地味顔の魔女は、婚約者に決まる?
時はさらに流れ、ラリサ(エリザベート)は14才になった。
あれからも日々防衛体制を整える王国軍だが、たまに魔獣が来る程度で恙無く平和だった。
その為、王国にも市政にも表立ったひどい被害報告はなく、国は民や貴族から支持されている。
もうすぐゼフェルの誕生祭。
常に緊張してばかりでは、精神的にも疲弊してしまうと言うことで、久しぶりに王城にて舞踏会スタイルの祝いの会が催される予定だ。
ゼフェルは、次の誕生日で16才となる。
そろそろ本格的に、許嫁を決めなければならない時期。
一応3人の婚約者候補がいるも、それぞれ14才になる。
確実に王妃もしくは側妃になる確約がなければ、今後の結婚にも差し障りがでてくる。
決断する時期が来たのだ。
始めこそラリサ(エリザベート)の軍隊入りは内緒にしていたが、再三の魔物・魔族襲撃で公の場で戦闘したことで、周知されてしまっていた。
ゼフェルの護衛としての婚約者候補だったが、その部分では意味を成さなくなった。
・1人目はラリサ(エリザベート)
・2人目はビルガード侯爵家のサマンサ
若干6才時点で、既に淑女然のクールビューティー。
落ち着いた大人の雰囲気は健在で、冷静沈着。
学者肌で外国語を4か国マスターしており、(候補から外れたらと言う前提で)女性官吏も目指している。
・3人目はレンブルス伯爵家のロールケイト
元王妃の親戚筋で、護衛要因として候補となった。
もともとラリサは、王太子妃等希望していない。
どちらかと言うと、ロールケイト嬢も護衛要員である。 勿論望まれれば幸甚の至りだが。
サマンサもゼフェルが好きと言う程でもないようだ。 勿論婚約者になれれば、家族は嬉しいだろう。
ゼフェルも他で好きな女性もいないようようだし、この中で選ぶのが順当であろう。
ちなみに、ゼフェルは昔と変わらず真面目で純朴。
強くなることに前向きで、やや脳筋気味なのは同様だが良い奴である。
王子なのにわりと世話焼きで、部隊での人望も厚かった。
だが、この年ゼフェルは、国の作戦参謀へと異動になった。
この時点で王太子の次期国王就任は確実視され、前線戦闘は禁止となったのだ。
タルハーミネ部隊の副隊長はジョージが就任。
剣士と魔法師の混合部隊である。
ファンブル公爵家次期当主のウィリアムも、当主教育の為除隊し生家へ戻る。
客観的に見積もって、脳筋を抑えるのはサマンサが適任だろう。 猪突猛進の彼を引っ張り、采配が奮える稀にみる天才児。
現時点で外国語を4か国習得しているのは、今後外交においての戦力となるのは間違いない。
ラリサ(エリザベート)とロールケイトも、妃教育を真面目に受けており、2か国は習得しているが、理解力の深さは及ばない。
反面戦闘力は、サマンサには皆無。
アナスタシアの妃教育に、なぜか護身術として戦闘訓練があるも普通の令嬢であるサマンサに、訓練を受けた2人のようなことは出来ない。
どころか、少し走ればバテる有り様だ。 貴族令嬢としたら、これが普通だ(アナスタシアの少しは、走り込み3kmとかからだ)。
周りの者はサマンサが嫌がるかと不安そうだったが、体を動かす機会が出来て嬉しいと言う本人。
将来性はあると頷くアナスタシアだ。
王太子妃にも王妃にも護衛は多数着く為、この辺りは最重視するべきでもない。
そうなると、誰が王太子になっても良い訳である。
但し、ラリサ(エリザベート)が候補から外れれば、第二王子のロビンがアプローチに来かねない。
これまでも自分の兄の婚約者候補なのに、再三声かけやプレゼント攻撃をしてきていた。
将来の義姉と仲良くしたいとか何とか言うも、他の2人には送っていないのは言わずもがなだ。
だが一途と言うこともなく、寄ってくる可愛い子には手を出しまくりである。
アナスタシアやニール(ブロディ)からもいろいろ説教されているが、ニール(ブロディ)が前世を思い出す前にいろいろやらかしていたこともあり、聞き流している。 ジリアンも『うちの子は格好良いから、しょうがないのよ』と、諌めたりしないのだ。
ジリアンはジリアンで、魔族だった高祖母が死んでからいろいろ詰んでいたが、高祖母繋がりで魔族が接触を図っていた。 勿論ラリサに近づく為にだ。
ただ接触を図ったのは、若手の魔族集団だった(さすがの魔王軍も、諸刃の剣には手は出さない)。
魔族とは言わず、隣国の魔術師だと偽って接触。
ファンブル公爵家の力は絶大だ。
もし王太子妃候補にラリサ(エリザベート)が着いても、ラリサ(エリザベート)を拐かし、疵瑕が付いたことで王太子の婚約者から引きずり下ろし、憐れに思う第二王子が婚約者に据える筋書き。
そのついでにゼフェルにも深い傷を負わせ、将来的にはロビンが王位を継げればさらに良しと。
そんな旨い話で、ジリアンを煽る。
ジリアンとて其れほど愚かではない、見返りを尋ねて真意を図る。
するとロビンが王になった際に、隣国の没落貴族家の魔術師である自分へ魔石と魔道具の優先販売権が欲しいと言うではないか。
ロビンが王にさえなれれば、そんなものはどうとでもなる。
そう思い協定を結んだのだ。
悪魔と人間の契約だが、血の契約ではなく悪魔の名も明かしてはいないので、なんの効力もない。
王太子と王太子妃候補相手に、こんな軽い契約など普通はしない。 誰かと相談でもすれば良かったのだろうが、愛息子大事のジリアンは、盲目的になっていたのだ。
ロビンが欲する者を与えてやりたい。
ゼフェルの婚約者候補だった娘は気に食わないが、もしロビンが王太子となり王位につけば、第二王太子妃や第二王妃に格下げすれば良い。 疵瑕者となれば文句も言えないだろう。
自分がその立場(二番目)であったのに、気持ちを理解できない悲しき女。
少しでも慈悲が残っていれば、こんなことは考えないだろう。
そして若手魔族達も、ラリサ(エリザベート)達の戦力を舐めていた。
ラリサ(エリザベート)達が、300年前に美味しく食したと言うブラックゴルゴノプスドラゴン(魔力が戻っていない方)を餌に誘き出す作戦がどんな結果になるのかを……………
ゼフェルが誰を選ぶかで、今後の動きが変わるのだ。




