表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生からの魔法失敗で、1000年後に転移かつ獣人逆ハーレムは盛りすぎだと思います!  作者: ゴルゴンゾーラ三国
第二部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

98/493

97

 快晴――とまではいかないが、それなりに晴れた外。辺りは平原で、建物は一つも見当たらない。

 それもそのはず。

 わたしは、今、ヴィルフさんと共に城壁の外へと来ていた。


「……本当に、こんなところにあんのか?」


「多分、そのはず……」


 冒険者の仕事が終わったヴィルフさんに今回の事件を伝え、そして研究書を探しに行くことを手伝ってもらうことになった。

 この世界、城壁の外には魔物とやらが闊歩しているらしい。千年の内に随分物騒になったものだ。まあ、千年もあれば新種の生命の一つや二つ、生まれてもおかしくはないような気がするけど。


 閑話休題。


 研究書の行方をたどった結果、どうやら城壁の外に持ち出されたようだったのだ。誰がなんのために、と思わないわけじゃないけど、それを追及するのはイエリオさんたち研究員や民間警護団(現代の警察はこう呼ぶらしい。イエリオさんに教えてもらった)の仕事である。

 わたしはただ、研究書が戻ってくればいい。


「こんな平地にあるとするなら……どっかにうまってんのか? ……まさかしらみつぶしに掘り返すとか言わねえよな?」


「ちゃんと魔法で探しますって。――捜索〈ティザー〉」


 わたしが呪文を唱えると、ふわっと飛翔体が現れ、すーっと飛んでいく。探索〈サーチ〉の鳥、索敵〈サーヅ〉のトンボっぽいものとはまた違い、近しい見た目を上げるなら蝶だろうか。羽ばたき方は全然違うんだけど。


 物を探す魔法、捜索〈ティザー〉は、発動者の所有物、もしくは記憶にある物体を探す魔法である。めちゃくちゃ便利なので、わたしはよく使う魔法だ。

 ただ、探索〈サーチ〉や索敵〈サーヅ〉と違い、範囲が決まっているので、あんまりにも離れた場所に物が存在すると、途中で魔法の飛翔体が消えてしまい、そこから先は探せなくなるのだ。


 故に、今は丁度魔法の飛翔体が消えてしまったあたりに来ていて、再度魔法を使っているわけだが……。


 ――べちん! と額に何かがぶつかるような痛みが走る。


「いってえ!」


 わたしはとっさに額を押さえた。

 本当はここまで騒ぐほど痛いわけじゃないのだが、あまりに驚きすぎて、思わず大声を出してしまった。


 だってこれは……。


「え、嘘、弾かれた? なんで?」 


 おそらく、飛翔体が魔法を妨害する壁にぶち当たったのだろう。そういうセキュリティの壁自体は、シーバイズによくあった。


 ――そう、魔法が当たり前にある、シーバイズに。


 魔法がロストテクノロジーとなった千年後の今、こんなものが存在しているのが不自然極まりない。

 これだけハッキリわたしの魔法を弾いたのだ。千年前からずっとあって、今もなお残っているとは考えにくい。よっぽど複雑な魔法だったら、あり得なくはないけど、どうしてそんなものがこんな平原ににあるのか。


「おい、大丈夫か?」


 わたしはヴィルフさんに声をかけられ、ハッとなる。いけない、こんなところでぼーっとしてる暇はない。


「……大丈夫です、多分」


 魔法を妨害する壁なんて、いかにも怪しすぎる。その向こうに研究書があるのかもしれないが、その先に何があるのか分からない。

 用心していかないと、と、わたしは唾を飲み込んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ