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公爵令嬢は顔が薄い  作者: ねこまんまときみどりのことり


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地味顔の魔女は、献立を考える

 魔物ーーーそれは人類を襲う敵。 魔力を持った猛獣。 (注釈)毒のある物程美味。


注釈部分は殆どの者にいらない情報である。


普通の人はあの恐ろしい造形の物を、食したいとも思わないだろうから。


但しこの国のトップと周辺数名には、極上食材と認定され狙われている。


そして極一部に来るのが今か今かと、(こっそり)待ちわびられている。


「今度は照り焼きか鍋だな。 いや、どっちも食べたいな」

「じゃあ、やっぱり鳥獣だな」

「うん。 良いね。 オオギワシとかだと、どっちもイケる」

「ラリサの料理はどれも旨い。 いろんな料理を食べたいのう」

「俺は何でも好きです。 焼き肉でも大丈夫ですっ」

(わたくし)は全種類制覇して、その後に選んで狩りたいですわ」

「まず手近に来た奴から狩って、鳥が狩れたら鳥からいくってことで」

「「「「「「「賛成!!!!!!!」」」」」」」


前世を知るラリサ達は、もう鳥(を食べたい)の口だ。


ただラリサの希望としては、(次に食べたいのは)オオギワシ一択である。

それは普通の鷲と比べても更に上質の軟らかい毒のある肉質と、大きいのに大味じゃなくジューシーからだ。


毒は薬と隣り合わせで、魔物を浄化すると逆となる薬効が出て滋養強壮剤となり、活力にもなるし旨味も増す。


今の所完全に肉の浄化が出来るのは、キャラウェイだけなので一般の食用を推奨できないが、浄化肉を流通に卸すことは可能だろう。 最初は完全に謎肉扱いで、高値で高級レストランとかで使用してもらい、ラリサのマジックバックに充分なストックが出来たら、多少流通に乗せることも考えても良いかもしれない。


その場合肉に毒があることを周知してもらい、国の登録者による浄化がなされない物は、食用禁止としなければならないだろう。 浄化出来ずに食べてしまい、死んだり中毒になることは避けたいので、ある程度は止む無しかもしれないが。




修行の成果でキャラウェイの魔力は7割程度まで回復した。

ただ如何せん、アラサーのキャラウェイとブロディの肉体年齢は、まだまだアナスタシア様までには及ばない。

すぐ疲れてしまうのだ(一般騎士と比べれば戦闘維持時間は長いが、基準はアナスタシア様だから)。


はっきり言うと、ゼフェル様の伸び代が凄過ぎる。

剣技の腕はアナスタシア様の次は、ブロディを抜かしてゼフェル様が就いていた(戦闘維持時間の差で)。


毎日倒れるまで訓練し、ラリサの魔術攻撃も魔剣を使えば4回に1度は反らしたり跳ね返すことができるようになった。

跳ね返すことが出来ない3回は、漏れなく大ダメージな為キャラウェイの出番である。


まあ、その治癒魔法があるので、無茶もするのかもしれないが。

但し痛みは尋常じゃない。

比喩じゃなく死にそうな苦痛なのだ。


その痛みの恐怖を越えた修行は、周囲が見ても痛々しい。


ラリサも最初は手加減していたが、それではダメだとアナスタシア様に言われた。


本当に敵が攻めて来た時に、生き残る技術を付けて欲しいと。

王族は最後まで守られるだろうが、最悪本人と本人を支える側近を守らなければ復興を望めない。


最低戦力の温存の為に、生き残りをかけて出来る限り最悪のパターンでの戦い方を学ばせたい。


命の危機、心の危機が襲うかもしれない。

今後魔物だけでなく、他国とも争う可能性だって身近にあるだろう。

親が死にそうでも切り捨て、国の維持や復興が出来る精神力を付けなければならない。

王になるのだから、甘えは許されないのだ。

まだ年齢的に早いかもしれないが、いつまでも勇者がいる環境は続かない。

いつか別れる前に学ばせたい親心なのだ。


強くなれば経験値をつめば、それだけ生き延びる確率が上がる。

これはゼフェルにとっての機会(チャンス)なのだと。


(アナスタシア)の言い分にゼフェル様は納得され、自ら修行を望んできた。


ラリサの魔法攻撃。

ラリサとブロディの攻撃。

ブロディとアナスタシア様の攻撃。

ラリサとブロディとアナスタシア様での攻撃。


アナスタシア様は魔法攻撃も加わるので、魔法と剣の両方の発動を見極めなければならない。

ゼフェル様は思考型ではなく感覚型である為、最初の訓練では動作が遅れてダメージが強かった。


しかし剣士はそれで良かったのかもしれない。

技を受け、その上で避けたり打ち合う方法を考えることが出来たのだから。


これ以上ない安全な所で避けきったり逃げるより、ダメージを受けて攻撃経験を糧に出来る場なのだ。




数ヶ月の訓練後、ゼフェル様は既にアナスタシア様に及ぶ剣技を身に付けた。

体力面を含めれば、戦闘維持時間は全軍併せてもトップを争うまでになっていた。


最近の魔物は暗器を仕込まず、数で攻めてきている。


最初の頃に現れた魔獣は、城内に奇襲だったことや生体を調べるために解剖に回された。


しかし同種の物が頻繁に来るようになり、処分は捕らえたものに任せても良いことにしたのだ。


生きたまま悪用されぬよう心臓の提供を確認出来れば、骨・角や皮・肉は討伐者の所有や売買が認められることになった。 急所と弱点をギルドに伝えると、S級A級冒険者でも討伐が可能と解ったからである。 肉も食用に出来なくとも、猛獣を狩る際に誘き寄せる罠として利用できた。 仕込みの要らない毒殺が出来るからだ。


しかし今後まだ見ぬ魔獣も出現予測されるので、その時は無理せず逃げてギルドへ知らせることを徹底させた。

その情報にも賞金は出るし、無茶をして命を脅かすより安全面を重視し今後に繋げた方が(国も冒険者達も)お互い良いという結論からだ。


勿論討伐を止めることはしない。 自信のある冒険者や逃げ切れない時の応戦等、如何なる場面でも臨機応変さは必要だから。


数々の討伐により、知らずと国全体の戦力は上昇し討伐は進んだが、同程度の強さの物が後から後から出現するようになっていた。

魔物が増えると魔素が増え、倒されても空気中にも魔素(それ)は充満する。

多量の魔素を必要とする、知性のある魔物が出て来られるのはすぐ先だ。




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