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第 41 話 反撃の狼煙⁈ 3

 これからの行動指針について一応の合意を得たので、それに基づいてそれぞれが行動を起こす事にする。


 王弟殿下にはには兎に角この場にいた事が無かったように工作する、つまり一切合切片付ける事と、これからの行動に必要な馬車を、グラオザームの王弟殿下邸から貰い受ける手続きをしてもらう事をお願いした。


 ここに来る時に使用した馬車を奪い取る?事は出来なくも無いが、そもそも誰が奪ったとかなんとかで面倒くさい事になりそうだ。と言って、ここで購入したり、グラオザームで購入したりしても、なにか不都合な事が起こらないとも限らない。であるならば、王弟殿下がこの国からグラオザームに戻る時に使用した本人所有の馬車が王弟殿下邸にはある訳だからそれを利用しない手は無い。だから、その馬車を俺が簡単に貰い受ける事が出来るように殿下に本国の邸に連絡を入れてもらう事とした。それと、王弟殿下直筆の書付も。これからグラオザームの王弟殿下邸の近くに飛んで馬車セット一式をもらってくる事にする。リンがいる異空間部屋とは別にもう一つ部屋を準備する。こちらは入室した途端意識がなくなり、その事自体の記憶が無くなる鬼畜仕様。気が付いたら居る場所が違うところになっているという程になる予定。そこら辺の調整はケイ任せ。


 俺としては初めに王弟殿下の事を片付けてから、皇女殿下の方に移りたかったのだが、王弟殿下がどうしても皇女殿下()とその息子の安全を確認してからでないとこの場を動きたくないと駄々(笑)を捏ねるので、この後の殿下達の移動方法や諸々について一切の質問を受け付けない事を条件に、先に皇女殿下の方から片付ける事になった。


 だが、その前の準備として馬車の調達を行う事にした。


「通信の魔道具で館の使用人頭に知らせてある。この書簡を見せればわかるようにしている。しかしどうやって……アイテムBOXに?……いや、これは聞かない約束であったな」


 殿下は知りたそうな色を顔に色濃く浮かべて、それでも約束は守ってくれているみたいで言葉を途中で飲み込んだようだ。


 俺は足元に偽の転移魔法陣もどきを浮かび上がらせて、一応の目眩しをして直接グラオザームの王弟殿下邸の脇に転移した。勿論人気の無い所に。


 サーチで入口を確認した後歩いてそちらに向かう、目立たないように裏口に。これも既に王弟殿下に連絡してもらっているので、邸内には簡単に進む事ができた。何しろ裏口にたどり着くや否や、誰何する前に扉が開いて中に迎え入れられたのだから。


 待っていたのは殿下の話に登っていた使用人頭、家宰というのかもしれない。口髭がダンディーなおじ様だった。


「殿下からお話は伺っております。この度の件を知る者が少ない方が良いと言うお言葉でございましたので、私が全て取り仕切らせて頂きます。お時間も限られている事でしょうから、礼には反しますが、この場から直接厩舎に向かいます。厩舎の前に殿下のお乗り物も移動してございます。また中に積み込む食料なども私が考える限り整えてございます」


 厩舎に向かうまでに人影も一切無かった。そういえばさっきもいきなりで確認していなかったが、入口の門番の姿も見ていないような……。徹底しているな。


 厩舎前には王弟殿下の使用するものとすれば、幾分か地味な箱馬車が止まっていた。二頭立の馬車だ。繋がれている馬は随分と立派な馬だ。馬丁が付いているでも無いのにその場に止まってゆったりと足元の草を食んでいる。


 殿下に用意してもらった書付を見せるまでもなく、俺は家宰さんから馬車を受け取ると、先程と同じように足元に偽の魔法陣を光らせて、王都をぐるりと囲んでいる城壁の外、東西南北の門から見渡す事ができない場所に転移した。そこで直ぐに異空間部屋に馬車を馬ごと突っ込んだ。


 一仕事終えて、元いた殿下のいる高級宿の部屋へ。殿下達の居ない部屋にジャンプして、在室するする部屋の扉がを開けると、所在無さげにソファーに座る3人が一斉に視線をこちらに向けた。護衛騎士は流石に腰の剣に手を添えてソファーから立ち上がっている。


 外の廊下に繋がっている扉の外からは、相変わらず攻撃魔法を当てようとして、結界に弾かれている音がしている。


 諦めが悪いな。もう何時間粘っているんだよ。きっと何人もの魔術師が入れ替わり立ち代りやっているんだろうな。サーチで見てみるとMPが枯渇して倒れている者も何人か見える。ただの剣を結界に叩き込んでいる騎士もいるようだ。手が痺れるだけだろうに……。


 こいつらにはいらない苦労を重ねてもらうとして、王弟殿下にはもう一つの仕事として、皇女殿下の夫であるリューグナー首領との渡りをつけてもらう。


 実は王弟殿下は首領とも連絡を取れる魔道具をもっているそうだ。これは、実兄であるグラオザーム王にも秘密のもので、何故なら、下手をすればリューグナーと手を結ぶ謀反人に仕立て上げられなくも無い物であるからだそうだ。


()は私を警戒しているからね。年が離れすぎているというのも考えものだな」


 普段であれば比較的直ぐに連絡を繋ぐことができるものらしいのだが、何と言っても奥方と御子息の行方が分からないのだ、彼の周りは今嵐の中に居るような状態になっている事だろうから。


 何度か接続を試みてやっと繋がった先の声は、とても殿下達と変わらない年齢とは思えない程嗄れて力の無いものだった。


 家族の行方が分からないのだことは公にしていないのだろう、隣国の王弟殿下からの連絡に直ぐに返事を返さなかった事に律儀に謝罪から入った首領の声は、初めてその声を聴く俺が感じるほどに、硬く掠れた声だった。その硬さには、少なからずこのタイミングで連絡を入れてきたこちら側に対する猜疑の気持ちが含まれていることは間違えようがなく、余りにも慎重に交わされる言葉遣いからも、既に皇女殿下達の攫われた状況の連絡が入っている事も想像に難く無い。


 念の為に王弟殿下は周りからの人払いをする様に伝えると、なお一層首領の声は硬さを増した。


 きっと、首領達リューグナーの上層部には、『皇女殿下を攫ったのはグラオザームの訓練を受けた者達』と見られる、とか『その中には王弟殿下が含まれているもよう』だ、などの報告がなされているのだろう。そんな時の連絡だ、尚更疑われても仕方が無い。


「まるで、身代金か何か強請る、犯人のタイミングだもんな……」


 思わず零れていた、俺の独り言に殿下も眉をしかめると言う反応を返す。


 まずは、どう繕っても疑われる事から入るのだから、首領本人のみと会話している事を信じて、こちらの知る真実を伝えるしか無いのだ。


「時間もあまりとれないと思うので、質問などは私が話し終わってからしていただく事としたい」


 グラオザームの王弟殿下と、リューグナーの首領の立場はこれが正式な国の対面を持って行われる会話であるとしたら、一国の代表である首領の方が立場的には高い者だろう。しかし、この通信魔道具は姪の夫君へというか、学友であるサイラス首領個人に対して渡した者であるので(お互いがお互いの国に留学経験があるそうだ、年齢も同じらしい、2人が話す横で聞いている俺に王弟殿下の侍従が耳打ちしてくれた、因みに彼も学友の独りらしい)、今の立場は唯の学友であり、強いて言えば殿下の姪の夫。立場的には殿下の方が十分上と考えられなくも無いのだ。


 だからか、言いたい事を飲み込む様にサイラス首領はその殿下の要求を受け入れた。


 王弟殿下は一方的に今までの経緯いをできるだけ簡潔に説明した。



あらすじと題名をちょこっといじりました。

気になったらまた変えるかもしれません。


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