表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生からの魔法失敗で、1000年後に転移かつ獣人逆ハーレムは盛りすぎだと思います!  作者: ゴルゴンゾーラ三国
第三部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

155/493

153

 イエリオ、と、どう接したものか、と悩んで数日経ったが、どうにも、彼は彼であっけらかんとしていた。フィジャのようにぐいぐい来るわけでもなく。

 以前とほとんど変わらない態度なので、いっそあの夜の出来事は夢だったんじゃないかと思ってしまうほどだ。まあ、わたしは癖で「イエリオさん」と呼ぶと、「イエリオ、とは呼んでくださらないのですか?」といかにも演技くさい悲しいですアピールをしてくるので、間違いなく現実だとは思うんだけど。


 あの夜の次の日、泣いて落ち込んでいたのが嘘のように笑顔で研究所に出勤し、返ってきたかと思えば「しばらく泊まり込みになりました!」と嬉しそうに泊りの準備をして研究所に行き、ほとんど帰ってこない。好かれてるかも? と思ったのは自意識過剰だった……?


 まあ、でも、今のうちにイエリオのチョーカーの石に魔法付与をしておこう、と、わたしは手荷物の中に入れておいたチョーカーたちの中から、イエリオのものを取り出す。そのままベッドの上へと座り込んだ。


 本当はイエリオの目の前でやってあげた方が彼は喜ぶんだろうが、魔法付与というのはなかなか難しい。わたしは魔法付与が兄弟姉妹弟子の中で一番得意だったけれど、だからといってぺらぺらとあれこれ話しながら上手くやれるほどの技術はない。

 黙って集中してやるのが一番なのである。


 さて、イエリオには何を付与しようか。フィジャは健康と商売繁盛系の魔法を主軸に魔法付与を重ねていったが、健康はともかく商売繁盛は彼に必要ないだろう。知識とかを補強する系の魔法もないわけじゃないけど、自分の好きな分野は自分で頑張りたい派のわたしとしては、あんまり他人に後押しされるのはどうかな、と思ってしまう。わたしとイエリオは似ているところがあるし。わたしがちょっとな……と思ってしまうことは、多分、イエリオも同じように思う可能性が高いということだ。


 だとしたら、安全に遺跡等を調査できるような感じにしたほうがいいかな? それとも徹夜が強くなるとか……いや、これは健康に悪いか。もし徹夜を前よりもできるようになったら、ちゃんとやすまなくなるに決まっている。

 なら、フィジャと同じように健康を主軸にするとして、あとは事故防止系のやつがいいだろうか。事前に危険を察知できる魔法なら、ディンベル邸のような、気を抜いたら床を踏み抜く劣化の激しい場所でも、多少は回避して調査ができるようになるだろう。


 あれかな、これかな、と考えながらやっていると、気が付けば陽が傾いてきている。午後からやりだして良かった、昼前からやっていたら、お昼ご飯を食べ損ねるところだった。


「……今日も帰ってこないんだっけ」


 イエリオは今日も泊まり込み。賑やかな人だからか、この家が広いからか、なんとなく、ぽつんと一人で留守番しているのはさみしい気がした。


 わたしが言い出したコテルニアの布の改良をしているとはいえ、本当に家に帰ってこない。

 早く帰ってこないかな、と思いながら、わたしはチョーカーに付いた、イエリオの瞳と同じ色をした、赤い石をそっと撫でた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ