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 それから数週間。


 祝集祭の日が近付いてきて、あと開催まで十数日、というくらいなのだが――シャシカさんが見つからず、わたしたちは街中を探す羽目になっていた。来ないで欲しいときには来るくせに、用事があるときには見つからない。


 ぼろぼろに怪我をしたシャシカさんと会って、わたしのことを殺せないと言ったあの日から、シャシカさんがわたしたちに会いに来ることはなくて。

 このまま音沙汰がないのでは? と思いもしたものの、イナリはそれでは納得行かないらしい。


 ルーネちゃんに聞いてみても、以前受けた護衛依頼の任務を遂行している状態になったまま、足取りが掴めていないらしい。シャルベンのギルド長も同じようなことを言っていたけど、話を聞くに、どうやらまだ同じ護衛依頼の仕事を続けているそうで。一体、何を守っているというのか……。

 あれ、いやでも、あの人、ちょくちょく街に戻ってきてたよな? マジで何を守ってるの? 東の森の遺跡じゃないの?

 と、疑問に思ってみても、その辺は守秘義務とやらがあるそうで、詳しくは教えてくれなかった。どうしても知りたいなら、冒険者になってくださいね、と言われてしまったのでどうしようもない。前回、シャルベンのギルド長からあれこれ聞けたのは、ウィルフと一緒だったことと、仮とはいえ、冒険者として仕事をしていたから、らしい。


 そんなわけで、一向にシャシカさんが見つからなくて。

 仕事が終わってぐったりとベッドに寝そべるイナリが、ぼそりと呟いた。


「……もういっそ、冒険者ギルドに捜索依頼を出すか?」


 わたしは仕事をしていないから、探すことに制限はないけど、イナリは仕事をしているし、祝集祭が近いということで、非常に忙しそうだ。あと二週間ほどしかないのに、一向に見つかる気配はない。


「あー、じゃあ、わたしが行ってこようか?」


 冒険者ギルドの依頼の受付は二十四時間、いつでもやっているらしいが、これだけ疲れ切っていれば、仕事終わりに寄るのは酷だろう。その点、わたしならいつでも冒険者ギルドに足を運べる。

 イナリは少し迷っていたようだが、「僕が、行く……」と疲れ切った声で言った。うーん、心配……。


 途中で倒れる、ということはないだろうけど、これだけ疲れている人を、仕事終わりに、冒険者ギルドへ行かせるのもな……。とはいえ、イナリはこの件を自分の手で解決したいようなので、あんまり言うのも違う気がして……。


 結局、明日のイナリの仕事終わりに、一緒に冒険者ギルドへと行くことになった。道中、仕事の鞄を代わりに持つくらいなら出来るしね。

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