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公爵令嬢は顔が薄い  作者: ねこまんまときみどりのことり


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24/77

地味顔の魔女は、お肉を振る舞う

 逢いたくて逢いたくて、焦がれた師匠がここにいる幸せ。

こんな時はもう、やるしかないよね肉祭り。


「師匠、実はどうしても食べて欲しいものがあるのです!」


 ラリサは徐にマジックバックから、オウギワシを取り出した。


ちょっと顔がひきつるヘルガ。

オーノー、オウギちゃん!

前世では技を仕込み、共に戦った仲魔(魔獣)達だった。


 人間って魔獣食べるの? 毒あるよね? へえ~解毒!?してあるんだ。

今は私も人間だけれども!

いや、まあ、鶏肉や豚肉だって、先祖を辿れば魔獣だけれども。

人間界に来た魔獣が、普通の鳥や豚と交配して今の形に。

逆にこちら(人間界)から魔界に渡り、魔獣化した動物もいるしね。

元は人間界原産?のタランチュラとかも、バンパイアスパイダーになって、一大勢力築いてたなぁ。

あの蜘蛛、巨大化するわ、毒あるわ、血を吸う毎に知能も高くなってるわで、誰も近づかないうちに、炎でも焼けない糸で巣を作ってわね。

流石にひいたよね。

新参者になのにさ。

でも、オウギワシが結構捕食してくれたのよ。

そんな思い出のオウギちゃん。


 でも・・・・・美味しいんだって!

イリヤ(ウィリアム)も食べたって!

どうしよう・・・・・食べないとがっかりされちゃうよね。


 ラリサの手作りだもんね。

人間達が食べるなら、今人間の私も(涙を拭いて)食べるさ。


 今日の料理は、

1品目:さつまいもといんげんまめの手羽ロール。

手羽の骨を抜き、骨を抜いた部分に茹でたいんげんとさつまいもを詰めて、塩コショウを振って油で揚げる。

2品目:鳥もものからあげ。

塩、こしょう、酒、すりおろした生姜で、手のひら大に切り分けたお肉をつける。

でんぷん粉を軽くつけて、油で揚げる。


のお肉とパンと野菜サラダと鶏ガラスープです。


 「え、もしや」と驚くヘルガ。

 頷くラリサ。

 師匠直伝のメニューだ。


 こしょうや生姜、でんぷん粉(現代だと片栗粉)は、ヘルガが薬草として育てていたものだ。


 でんぷん粉は、じゃがいもからわりと簡単に作れるが、その発想はなく、それを売り出してブルーノは一財産築く。

でんぷん粉が一般にはないと気づいたのは、メアリーだ。


 300年前、ラリサはヘルガと死に別れて旅に出た際、畑にある野菜や苗、種、支え棒、植木鉢、ハッカ、鎌、鍬等を全てマジックバックに突っ込む。

そしてブルーノの祖母だった前世で、畑を作り薬草と一緒に調味料も作っていたのだ。


 貴族家にいた時は調理人が料理を作ったが、隠居してからは自分で料理を作って食べていた。

 ブルーノもメアリーも、「食べたことのない味だ! 美味しい!」と言って食べていたが、スパイスや下味の材料が見たことがない物だったことを、手伝いをしていたメアリーは気づいていた。


 ラリサが亡くなった後に、でんぷん粉やこしょう、生姜等を大量生産することを提案し、資産にしたのは2人の商才だった。

ラリサにとっては食べなれた物だったから、珍しく思わなかったのだ。 (後から聞いて、自分の物が孫の為になって嬉しかったようだ)



 まあ、それは置いておき。

ヘルガとラリサの思い出の料理(ヘルガがよく作ってくれた)。

鴨や鶏の数十倍あるけどね。

手羽用のさつまいもは切らないで、丸まんま1本を縦穴に3本だし、いんげんまめ10本くらいずつたばにして縦穴に3セットだし。

とにかく大きいの。


唐揚げだって、元が大きいからステーキくらいの大きさだし。


300年以上を経て、やっと念願だった親子というか師弟の晩餐が叶う。


覚悟を決めて口に入れるヘルガ。

「ん、おいしい・・・ね」

「本当に!」

「うん、ちょっとびっくりしたよ。 あんたけっこう大雑把だったし、生焼け覚悟だった」

ニヒヒと笑い、大きな口で食べるヘルガ。


からかわれながらも楽しそうなラリサ。

「私だって、たくさん作ってきたんです。 ちょっとは上達しますって」


ブルーノとメアリーには、ヘルガことタルハ―ミネと仲良くしてるのは、まだ見せられない(いろいろ疑われそうだから)。

だからこそ、秘密を知る人だけでの離宮の料理は、貴重な機会なのだ。


『おいしいなぁ』

思えば人間界に来てからずっと1人で暮らして、最後にラリサと僅かな時間を過ごし。 タルハ―ミネになってからは、ずっと誰かと比べられて自由がなくて、ひねくれて、それでも認められたくて……………(心の中で独りごち中)

 ああ、今なんだか楽しいなぁ。

 きっと信じられる者がいて、安心できるからなのかな?


もっと心を開いて、意地を張らなければ良かったのかなぁ?


 まあ、記憶が戻って、今幸せだから良いか。

 これからは、自分のしたいように生きよう。


 イリヤ(ウィリアム)も嬉しそうに、微笑んでいた。




ーーーーー

 そして再び12才のラリサに戻ります。


 6年後の今、ジリアンのゼフェル暗殺計画は頓挫していた。

ジリアンの魔物使役レベルは確実に上がっていたが、いくら魔物をけしかけても倒される状態が続いていた。

なんというか、純粋に魔界からはみ出してくる魔物と一緒に討伐されていたのだ。

 逆を言うと、一緒くたになっているので、ジリアンの犯行を割り出せないでいた感じに。


 町や村には結界が張り巡らされ、所々の(結界の)空白地帯に騎士団や魔法師団を配置。 そして、王城に続く騎士団や魔法師団の訓練所、さらに王城にはあえて結界を展開していない。


 漁で言うところの追い込み漁だ。

正しいかどうかは置いておき、今の所はこれでベストな状態である。

 ラリサ達は、魔界がまだ本気を出して来ないうちに、さらに計画を進めたい所。



 ジリアンを指導している祖母は、魔族のクォーター(1/4の魔族の血筋)で、祖母の母の母は現役の魔族だ。

残念ながら祖母の母は寿命で亡くなっており、祖母も70代に近い高齢者だ。

魔力以外は、ほとんど人間と変わらない。

魔法を使い魔物を操れば、直ぐに疲れてしまっていた。


ーーーちょっと前までは

でも最近は疲れも見せず、皮膚の皺も減ったようで、若返っているかのよう。


 そして今日は、祖母がヴェノムタイガーを10体放つと言うのだ。


 1体だけでもかなりの精神力と魔力を使うのに・・・・・

大丈夫だろうか?

術が失敗すれば、コントロールが術者から外れ、暴走や術者を喰い殺しに来るかもしれない。

でも、この頃の祖母は力が漲っている感じがするし・・・・・


お手並み拝見しようじゃないの。

もしかしたら、成功するかもね。 

フフッ

思わずにやけるジリアン。


呑気に構えているが、祖母の力の漲りは当たっている。

そして人間は、そう簡単には若返ったりしない。

実際の祖母は、何も知らぬまま疲労が辛いと自宅で暮らしているのだ。


では、ここにいるのは誰なのか?

高祖母(ひいひいおばあちゃん)で、魔界の吸血鬼だった。

魔族は人助けなんてしない。


 人間側を瓦解させようとする魔族の罠だった。


 王達から見れば、内部から亀裂が入るようなものだ。

ジリアンはゼフェルやアナスタシアの命どころか、自分達の命も危機に瀕していることに気づけなかった。





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