表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生からの魔法失敗で、1000年後に転移かつ獣人逆ハーレムは盛りすぎだと思います!  作者: ゴルゴンゾーラ三国
第二部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

45/493

44

 翌日、イエリオさんが持ってきたのは、大きな段ボールを三つだった。ごろごろと台車に乗っけてやってきたのである。


「ちょっと、イエリオ! なにその量!」


 出勤支度をしていたフィジャが、その台車を見て怒っていた。

 わたしもまさかの量にびっくりである。


「こちら、シーバイズ語で書かれた文献のコピーです。今現在、確認されているもの全てを持ってきました」


 イエリオさんはしれっと笑いながら説明してくれた。にこにこと人の良さそうな笑みを浮かべているが、その実なかなかにやっていることがえぐい。

 今ある文献の全て……と考えれば少ない方かもしれないが、暇つぶしにさばくような量ではない。


「ご安心ください、別に一日二日でやる量じゃありません。二週間ほど、私がこちらにお邪魔して、文献を読み上げていただければ書とめますので。日中の世話はフィジャに代わり、私が務めます。喋るのはつらくないんでしょう?」


「うーん、まあ、そうですけど……」


 普通に喋る分にはしんどくない。大笑いしたり、くしゃみや咳をすると「痛てて」とはなるけど。後は前かがみになるのが結構辛い。姿勢よく勉強出来たら一番だけど、どうしても前かがみになってしまうというか……。

 背もたれを全力で使ってソファに座り、会話をするくらいならそこまで大変でもない。


 わたしの中では「まあいいかな」という気分になっているのだが、フィジャはそうではないらしく、ぷんぷんと怒っている。


「ちょっと、勝手に話進めないでよ! ていうかここボクの家!」


「では毎回、研究所まで通わせると? 結構な距離がありますよ」


 流石にそれは気が咎めるらしい。フィジャは悔しそうに黙ってしまった。

 折角心配してくれているのに、ここでイエリオさんの味方になるのもおかしな話だろうか。フィジャはわたしの為に怒ってくれているのだから。


 どうこの場を収めたものか、と悩んでいると、先にフィジャが折れたようだった。


「……マレーゼに絶対無理させないでよ!? イエリオのペースに合わせてご飯抜きとか駄目だからね、許さないからね! あと二週間来るのは勝手だけど、泊まらせないから」


「そこまで我儘言いませんよ。本当に、無理そうならやめさせますから」


 やめる、ではなく、やめさせる、という言い方で、ちょっとフィジャは納得したらしい。あくまで主体はわたし、というのが分かったんだろう。


「……ボク、これから仕事に行くから。マレーゼのことよろしくね。昼ご飯は温めるだけにしてあるから。……絶対無理させないでよ、絶対だからね!」


 何度もしつこく『絶対』を繰り返しながら、フィジャは仕事へと向かって言った。

 その様子を見送り、イエリオはわたしへと向き直る。


「それでは始めましょうか。ソファとベッド、どちらがよろしいですか?」


「お、お手柔らかに……。とりあえず、ソファで大丈夫です」


 ちょっと不安を感じながらも、わたしはリビングへと戻るのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ