妹として3
・・・お腹が空いて眠れない、別にあたしは取り立てて食いしん坊と言う訳ではない。
晩御飯を抜いたらお腹が空くのは当たり前の筈だ。
何せ育ち盛りの十四歳、十五歳の誕生日まではまだ後半年近くある。
それとお腹が空くのは関係ないが、とにかく若いんだから食べ盛りとか、そういうような事が言いたいのだ。
食べてもちゃんとカロリー消費すれば問題ないよね?
時間は気になるが、やっぱり食べよう。
明日から早くも部活の朝練があるんだし、あまり背の高くないあたしは人一倍努力をしないと最後の大会に戦力外にされてしまう。
ただでさえ、準レギュラー扱いで、毎試合出た事がないし、フル出場もない。
あたしと同じく、あまり背の高くない仲間で親友の有希と約束したのだ!
最後の大会は二人揃ってレギュラー出場しようって。
有希はレギュラーだから、あたしの頑張りに掛かってる。
そうと決まれば、もう今日が終わっちゃうけどご飯にしよう。
・・・兄さんがせっかく作ってくれたご飯だし、いや別にそう言う訳ではなくて、兄さんの料理は美味しいからというだけで、他意はないし、何よりもったいないじゃん!
誰に言い訳してるのかわからないけど、そういう事なのだ。
まあ、兄さんはどうせまだ起きてるだろうし、向こうが反省してるなら許してあげなくもない。
あたし別に悪くないし!
とは言っても、私も来年の今頃は高校生。
あたしの方から謝って、大人になりつつある妹をアピールするのも悪くはないかもしれない。
決して、兄さんが怒ってたらやだな、とか思ってる訳では無い、別にビビって無いし。
だから誰に言い訳しているのかと。
蓮璽はよく寝てるから、起こさない様に気を付けてダイニングへ行くと、やっぱ起きてた。
「さっきの御飯まだある?」
おっと、しまった、ちょっと睨みながらぶっきらぼうに言ってしまった。
さっきはごめん、って言おうと思ってたのに。
「あるけど、今から食べるのか?」
こんな時間に食べたら太るぞ、とか言う気?
言ったら今度こそ寝る。
そして二度と口聞かない・・・訳でもないが、せめて一発殴る。
「だって、折角」
おっと違う。
「・・・って言うか・・・そう、勿体無いじゃない。」
「待ってろ、今あっため直してやる。」
「うん、ありがと。」
よしここで謝ろう、いや、あたしは悪くないけど、これも大人アピールよ。
「さっきはゴメン、ついカッとなっちゃった。」
言えた。
「いいさ、気にしてないよ、それこそいつもの事だろ。それに俺も無神経だった、こっちこそごめんな。」
兄さんも謝ってくれたしこれで良しとしよう、本当はちゃんと、太ってないよと言って欲しかったけどまあいいや、別に太ってないし。
兄さんのご飯を食べてたら、どうでも良くなってきたな。
やっぱ美味しい。
「なあ、俺がいなくなったら・・・どうする?」
「は?」
ポカンとなった。
え?何、実は怒ってんの?
あたし達を捨ててどっかに行く気?
何なの?馬鹿なの?死ぬの?
「何、どっか行くの?」
いや困るんですけど、兄さんがいなくなるなんて、考えた事も無い。
想像しただけで悲しくなってくる・・・・・いや、そのご飯的な意味でね?
「いや、その予定はない。」
ビックリさせんなー!
「馬ッ鹿じゃないの」
深い意味はないけど、嫌に決まってんじゃん・・・深い意味は無いけど。
「ご馳走様。」
「洗い物は俺がやっとくから早く寝ろ。」
「うん・・・。」
あーもう、馬鹿なこと言うからなんか気になるじゃん。
何、嫌って言って欲しいの?かまってちゃんなの?
しょうがないな、大サービスだよ。
「・・・やだ・・・。」
え、何だろう?恥ずかしい。
別に変なこと言ってないよね?何でこんなに顔があつくなってるんだろう。
まあいいや、明日早いしもう寝よう。
ジリリリリリリィィィィィィ!
目覚ましうっさいなあ、まだ全然余裕でしょ。
後五分・・・ってうわあ!
跳び起きた。
自分でセットした目覚ましが早いわけがない。
いきなり遅刻は印象が悪すぎる、バレーの実力以外でも評価対象だ。
同じ実力なら、遅刻とかしない人を選ぶのが普通だろう。
それに有希が迎えに来るんだから、遅刻に付き合わせるわけにはいかない。
顔洗って、歯磨いて、髪をセットして、朝ご飯食べて、また歯磨いて・・・・。
「おーい涼子ーお迎えだぞー。」
ゲエ、もうそんな時間?
「ゲエ、もうそんな時間?」
しまった、そのまま声に出てしまった・・・はしたない。
兄さんからお弁当受け取ってダッシュ!
「行ってきまーす!」
「おう、行ってこい。」
「有希ごっめーん、お待たせ。」
「ううん!大丈夫だよ、でも急ごう!」
なんかいつもより一層元気な気がする。
なんか良い事あったのかな?
あっ!水筒忘れた!
まいっか、今日くらいコンビニかなんかで飲み物買えば。
すいません、構想と違ってまだ続きます。
最後のセリフはまるでフラグの様です。
一体何が起きるのでしょうか。