妹として2
しばらく兄さんの様子を窺っていたが、おかしな事に微動だにしていなかった。
ただ話をしているだけといえど、身じろぎ一つしないというのも違和感を感じる。
だが、そんな事は些細な事だ。
あの兄さんが、女子と二人っきりで道端でお喋りなんて、驚天動地の出来事だ。
ちょっとイラッときた。
こっちが心配しているというのに、あんな美人さんとこんな家の近くでよろしくやっているなんて・・・。
許せない思いがムクムクと湧き上がってくる。
寒さも忘れて凝視していると、やっと話終わったのか兄さんがこちらに向かって来る。
あれ?いつの間にか美人さんの影も形も無くなっている。
そんな事より兄さんだ!
「いったい今何時だと思ってんの!」
開口一番苛立ちまぎれに怒鳴りつける。
ムムム?申し訳なさ二割と残りはあたしに対して何かを思ってる顔、どうせ失礼な事を考えてるに決まってる。
多分、たまには自分でゴハンくらい作れ、だが俺は食べん。
とかそんな所だろう。
今まで何をしていたか、こちらが知らないとでも思ってるんだ。
けど、あの女の人誰?とか聞きにくい。
別に妬いてる訳じゃないのに、そう聞こえてしまう。
妬いてるんじゃなくて、苛立っているだけだ。
「心配掛けてすまないな、ちょっとしたゴタゴタがあってな、すぐに飯の支度するからちょっとだけ辛抱してくれ、という顔だよ。」
どんな顔よ、適当言っちゃって。
まさか事故に?とか思っただけで、別に心配なんてしてないし・・・。
「嘘ばっか、そんな顔してないじゃない、それと別に心配なんかしてないわよ!馬ッ鹿じゃないの?バーカバーカ」
しまった、ウッカリ口が滑ってキツイ事を言ってしまった。
やっぱ、さっきの事がちょっとだけ気になってるのかも。
「兄ちゃーん、帰ってきたの?早くゴハーン!」
「おお、すまんな蓮璽。」
ナイス蓮璽!空気が戻った。
「お前は一食抜くくらいダイエットに丁度いいだろ。」
ゴルアアアアアア!言ってはならん一言をオオオオオオ!
年頃の女の子になんちゅう事を言うのだ!
はっ!そう言えば最近お腹まわりが・・・って違う!
くっ、気にしている事を。
やっぱり、太ったのかな?いやそんな事ない!・・・ハズ。
・・・ちょっと混乱してきた。
よりによって兄さんに、そんな事を思われていたとは。
「マジで最ってー!馬ッ鹿じゃないの!私太ってないもん!」
そう、太ってない、太ってない、太ってない!
あ、なんか涙出てきた。
「もう知らない!ご飯もいらない!」
なんというデリカシーの無さ、これだからこの兄は。
あと、泣いちゃったのがちょっと恥ずかしい、これはもう不貞寝するしかない。
お腹すいたけど、あんな事言われたら食べる気が起きない。
とっととパジャマに着替えちゃおう。
「おーい、涼子開けるぞー。」
「ちょ、まっ、」
って開けんなやー!
咄嗟に身体をパジャマで隠す。
「こうして見るとダイエットの必要・・・」
マジマジ見んなー!そしてそれ以上言うなー!妹の身体をなんだと思ってる!
手近にある物をつかんで投げる。
・・・お腹・・・見られちゃったかな。
もおおお!恥ずかしい!
「もー、死ねー!」
早よ出てけ。
二話でまとめたかったけど無理でした。