表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生からの魔法失敗で、1000年後に転移かつ獣人逆ハーレムは盛りすぎだと思います!  作者: ゴルゴンゾーラ三国
第五部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

355/493

351

 まあ、五年後に開催される次の祝集祭のときはそのときに考えればいいのである。服だけは忘れないようにして。

 今は今回の祝集祭を楽しむことにしよう。


 今日はお小遣いを持ってきているので、大抵のものは買えるぞ。ちなみにこのお金は、ウィルフと一緒に東の森へ調査に行った報酬として冒険者ギルドから貰ったお金や、ちょいちょいイエリオの研究を手伝って貰ったお金である。


 花屋が並ぶゾーンを過ぎると、食べ物屋の出店がずらりと並ぶ。こっちの方には花屋があまりない。まあ、食べ物の匂いと混ざると困るもんね。


 何を食べようかな、と悩んでいると、屋台を見るのに夢中になってしまって、人とぶつかってしまう。


「わっ、ごめんなさい」


 軽くぶつかったくらいなので、痛くもない。それより、食べ物の屋台に気を取られて周りが見えなくなる、という、いかにも子供っぽい行動に恥ずかしさがこみあげる。


「おっ、可愛い。なあ、嬢ちゃん、よかったら一緒に周らないか?」


 ぶつかってきた相手は男性だった。犬の獣人だろうか。耳がピン、と立っている。

 それにしても、ナンパとか。ウィルフが見えてないのか?


「連れがいるので結構です」


 そう言ってわたしはウィルフの腕にしがみついた。

 男はわたしがウィルフの腕にひっついたのを見て、鼻で笑う。


「え、マジ?」


 なんだこいつ。


「花もないし、てっきり一人さみしく祭りに浮かれてるだけかと思ったわ」


 へらへらと笑う男に、つい手が出てしまいそうになる。

 それを察知したのか、それとも面倒だと判断したのか、ウィルフがわたしを軽く引っ張って「行くぞ」と声をかけてくる。


 そうだった、こんなのに構っている場合じゃない。わたしは以後、男の言葉を無視してウィルフの隣を歩く。無視された上に距離が離れてしまってはどうしようもないと判断したのか、ナンパ男はいつの間にかいなくなっていた。


「お前、あんなの無視しろよ。俺と一緒に居るのに、いちいち気にしてたらキリがないぞ」


「……そうは言っても。大事な『家族』が馬鹿にされたら腹立つでしょ」


「……そうかよ」


 ぷい、とそっぽを向かれてしまった。でも、しっぽはゆらゆらと揺れているので、まあ、悪い気分じゃないんだろう。


「……」


 わたしは、揺れているその尾をじっと見て、一つのことを思いつく。

 わたしがいつも髪につけている、ヘアコイル。花の装飾がついているやつだ。生花ではないけれど、まあ、ないよりはマシだろう。


 後ろにまとめた髪につけているヘアコイルのうち、いくつかを外してウィルフのしっぽにつける。


「……なにしてんだよ」


 わたしがいじっているのに気が付いたウィルフが、ひょい、と動かす。二個付けただけで終わってしまった。


「生花じゃないけど、わたしから花を送ろうと思って。もうここ花屋がないから、取り急ぎ、わたしの髪飾りでごめんね」


 ウィルフの毛並みは銀色だから、原色カラーの石が付いた装飾の髪飾りはよく映える。


「かわいいよ」


 そう言うと、ウィルフは、「男に、それも俺みたいな奴にいうセリフか?」と呆れたように溜息を吐いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ