表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/7

妹として1

「遅い!一体どこで寄り道してるのよ!」

何時もならとっくに晩御飯を食べてる時間なのに、準備どころかまだ帰ってきてすらいない。

「姉ちゃん落ち着きなよ、兄ちゃんだって色々あるんじゃない?もう高二だし。」

「色々って何よ?」

「そりゃあ、えー彼女とか?」

ないわー、絶対ないわー、許さんわー。

「蓮璽、あんた馬ッ鹿じゃないの、兄さんは野球の事しか頭にない野球バカなのよ。」

「いや、それと彼女と関係あるの?兄ちゃんもてそうじゃん、エースだし。」

確かに、我が兄ながらかっこいいのは認める。

「おまけに頭もいいしさ、通信簿見た?10段階でオール10とか、人間のとる成績じゃないよ。」

ぐぬぬ、それも認めるしかない。

「彼女が出来ない要素が見当たらないんだけど?」

それはない、あの兄は決定的に不足しているものがある。

「・・・あんたは知らないかもしれないけどね、兄さんに彼女が出来るわけがない理由、それは女の子に対する圧倒的なまでの対人能力の欠落よ。」

そう、あれはまだ兄さんが同じ中学にいた頃。

つまり二年前、・・・・。

あたしも入学したばかりだったけど、練習試合を観に行った。

兄さんが投げて1安打完封。

試合会場がうちの学校ということもあってそれなりに見物人もいたし、兄さんに声援も飛んでいたので、

ああ、結構人気なんだなぁと、なんとなく思いながら、終了後に声をかけに行ったら。

「藤正先輩!お疲れ様です。」

「先輩ナイスピッチング!」

「先輩の玉って凄いんですね!」

おい、最後、字がおかしいだろ。

まあ、ともかくいろんな人・・・ほぼ女子だったけど。

から、声を掛けられていた。

「・・・・・・・・・・・。」

いや、なんかしゃべれや。

無反応て、でもあたしは知っている。

兄さんは心で喋っていることを。

たぶんノーヒットノーランを逃したことを気に病んで、あらゆる言葉が嫌味に聞こえているんだ。

きっと、心の声は、

“藤正先輩お疲れ様です”・・・ああ疲れたよ!だからヒット打たれちまったよ!

“先輩ナイスピッチング!”・・・ここまで来たらノーヒットノーラン達成したかったけどな!

“先輩の玉って凄いんですね!”・・・打たれたけどな!あれ?玉の字がちがくね?

とか、そんな感じだろう。

あたしは、人混みに尻込みして、近づけなかった。

けれど見ていた。

女子の言葉は封殺、男子の言葉はただ、先輩!って言っただけなのにやたら饒舌に返事をしていた。

といっても、兄さんにしてはという口数の少なさだったけど。

ちょっと、おや?とは思った。

この時はそんなに深く考えてはいなかった。

けれど、1年間見ていて、まず女子の名前を呼ばない。

いや、それ以前の問題かな?

喋らない、話し掛けない、顔を見ていない。

あれだけ周りに女子がいるのに反応が薄すぎる。

決定的だったのがこないだのバレンタインだ。

事もあろうに、朝コンビニでチョコを自分で買っていた。

知ってるよ?兄さんがチョコ好きなのは知ってるけども!

今日がバレンタインって、それぐらいは分かってるよね?

なぜ買った?

きゃー、チョコ好きなんだ!これなら安心して渡せるね。

って人もいるかも知れないけど、あたしだったら、チョコなんか自分で買うから別にお前らからの施しは受けん!的なメッセージとして受け止めちゃうよ!

まあ、それでも断れない男兄さんは、結構な数のチョコを貰ってきてたけど。

ホワイトデーの事で悩んでて、一切嬉しそうにはしてなかったな。

まあ、あたしもあげたけど。

ともかく、デリカシーに欠けるのだ、あの兄は。

私の見てないところでも、絶対ろくでもない対応していること間違いなしだね。

つまり兄さんに彼女を作るような甲斐性なんてないと断言できる。

「うーん、だとしても告白とかされたら兄ちゃん断んなさそうだよね。」

「ムムム!」

・・・あのマネージャーか!去年の夏大会を観に行った時に、サヨナラホームランを打たれて落ち込む兄さんを籠絡しようと頻りに慰めていたあの女。

そのポジションはあたしだろうに、あざとい、流石マネージャーあざとい。

「まっ、今の兄ちゃんは野球が恋人だから可能性は低いかな。」

「あたしもそれが言いたかった。」

にしても遅い。

大会近くならともかく、練習が長引いたとも思いにくい、兄さんの学校には確かナイター設備とかなかったはず・・・まさか事故とか?そんなまさか・・・いやでも無いとも言い切れない、兄さんあれで割とボーッとしていることも多いし。

思わず玄関を開ける、が、あてもなく捜しに行ってもしょうがないし、寒っ!思ったよりか寒っ!

と、目に入ってしまった光景。

兄さんが、めっちゃ美人さんと話し込んでいる。

「なん・・・・・だと?」





シリーズとして掲載してみたくて、実験的に始めた番外編です。本編がそもそも実験的に始め出したものなので、実験だらけになってしまいますが、せっかくの機能なのでできる限り使ってみたいと思います。どうすればシリーズとして関連させられるのかの使い方もまだ分かってないのですが、とりあえずやってみます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ