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「ハァハァ……」


 辺りは茂みに囲まれて近くにある大樹にはツルが垂れ下がり、ただ悶々とした蒸し暑さだけがこの場所にはあった。


「あれから3時間か.........どこだよここ」


 22:50 圏外

 電池5%のスマートフォンを見て絶望の二文字を思い浮かべた。これからどうする?そんなこと考えられない。夜であるはずなのだが太陽が真上で輝いていた。

 ぐぅぅぅううう

 体は正直だ、気付けばあれから3時間飲まず食わずで山道を歩いていた。疲れたよりもお腹空いたが先に出てしまう。

 ここで死ぬのか…

 意識が遠のいていく。


「助け…………」


 そして意識を失った。


 -----------------------


 目が覚めたのは夜だった。正真正銘の夜。陽が昇ってない夜。


「目が覚めたか少年、すごい汗だぞ悪夢でも見ていたのか」


 確かにすごい汗だ。日中は暑かったがもう相当時間が経っているだろう、今では寒いぐらいだ。


「……」


「覚えてないのも無理ないだろう、夢なんてものは基本覚えてないものだ。それが悪夢だったら尚更思い出したくないだろう」


「…ここは?」


「ここは我が部族が縄張りとしてる狩場にあるキャンプ地だ。君はその狩場で倒れていたんだ」


 そうだった、俺は疲労と空腹で倒れたんだ…

 思い出したらどっと疲れと睡魔が襲ってきた


「今はもう無理するな、君にはいろいろ聞きたいことがあるが今は寝ることが先決だ。ぐっすりやすんで……」


 最後まで聞くことなく強烈な睡魔に負け眠りについてしまった。


 ―――――――――――――――――――――


 眩しい。反射的にそう思った。起きたのは陽が半分以上昇ってからだった。地面に寝てたからだろうか身体のあちこちが痛い。


「おはよう、少年。疲れはとれたか?」


「ああ」


 身体の疲れは取れた気がする。昨日と変わったのはそこだけだった。空腹も場所も変わらず、スマホの充電は切れていた。夢オチの選択肢は無くなった、これは間違いなく現実で今日森の中で1晩過ごしたのだ。


「寝起きですまないがそろそろ移動しよう、ここにいても何も始まらない」


 それもそうだ、ここにいても誰かが来るわけでも迎えが来るわけでもない。それにさっきから彼女から出る早くしてオーラがとてつもない。彼女はきっとA型だろう。


「そういえば自己紹介がまだだったな、私の名前はカレン・クリスタ、気軽にカレンとか好きなように呼んでくれ。」


 淡々と無表情で自己紹介をした彼女は綺麗な赤髪をしていて、ポニーテールがとても似合う。美少女と言われる類なのだろう。ただ無愛想な真顔が少し残念だ。


(笑えば可愛いだろうな……)


「あの……、一つ聞いていいか?」


「ああ」


「君の名前を教えてくれないか?このままだと君をなんて呼べばいいかわからないんだ」


「俺の名前は、りゅうた……あっ!痛っ」


 頭に何かが響く。痛い、痛い、強い不協和音が頭の中を駆け巡る。何かが消えていく。自分から何かが消えていくのが実感している。だがそれすらも消える。何もかも消える感覚、虚無感だけが残っていた。


「大丈夫か!?りゅ、リュータ、頭か!頭が痛いのか?」


「大丈夫、治ってきた、もう大丈夫」


「そうか……すまないなリュータ、頭のことに関しては私は()()()なんだ…」


「大丈夫カレン、もう痛くない、それよりも今は何処へ向かっているの?」


「今は私の村に向かっている、村には()()()()()もいる急ごう」


「わかった」


 それからどれぐらい歩いただろうか、山を二つ越え、川を渡り、たどり着いたのは小さな村だった。


「着いたぞリュータ、ここが私の村、医療の村[テル・ホイ]だ。」





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