年中行事
正月休みも終わり、テレビ番組も特別番組が減ってきた頃。
お役立ち情報を発信するタイプの番組を観ていたときのこと。
「正月はいかがお過ごしでしたか?」
今日はそんな入りから始まった。
「外出を控え、家で美味しい物を食べすぎて、ついつい太ってしまった人、多いのでは?」
そう言って出演者たちの共感を集めているが⋯⋯それに当てはまらない人がどれほどいるのかを逆に問いたい。
続いて『正月太りの経験がある人』の番組アンケートが発表され、やはりある人の方が多かった。多少の差はあれど、正月というのは太りやすいのだ。
「本日は⋯⋯正月太り解消! おうちでできる簡単ダイエット特集!」
司会者が言った。
貰い物のせんべいをバリバリかじりながら見ている時点で、実践する気はほとんどない。
簡単なダイエットといえど、続けなければ意味がない。それを理解してもなお、どうせ結果がすぐに出ずにやめちゃうんだろうなぁ、と無関心な自分がいる。
SNSなんかでたまに見かける、万年ダイエッターとかいうのも哀れだと思う。万年ダイエットを要するのは、ずっとリバウンドし続けているということではないのか。
噛み砕いたせんべいを飲み込んでから、ふと、疑問が頭を過ぎる。
正月太り解消でダイエット法を放送する番組、毎年やってない?
いやそれどころか、春になれば、薄着の時期で体型カバーしにくくなるとかなんとか言って、ダイエット特集やってない?
⋯⋯うん、そうだ、間違いない。どこかしらの番組ではそんな企画をやる。
それから夏本番前には、露出が増えるから体型に自信を持てるようにとダイエット特集をする。
秋は秋で、食欲の秋でつい太っちゃった人の為にと題してダイエット特集をする。
冬には、厚手の服で体型隠しもいいけれど、ボディラインにメリハリつけませんかとダイエット特集をする。
そうしてお正月がやってきて、また正月太り解消法をどこかの番組が伝えるのだろう。
こうして考えると、ダイエットとは年中行事なのでは?
万年ダイエットしている方が正解なのか、と疑いつつも、二枚目のせんべいに手が伸びる時点で、己に取り合う気がないのは確かだった。
2021/01/04
時々意気込んでは一週間くらいで挫折しがち。