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公爵令嬢は顔が薄い  作者: ねこまんまときみどりのことり


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35/77

地味顔の魔女の国に、魔界から攻めてこないねえ?

 日々訓練に明け暮れるラリサ達。

でも、ちっとも魔界からの攻め込みはない。


  何故?


答えは、魔界が混乱していたからでした!


ラリサの弟ウィリアム(魔界名イリヤ)の父は、多くの側室を囲い産まれた子が魔力の弱かった女性を、次々と報奨として部下に下賜していた。

見目良く強靭な肉体を持ち、優しい言葉で口説く王ハイルリヒに、ずっと守ってくれると思い側室として嫁いだが直ぐに下賜される女達。

男達も適齢期の数少ない女性達を独占され、憤っていた。

側室の親達も勿論不満を持っていた。



最期まで面倒を見ないなら、侍らすように囲うなと多くの者が口を揃える。


そもそも魔界の住人は、人間界の1/100の人数しかいない。

生殖できる人数はその3割。

果てしなく広い魔界での一部地域なら、奪い合い必須だ。

子を孕むと産むまでには1年程だが、魔力が戻るまでに100年かかる。 その為強い魔力の子を望むなら、それだけ待つことも必要だ。 勿論生殖行動だけが、体を重ねる理由にはならないが。


それでも、出来るなら若いうち(出来れば純潔)から一緒に居られれば、第一子は直ぐに授かれるだろう。 直ぐでなくとも、タイミングを図れるだろうし。 何より好きで、ずっと一緒に居るなら、お互いに尊重していけるだろう。


所謂、農村地の花嫁争奪戦のようなもの。


そんな村に悪代官がいて、次々に村娘を娶って捨てるみたいな図になってるのだ。

(ハイルリヒ)の心情は、可愛い子がいたら抱きたい気持ちが抑えられず娶っちゃう。 その時は、ずっと慈しむつもりで。 そして孕むまでは、真綿で包むお姫様扱い。 母になると途端に興味を薄くするクズ野郎だ!


当然、女性達も噂は知っているが、真綿の時に私だけは違うと思っちゃうの。 そして後悔の嵐。 こんな扱いされるなら、結婚しなきゃよかったと泣くのだ。 それも好きでもない男に下賜とか、男の方は可愛い嫁さん貰えて嬉しいが、女にしてみれば売られるも同義だ。


そんな反発が強まり、広がりを見せていた。


男尊女卑思想が強く残る魔界で、下半身から生まれたようなハイルリヒだが、女癖以外は義理人情に厚くルールを重んじる良い奴なのだ。 弱肉強食と言えど、火山の噴火等の自然災害や、他の魔界の国が攻めてきた等は、先頭に立って解決していく。 決して贅沢などせず、国庫は魔界の民の為にと考える私腹を肥やさない王なのだ。 なのだが、時代が悪かった。


今から考えると、2億年前が魔界のピーク。 次第に魔素が減少し、ここ千年はピーク時の1/100程度の濃度しかない。 1000年以前に産まれていた(魔界の)民は、生き残っているだけあり強者であるが、寿命の関係もあり数少ない。 魔界には民とは意志疎通が出来ない、しない魔獣達も多くひしめく。 彼らからすれば、弱いものは等しく餌なので、容赦なく食されるからだ。 


その中でも、当時(魔素が濃い時代)の最強なのにお人好しな魔界の王に忠誠を誓い、その後も協力してくれた魔獣ブラックゴルゴノプスドラゴン。


その時は様々なことが魔法で作り出され、ブラックゴルゴノプスドラゴン(とその魔物舎弟)達が他国で略奪を繰り返し、全盛期を極めていたこの国。 その蓄えで暮らしているような現在のこの魔界の国なのだ。


人間の国のような税金もなく、必要な時には各家門に協力を要請する形。 それを取りまとめるのが現状。 時代が変わった今、もっと人間の国のような仕組みにしても良いようなものだが、割りと脳筋の代々の王達は変化を取り入れなかった。 あくまでも強さに頼るように、子や臣下達を強く鍛えることに重きを置いた。


昔のように他国への略奪をすることはなくなったが、その分を補うように人間界へ魔界の植物(主に毒草)等を売却することで、生計を立て始めた。 それらを助言したのは人間界を視察した宰相ら大臣達。 昔のままで国の経営は出来ないと、随分以前から苦心していた者達だ。 本当はもっと本格的に輸出に力を入れたいが、王が聞き入れてくれないのだ。 


他の魔界の国では、人間にも受け入れられやすいように、機械(科学)とこっそり魔法を融合して自動車や電化製品を作成し輸出していた。 勿論そこに中間バイヤーがいて、魔界産と言うことは秘密にして。 せいぜいが遠い国からと適当な名前の国からの輸出にしていた。 やはり魔界産と言うと、未だに怖がられるので隠しているのだ。 そんな他の魔国の経済は飛躍的に発展している。 溢れるくらい居る人間相手に商売することが、一番手早く金になりやすい。 戦争等、今の時代ナンセンス(意味がないの)だ。 魔界人だって、平和に暮らしたい。


そんな中、イリヤ(人間名ウィリアム)のコールドスリープ機材は、軍事目的として他の魔国から購入した。 だが、それ以外はハイルリヒ王率いるグリッドイメロディ国は、ほとんど機械化していない。 戦車や大砲などは昔ながらに自国で生産し、無線や伝書鳩や伝書鷲を使う戦略。 主に陸軍的な肉弾戦が主流の国なのだ。 他は魔物を使う動物使いと、最終で魔力が強い王族達が直接戦うことになる戦法。


そんな状態なのに、側室を多く持つことだけは変わらないなんて、非難が強まるのは当然のこと。 それが解らない王なのだ。 そして宰相アイドステルだって現状を解っているのに、改革どころか娘を正室とする為に逆らえなくなってしまった。 親友アルファードは、軍務大臣でハイルリヒの右腕だが残念ながら生粋の脳筋なのだ。 すごく性格の良い竹を割ったようなさっぱりした奴なのだが。 そして外務大臣となるサーシャルが、王位を改革派に渡そうとしている1人。 昔から王家に忠誠を誓うジャクリス侯爵家だが、このままだと国の自然解体は免れないと苦渋の決断をしたのだった。 彼も王のことは敬愛しているが、何度進言しても経済的変化を受け入れない姿勢には、付いていけなかった。 軍事では強いと思っているハイルリヒだが、既に情報線に弱いことで初手から詰んでいる。 攻められれば迎い打てるが、旨味のないこの国に態々攻めることもないだろう。 自国のことを考えるなら、経済発展が先であるからだ。 そして着実に豊かに成りつつある周辺国。 


無血であれば、経済重視の王族を国王にすることに否定する者は少なからずいる。 国の制度を変えることも必要だろう。



そんな中以前オウギワシに意識を移し、狩られかけた魔族イートンは思った。 「人間の国やべえ、めちゃ強いよ。 だけどあれで上官が居ないとか言ってたぞ。 急いでサーシャル様に報告しないと」 


そうサーシャルは、いろんな方面から人間界を探っていた。 イートンは一応密偵だった。 今回功績を焦り挙げようとしたイートンが、フライングしやらかしたのだ。 果たして密偵って言葉、イートンは知ってるのだろうか?

『お前は…………… 下手したら、王家との前に人間と戦争になるだろ! 慎重にと言う言葉知らんのか!!』と、サーシャルは思ったが口には出さず。

僅か微笑み「そうでしたか、ご苦労様。 これは少ないですが。 これからは怪我のないよう慎重に」と、金貨を数枚渡し労う。


イートンは嬉しそうに、「御心配お掛けしました。 気を付けるっす」と言って、その場を去った。


サーシャルは、他国や人間界をまわり知っていた。

自国の現状を。

人間界にちょっかい掛けてる場合ではないと。

「このままでは、ここに居る王の子達誰が継いでも変わらない。 聡明で他者を率いるカリスマ性のある者でないと。 早くイリヤ様が戻られれば良いのだが」


そう、他の兄弟姉妹に疎まれるイリヤは、カリスマ性のある人格者だった。 だから危険な任務も受けたのだ。 王や兄弟姉妹はイリヤの重要性を解っていなかった。 だが、周囲の大人は気づいていており、次期国王にと切望していたのだ。



だが、肝心のイリヤ(人間名ウィリアム)は、ブラックゴルゴノプスドラゴンの竜玉を持つラリサを殺せる訳もなく。 本体のブラックゴルゴノプスドラゴンは、既に人化していた(ドラゴンの体はマジックバックに入ってはいるが)。 こともあろうに、ドラゴン姉妹も人間界に住んでおり、人化したカザナミが死ぬまでは人間界で暴れないと約束していた。


王家の守りのブラックゴルゴノプスドラゴンだが、こんなに簡単に王家との約束破って良いのと思うが、約束自体はドラゴン姉妹の高祖父(ひいひいおじいちゃん)がしたことだし、契約書もないし、何となく王家寄りだっただけで誓約もないので、問題はないのだ。 ただ王家が頼りにしていただけの話。 他国との牽制の一貫にもなってもいたのだが。


ここだけの話、魔界でもこのグリッドイメロディ国は、人間界に行く結界に一番近い。 この国の隣が人間界であった。 人間界に物品を輸出にする他国は、一応関税的な物(金貨)を払っていたが、面倒に思っていた。 この場所に工場建てれば輸送コスト浮くのにとか。 ブラックゴルゴノプスドラゴンが居ないことが知られれば、関税についても不満が出るかもしれない。 今後の国政運営に影響を残す問題は多い。 だが、国を捨てることも出来ない国民達。


魔力の乏しい魔界の住人(魔族)達は、人化して人間界に住んでいる。 輸出や輸入に手引きも関わりも持っている彼らは、いろんな国に住んでおり、人化者の情報網(ネットワーク)も持っている。 それらの者を弱いと切り捨てず、尊重して協定を結ぶ魔界の国は、目下発展中である。 そして正面的に隠しているが、異常に魔力上昇の上がっている国があることも、人化者達は知っていた。


言わずと知れたラリサの住む国である。

時々、魔界の魔物達が結界から出てくるが、被害もなく事件にもなっていない。

そして魔物の死体もない。

毒のある魔物さえ………


何かがあると考えるのが普通である。


だが、そこに住む魔界からの人化者達の口は堅い。

だって、とても住みやすい国になっているから。


魔法が使えることを尊重され、福祉が充実し活気のある国。

元魔族には住みやすい。


そして、ブラックゴルゴノプスドラゴンの守護もある。


ドラゴン姉妹の艶やかな姿も見られるし(一部の意見)。



そんなこんなで、知らないうちに注目されているのだった。




いろんな思惑を考えることもなく、人間界に魔獣を放つ若い魔族達。 そして失敗を繰り返すことで、ようやく理解したのだ。

「人間やべえ」と。


まあ、個人的な戦闘力が高まっているのは、ラリサ達の国だけなのだが。


そしてハイルリヒは、何もしていない。

サーシャルは思った。

『王は何もしない方が平和』だと。



だが、ラリサ達は待っている。

「今晩のおかず遅いな~」と。


魔族は統一していないから、時々人間界へ攻撃をしかける輩は後を絶たない。

他の魔国でも、現状を確かめる為に魔物を放って状況を確認している者もいるようなので、しばらく魔物(供給)のストップとはならないだろう。






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