も利用している。生徒は、学生価格でかなり安い。その分観光客には上乗せしているけれど。


お好み焼き、クレープ、アイスクリーム、喫茶店も立ち始めた。観光客以外も食事をしに立ち寄り、そこそこ盛況だ。孤児や学生達もアルバイトしたり、気に入られて就職する者もいた。




そこには、化粧をしてないキャラウェイとカザナミとラリサも喫茶店に来ていた。 ふだんは化粧をして学校や魔石工場に来るラリサだが、スッピンだから誰もラリサと気づかない。


そこで冒頭のいらっしゃいに続く。

ラリサのメイク顔なら、「エリザベート様」と周囲や店からも傅かれるが、一切ばれていない。悲しいほどに。


「貴族令嬢も、こんなとこ来るんだな ?」

屋敷でご馳走出るじゃんと、カザナミが問う。


「家のご飯美味しいけど、ジャンクなのはでないのよ。すごい色のジュースとか、どでかパフェなんて出ないし。ちょっと寂しいわね。素材は高級なんだけど」


「まあ、たまには良いでしょ。いつも頑張ってるんだから、好きに食べなさい」

キャラウェイはイケメンだが、口調はオネエでいくみたい。そうじゃないと、やたら声が掛かって鬱陶しいらしい。


カザナミだって、ウィリアム似の金髪碧眼だ。当然目立つ。 このメンバーで地味なのはラリサだけ。 でもそこが狙い目だった。目立たずに食事ができるはず。



今日のラリサは食べる気満々だ。早速注文する。

「えーと取りあえず、チーズスフレ、チーズタルト、ジャンボ苺パフェ、チョコケーキ、4色マカロン、フルーツサンドで」


「ちょっと、それみんなの分よね」

焦って聞くキャラウェイ。


だがラリサは、人指し指を振り答える。

「まさか、私の分だよ。食べたい物は各自注文して」


「えー、まじか? 俺初めて来るのに。じゃあ、俺もラリサと同じ物で」


「え、ちょっと、大丈夫? 結構甘いのよ」

心配顔のキャラウェイだが、大丈夫だと言うカザナミ。

そお?と言ってキャラウェイも頼む。


「じゃあ。私はカツサンドとナポリタンと卵スープで」


「え、何それ? 旨そう。俺、それも追加!」


「ちょっと、あんた。多いって」


「大丈夫だって! イケル、イケル」


「もう、知らないわよ」



なんてことを言ってると、次々に料理が運ばれてテーブルがいっぱいになってくる。


「「「わー、美味しそう。いただきまーす」」」


「カザナミ、テーブル埋まる前に食べてお皿を重ねるわよ !」


「了解 !」


勢い良く食べる2人に、目を細くするキャラウェイだが、諦めた。

まあね、公爵令嬢とドラゴンが同じテーブルに着くのも大概じゃないからね。


「旨いね、ラリサ。いくらでも入るよ」


「でしょ? ここのシェフにも元公爵家の人がいるのよ。レシピは同じなのに進化してる。美味しくアレンジされてるよ」


「まじか! ヤバいね」


「うん、最高!」


興奮し捲し立てながら食べる2人を見て、1人ゆっくり食すキャラウェイは上品だった。


周囲の女性はキャラウェイをうっとり眺め、男性や子供はラリサ達に触発されて注文が増えた。


「俺もブリュレくれ」

「カツサンド追加」

「ジャンボ苺パフェくださーい」


「はーい、ありがとうございます♡」



結局完食するラリサ達。

「くー ! お腹いっぱい。もう入んない」


「ラリサ、行儀悪いわよ。令嬢がそんなんじゃ駄目じゃない」


「俺も満足。キャラウェイ、今日は夕食いらないから」


「もう、カザナミもお腹さすらないの」


「解ったよ。お母さんみたいだな」


「ほんとにねー」


ケラケラ笑って機嫌良い2人だが、キャラウェイは1人疲れていた。今度は1人で来ようと思うのだった。



人知れず、売り上げには貢献できたようだ。



『エリザベートお嬢様に、美味しく召し上がっていただけて良かった』

当然ながらラリサの家の元料理人は気づいているが、気まずくならぬように挨拶にはいかない。 お忍びと解っているからだ。 元公爵家の料理人ヒナも、銀行にお金を借りて独立したのだった。 周囲の店も同様で銀行の援助を受けていた。


失敗もあるだろうが、チャンスは活かされている。

ヒナはラリサ達がこの政策を作ったのを知っていたので、余計に嬉しかったのだ。


『でもお嬢様と一緒いる美形誰かしら ? も、もしや、どちらかが婚約者なのかしら ?  キャアー』

なんて喜ぶ乙女ヒナだが、婚約者の前でこれ(腹さすり)はないかぁ。やっぱ違うかぁと即座に残念がっていた。



その夜、食べすぎてお腹を壊したラリサは眠れずにいた。そしてウィリアムに腹痛の薬を貰って飲んでいた。


 

「姉上、ほどほどにしてくださいね」

「はーい。心配掛けてごめんね」


結局、怒られていたのだった。


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