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04

「こんな怪しい奴、とっとと追い出しなよ」


 イナリさんからとても冷ややかな視線を感じるものの、友好的過ぎる二人が、逆に心配になるくらいだったので、このくらい警戒された方がいい。


「えー、イエリオが呼んだんじゃないの?」


 ほら昨日の夜の、とフィジャが言うとイナリさんは余計に顔をしかめた。


「馬鹿馬鹿しい、本当に奇跡の魔法なんて、あるわけないでしょ」


「や、ありますよ。奇跡の魔法」


 希望〈キリグラ〉という、確かに存在する魔法だ。特殊性が高い故に成功率はとても低い。しかし、熟練者すら成功出来ないのに、魔力があるだけの素人が成功させることもある変わった魔法だ。

 効果は、使用者の願いをひとつ叶えるというもの。願いはなんでもいい。どんなあり得ない願いでも叶ってしまうのだ。


 わたしもそれで、この世界へと転生したらしいので、本当になんでも叶う。

 本来、子供が望めないはずの二人が子供を欲し、その子供としてわたしが生まれた。本来をねじ曲げたので、わたしの魂が巻き込まれた形になったのだ。


「魔力さえあれば、魔法の基礎も基本も関係なしに、一定確率で成功します」


「それは私に魔力が……? いえ、量るのには道具がいるのでしたね」


 そういう文献が残っているのだろうか? 確かに、質や量、向いている属性などを調べるには道具がいるし、時間もそれなりにかかる。

 でも。


「魔力があるかないかだけを調べるなら、すぐできますよ。やる?」


 そう言うと、イエリオさんは是非にと声を上げた。フィジャも面白そう、と言い出した。イナリさんだけは、変わらずむすっとしている。


「では、失礼して……」


 ――むぎゅ。


「っ、たたた、痛い、痛いです!」


 わたしがイエリオさんの後ろに回り、後頭部、うなじより上にあるくぼみのようなところを親指で強く押し上げると彼は悲鳴を上げた。

 わたしは、ぱっと手を離す。


「よかったですね、魔力、ありますよ。魔力がある人間は、ない人間と違って、後頭部の辺りに魔力路の神経という、特別な神経があるんです。ちょっと押し方にコツがあるんですけど、そこを押して痛がる人には魔力路が存在しているので、魔力もあるんです」


 涙目になりながら後頭部を押さえるイエリオさんにわたしは説明する。僕も、とねだるフィジャにもツボを押すけれど、これといって反応はない。フィジャには魔力がないようだ。


「ところで、仮に希望〈キリグラ〉が成功したとして、何を望んだんですか?」


 イエリオさんの人柄からして、前文明関連かなとは思う。何か真相を知りたいことがあって、そのために呼ばれたのだろうか、と検討をつけていたのだが。


 何故だか妙な空気が流れた。イエリオさんも、何故かイナリさんまでが目を泳がせている。


「……さん」


「はい?」


 口を開いたのはフィジャだった。


「だから、お嫁さん」


「……えぇ?」


「お嫁さんが欲しい、ってお願いしたの!」


 えぇ……。

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