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転生からの魔法失敗で、1000年後に転移かつ獣人逆ハーレムは盛りすぎだと思います!  作者: ゴルゴンゾーラ三国
第一部

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 ほとんど犬と変わらない彼は、いじめられることもあったのだろうか。いや、もしかしたら、迫害レベルの可能性もある。わたしはあまり気にならない……というかむしろ、あのふわっふわな毛を触らせてほしいと思うのだが。


 とはいえ、ずっと他者に虐げられて生きてきたのであれば、ポッと出の人間に会うのも抵抗があるだろう。


「彼女と結婚しないと君が死ぬかもしれないんだよ! 遠い未来に飛ばされた彼女も覚悟を決めたんだから、ウィルフも我慢して!」


 引きずられながらもなんとか抵抗する姿勢を見せるイナリさん。


「人間との結婚を『我慢』と来ましたか……」


「まあウィルフのことを考えたら無理もないよ。ボクらとつるむようになって以来、友人どころか知人すら増えてないでしょ。今から関係築くの、それなりにストレスだとは思うけど」


 ぼそぼそと小声で話し合う二人。予想以上にウィルフさんと仲良くなるのはハードルが高そうだ。


「ちなみにそれはどのくらいの期間なの……?」


 試しにフィジャへ聞いてみると、「三年くらいかなあ」という答えが返ってきた。三年か。それは確かに、新しい人間関係を作るのは躊躇しそうだ。


「マレーゼさんは、彼を見てなんとも思わないんですか?」


「え、特には。ふわふわした毛並みだなあとしか。ファンタジーっぽくてかっこいいですよね、二足歩行の動物って」


「そう、ですか……。千年前の人間は皆、こんなにも寛容なものなんでしょうか」


 それは個人によると思うけど……。とはいえ、今更確認のしようもない。「人ぞれぞれじゃないですか」と返しておく。

 しかし、そういう反応をするということは、この時代の人間はそうでもないのか……? とちょっと思ったけど、そういえば人間はほとんど貴族とかと結婚しちゃうんだっけ。だったら聞いても分からないか。


 そんなことを考えてると、赤の瞳と目があった。ウィルフさんの赤。


 揺れる視線に、やばい、と思った。

 それは一瞬のことで、ガッとイナリさんが振りほどかれる。先ほどまでとは違う、切羽詰まった抵抗。


「ちょっ……」


 イナリさんが抗議の声をあげる暇もない。あ、と思わず声をあげてしまうと、ウィルフさんの肩が大げさなまでにはねる。

 そして、ウィルフさんは素早い動きで逃げ出した。目にもとまらぬ速さ、というのはこういうことをいうのだろう。

 わたしは扉を開けた。


「すみません、のぞき見なんかして。わたし、追いかけます!」


 放置していても先に進まない。

 絶対に連れて戻ってくる。


 三人にそう言い残し、わたしはウィルフさんの後を追った。

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