表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生からの魔法失敗で、1000年後に転移かつ獣人逆ハーレムは盛りすぎだと思います!  作者: ゴルゴンゾーラ三国
第二部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

97/493

96

 イエリオさんに電話をかけて、フィジャが目を覚ましたことを伝える。ついでに今からイナリさんの店にも行くので、と場所を教えてもらった。

 完璧に覚えられた自信はないが、この辺では結構有名な店らしいので、大丈夫だろう。パン屋みたいな羽目にならないといいのだが、最悪人に聞くしかない。


「それで――」


 そして、わたしはフィジャが目を覚ました、ということの次くらいに重要なことを、イエリオさんに聞いた。


「以前、わたしが訳した資料の中に、師匠の研究書がありましたよね? あれ、今どこにありますか?」


 そう、わたしが見つけ出した活路とは、あの研究書のことである。


 はたして、あれがわたしに扱える魔法かは分からないが、十中八九わたしのために、師匠が研究していたものだからきっと大丈夫なはず。師匠は言語理解〈インスティーング〉を使えるし、兄弟姉妹弟子の中で、あれを習得出来ないことに駄々をこねていたのはわたしだけだ。

 わたしのための研究が完成しているならば、それは絶対わたしが使えるようになっている。そこは、師匠を信頼しているので。

 あの研究書を使って、わたし用に改良された言語理解〈インスティーング〉を習得し、精霊語を覚え、無理やりにでも精霊を『産みだす』。

 そうして、フィジャの腕を治す手伝いをしてもらえれば……という算段だ。


 最悪、妖精語を覚えられなくても、現代の共用語を覚えられれば、医療知識を詰め込むまでの過程を一気にすっとばせる。


 あの研究書さえあれば――そう思っていたのだが。


『……大変言いにくいのですが……あれらの資料が最近盗まれまして。その中に、あの研究書とやらも含まれているんです』


「ぬ、盗まれた!?」


 病院にふさわしくないほどの大声を上げてしまった。看護師に睨まれた気がする。

 わたしは声を小さくしながら再度イエリオさんに聞く。


「盗まれたってどういうことですか」


『つい数日前になくなっていたことに気が付いたんです。本当に、どうして誰も気が付かなかったのか……』


 昨日言っていた、大きなトラブルとはこれのことか。話を聞けば、本当に忽然と資料の一部がごっそりなくなっていたらしい。

 研究員の誰かが資料として持ち出したんだろう、と全員が思っていて、誰も行方を知らないとは思わなかったそうだ。

 おかげで発見が遅れたらしい。……管理が杜撰ではないでしょうか……。

 まあ、いまさら何を言っても遅いのだが。


『本当に、何と言ったらいいのか……。折角、フィジャを助ける方法が見つかったと思ったのに』


「……いえ、盗まれたのであれば、何とかなります。探すあてはあるので」


 魔法、とは、他人の目があるこの場では言えないが、物を探す魔法は習得している。それこそ最初の方に覚えたし、頻繁に使っている魔法なので失敗しようがない。


「絶対に探して見せますから、研究所に戻すのが遅くなっても、目をつむってくださいね」


 わたしはそうイエリオさんに伝え、二、三、言葉を交わして電話を切る。

 とりあえず、このあとはイナリさんの店に言って、フィジャが目を覚ましたことを報告し、そのあとフィジャの家に戻って魔法で研究書を探さねば。


 絶対に見つけ出してやる、と、わたしは拳を強く握った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ