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ある鍛冶師の一解(改)  作者: 蛙の殿
1/3

異世界の始まり

 それはある晴れた日のできごとであった。


天からそそぐ日差しが彼を照らし、そよ風が彼の顔をなでた。


そう、それはある晴れた日のできごとであった。


闇の眷属共が悪さをし、暴風や大雨を降らした日の後のことであった。


闇の眷属共が暴れていた後は、地母神のほほえみが地を照らした。


そう、その日に私はこの世界に転移した。


俗に言う異世界転移である。




 私の名前は椎名 俊。


どこにでもいる一般的な大学生を自称している。


ある日、突然異世界転移した。


なにか前兆があったわけではない。


異世界転移だと認識したときに


私は一般的な大学生と思っていたのだが神様は私を放っておかなかったみたい


と捉えるのは善意にすぎているだろうか。


とにかく異世界転移したのである。




それはある晴れた一日であった。


私は目を覚ました。


天から降り注ぐ日がまぶしくて、思わず手を上にかざした。


目が慣れてくると、先ほどまでいた場所と違うことが認識できた。


背中に感じるのはコンクリートの硬さではなく


土の柔らかさであった。


私はパニックにはならなかった。


現実に諦観していたのかもしれない。


見たことのない世界を体験できるかもしれないことが頭をよぎり


少しわくわくした気持ちが生まれたのかもしれない


と後になって考えた。


通常であればパニックであろう状況に動転しなかったからである。




体を起こしてみると、見渡す限りの草原が広がっていた。


また遠くに山脈があるのと、その前に森林が広がっているのが認識できた。


「ここはどこだ……」


現状把握をするために現在把握したいことをつぶやいてみた。


返ってきたのは鳥のさえずる音と、風が草原をゆらした音だけである。


このままここにいても埒があかないと思い


一歩踏み出した。


その一歩目が思ったよりも重かった。


その時、初めて腰に剣と袋を下げていることに気がついた。


袋をあけてみると、


中に入っていたのは少々の食料と水袋と銀貨数枚が入っただけであった。




その日のことは、それ以降あまり記憶がない。


ただ、ひたすらに歩いていたことは覚えている。


どの方角に向かって進んだのかも覚えていない。


しかし、山脈から遠ざかるように足を進めていたのは覚えている。


その先には、森があった。


森を少し分け入った先に湖があった。


湖に着くころには日がおち、夜がふけていた。


月明りだけを頼りに湖に着いた私は、すかさず湖面を覗き込んだ。


そこには見慣れた私の顔があった。


しかし、湖面にうかぶ月が少しいつもと様相が違った。


ふと見上げ月をみると


私が知っている月とは形が違った。


そのとき、はじめて自分は違う世界、つまり異世界にきたのだと


理解したのである。


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