チャーリーブラウンは誰とキスをする。
僕の名前は茶利風 羅雲。
落花生高校の二年生です。
僕は高校のクラブ活動で「スヌーピー同好会」というのに入っています。
「スヌーピー同好会」というのは、放課後にスヌーピー大好きな人々が集まって、好きにお喋りをする会であり、それ自体はとても有意義な時間なのですが・・・。
「だから、ペパーミントパティがチャーリーブラウンと結ばれるべきなの!!」
「いいえ、先輩それは違います。マーシーこそ最良です。」
・・・実に不毛な争いです。
この二人はチャーリーブラウンに似合いの女の子について議論しているのですが、これで議論するのは10回目で、お互い折れずに一向に決まる気配はありません。
「チャックには、少し強引に引っ張ってくれる女の子がピッタリなのよ!!」
このペパーミントパティ推しの、目の下にそばかすのある茶色髪のショートヘアーの女の子は平葉 民都、普段はソフトボール部のキャプテンとして活躍しているけど、掛け持ちでスヌーピー同好会にも入っていて、よく顔を出してくれるのです。男勝りで荒っぽい女の子ですが、僕の誕生日を覚えてくれていて、「べ、別に深い意味は無いんだからね」と言ってプレゼントをくれたりする根は優しい女の子です。
「いいえ、先輩。チャックには献身的に支えてくれる知的な女の子が側に居るべきです。」
このマーシー推しの、眼鏡オカッパの巨乳の女の子は間合 椎さん。一学年下の一年生で読書好き。これは余談だけど、この間二人で居るときに「先輩、好きです」と突然告白されたんだ。僕も付き合ってくれと言われたわけでは無いので何も返事なんかしちゃいないけど、油断ならない後輩です。
「何が知的な女の子よ!!ただの肉食系の腹黒女でしょうが!!」
「マーシーは恋に積極的なだけです。それに対してペパーミントパティなんか深夜1時過ぎに電話してくるようなサイコパス女ですよ。絶対結婚したらチャックが発狂しちゃいますよ。」
二人の話し合いは何処まで行っても平行線。言い争いを聞いてるとこっちも嫌になってきます。
「もう!!こうなったら羅雲に決めてもらいましょうよ!!」
「良いですね、望むところです。」
あれ?なんか変な流れになってきましたね。
「ねぇ、羅雲。もちろんペパーミントパティよね?」
「先輩がマーシーを選ぶって、私信じてます。」
二人がずいっと僕に迫ってくる。僕は壁まで追い込まれてしまい、何か言わないとマズイ雰囲気です。
「あ、間を取って、ルーシーとかは?」
僕がそう言うと、二人は声を揃えてこう言いました。
『それだけは無い!!あんな女ジャイアン!!』
・・・女ジャイアンとは少し言い過ぎな気がしますが、確かにルーシーは自己中心的で強引なので、付き合ったら一番大変そうです。
「何やら騒がしいね?」
あっ、良いタイミングで先輩の頼 茄子さんが現れてくれました。頼先輩は、腰まで伸びた黒髪ロングの素敵な女性で、眉目秀麗で全校生徒の憧れの存在なのです。その手には幼い頃から持っているヨレヨレの水色のハンカチが握られています。
ここは頼先輩に助け船を頼みましょう。
「あっ、頼先輩ちょうど良かった。先輩はチャーリーブラウンにはペパーミントパティとマーシーのどちらが彼女に相応しいと思いますか?」
僕がそう質問すると、頼先輩は即答でこう答えました。
「どちらでもない、チャーリーブラウンにはライナスがベストだ。」
「ラ、ライナスですか!?」
なんだか僕と先輩がピッタリと言われてるみたいで嬉しいです♪
「チャリ×ライ、ライ×チャリでも良いな・・・しかし、スヌ×チャリというのも。」
顔を赤らめてハンカチで口をおさえながらグフフッと笑う先輩
そうだ、先輩は腐女子で、男の子同士のカップリングしか認めてないんだった・・・人生ってままならない。