表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生からの魔法失敗で、1000年後に転移かつ獣人逆ハーレムは盛りすぎだと思います!  作者: ゴルゴンゾーラ三国
第六部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

450/493

444

 しかし、その言葉で、あの小学生の必殺技みたいなネーミングセンスの呪いの魔法を使ったのが、本当に師匠だと分かってしまった。


「でも――そうか。ぼくは間違えたんだな。なにもかも」


 世界を滅ぼして。

 ずっと探して。

 見つけて、取り返せないことに絶望して、呪って。


 師匠は自虐するように、そう言った。

 わたしはそれを否定することも――逆に、同調することもできなかった。


 確かに、師匠は間違っていた。


 だからといって、千年わたしを探し続けた彼を、非難することは、わたしには出来なかった。所詮、彼と言う人間への憧れを捨てきれない、ただの魔法使いだから。


「イエリオを、解放してくれますか」


 今しかない、とわたしは師匠に頼み込んだ。彼が魔法で眠らせたのなら、師匠にしかどうしようもできない。

 人間を眠らせる魔法、もしくは意識を奪う魔法はいくつか心当たりがあるし、解除するための魔法も知らないわけじゃないけど、師匠の魔法を打ち消せる気はしない。

 結局、何があっても、魔法と言う分野では師匠に叶う気がしないのだ。


 ――が。


「それとこれとは話が別――と言ったらどうする?」


 言っている内容こそ、悪役そのものだったが、でも、表情からは、本気で言っている様子は全くない。冗談を言っているようにしか見えない。


「ぼくはお前に惚れていて、そこの男がいなくなれば、お前に懸想している奴が一人減る」


「そうなったところで、わたしはイエリオを連れ帰って、ベッドの上で眠る彼を世話するだけです。仮にわたしの夫の席が空いたところで師匠は座れません」


 こういうのは、下手に希望を持たせない方がいいのである。


「わたし、師匠に彼女が出来ても祝福できますから」


 トドメ、とばかりに言い切った。

 師匠は本当に世話になっていて、憧れの人だ。しかし、敬愛こそすれ、わたしが彼と共に、人生を歩む姿は想像出来ない。


 イエリオたちと、師匠、両方好きだと言えるけれど、決定的な違いはそこである。

 誰かに奪われても平気なのか、否か。

 散々悩んできたことへの終止符を打ったのがそれだったので、わたしにはそれが一番判断基準にしやすい。


 フィジャも。

 イエリオも。

 ウィルフも。

 イナリも。


 誰一人、欠けずに、あの家に返ってきてほしい。わたしの元にいてほしいし、わたしは彼らの手を離したくない。


 でも、師匠は、別の女が彼の隣に経ったところで、祝福できる。本当に、心から。


「世界を滅ぼしてまで君を探した男の求愛を断れるとは――本物だな」


 どこか呆れたように、師匠は言った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ