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はじまり



 その日、八月の新宿に雪が降った。


 薄着の半そでの俺は寒くて凍え死ぬんじゃないかと思って、縮こまる体は無意識にそのヤシの実ほどの大きさの黒い卵をぎゅっと強く抱きしめていた。


 しんしんと雪が降り注ぐ屋根に空いた大穴。そこから覗く空にソレはいて。俺は、その姿をじっと見つめていた。


 白い、汚れの無いどこまでも白い、純白の体毛に包まれた全長三メートル程の四つ足の巨体。ウサギのように長い耳が頭の後ろに伸びている。

 鋭い爪と牙は氷のように透き通っていて、ほのかに蒼かった。

 そいつの両翼が羽ばたくたび、全身から白い六華の花弁が舞い上がり、太陽の光を反射して眩く光る。


 いや、違う。俺はその姿に見惚れていた。


クァァァアアアア!!


 鳥に似た咆哮が木霊こだまする。


 その日、新宿の廃ビルでーー


 ーー俺は、竜と出会った。



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