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第 40 話 反撃の狼煙⁈ 2

 姫巫女や兄王(あちら)には命を賭けることはしないけれど、俺には命を賭けると言う事か……。なんか、重いわ!って、心の中で思わずツッコミを入れた。


 俺も腹をくくる時が来たのかもしれない。三の曲輪でのぬるま湯のような生活をずっと続けていける訳でないし……。


 相変わらず室外の廊下の方からは、結界に阻まれている攻撃音が絶え間なく響いている。


 そうこうしている間も、廃屋に連れ込まれた皇女達も気になるので、リンクする動物を鳥から地上を行く動物に変えて、廃屋内に潜入させる。


 元々皇女殿下は帝国への貢物として必要なのだから命の心配はしていないが、その子息については相手の思惑がわからないのでなんとも言えない、しかし誘拐を行ったのが一応騎士である人間が多数であるから、幼い子供に手を出すとは考えたくないのだが……。


 地面を這うような視線。このような時にはネズミのような生き物の方が潜入に向いているかもしれないが、なんとなく好きな猫に似た動物をテイムして使っている。見た目小さい黒猫。この世界ではなんて言うのかな、勝手に言葉は変換されてしまうから、この世界の物も固有名称以外認識ができない。俺の口からはこちらの言葉が出てるからね、困る事はない。


 犬ではないが鼻も利くようで、皇女達がいるところを探すように指令すると、余り迷う事なく探し当てる。


 テンプレの地下室ではなく、ギシギシという階段を登った二階の元は主寝室だっただろう部屋につながる、侍従かメイドの控え室。窓もなく逃げ出す事も、外から助け出す事も困難な場所。普通ならね……。


 黒猫もどきをその部屋の中に入れる事はせず、(子供はこの様な生き物が好きだからね)天井に上がらせて周りを警戒するように指令を送る。


 皇女達は攫われる時に薬でも使われたのか、二人とも意識がない様子。しかし、呼吸音はしっかりしているみたいなので取りあえず安心だ。


 並列思考にも随分となれた。同時に二つの画面を見ているような感じで、それでいて無理なく頭の中で処理できている。ほとんどケイのお陰だけど……。


 王弟殿下の存念も聞いたので、俺たちを嵌めた二つの国の思惑を木っ端微塵にするためのこれからの行動を話し合う。


 まず第一に、王弟殿下を利用させない事。


 第二に、皇女殿下達も利用させない事。


 第三に、今回の事を計った全ての者共にすべからくその行いに見合った罰を与える事。


 そのための作戦を実行するために知恵を絞る。こんな時は王弟殿下の腹黒さと、ケイの知恵を掛け合わせて、失敗できない作戦を組み立てていく。


 第一の王弟殿下を利用させないようにする為の策は、そもそも王弟殿下がリューグナー(この国)に来たという事実をなかった事にする事が一番だ。


 王弟殿下は約一ヶ月前にはこの国に特使として来ていたが、キナ臭い事に気が付いてグラオザーム(本国)に戻ってきたところを、とんぼ返りするようにこの国に連れてこられた。だから、この国からの出国の跡を消されてこの国にずっといる事になっている訳だ。殿下自身はこの国(リューグナー)を出る際、皇女殿下には秘密裏に出国の挨拶をしたようなのだが、表向きにはわからない細工を自身でしたのだから、下手を打ったとしか今は言えないだろう。


 だから、そこを突かれると言い訳をするのも面倒くさい事になりかねない訳で……。つまり、今この時間にこの国にいる事は無理なところまでアリバイを作ってしまえば、何を言われようが問題はなくなるという事になる。


 そう何も難しことは無い、俺のチート転移で、魔法陣を使っても一週間はかかるくらいの所まで運んでしまえばいいいわけなのだから!。


 この世界の魔法陣もある程度の距離を一気に運ぶ転移の一つであるが、大きな都市や国を繋げる街道沿いに設置されているだけであることと、1日に人間が魔法陣に耐えうる数が最大で三回であることなど結構制約が多い。


 リューグナーとグラオザームの間も転移魔法陣の数は10個。つまり3日以上は移動にかかるのだ。だから今リューグナーからグラオザームまで俺の転移で移動すればそれだけで、今日のアリバイはできるが、グラオザーム国内では姫巫女一派(あいつら)に何をされるか安心できないので、王弟殿下の知る、リューグナーにもグラオザームにも属していない、一種治外法権扱いの都市に転移する事に決めた。比較的最近できたダンジョン都市で、冒険者ギルドが管理しているらしい場所。


 移転魔法陣を使っても、グラオザームからでも3日以上、この国(リューグナー)からはさらに遠く直接向かうと一週間はかかる場所らしい。つまり魔法陣を使わなければ一月近くは優にかかる距離。


 王弟殿下は随分と自分だけ安全地帯に行く事を是とせずにごねられたが、とにかく王弟殿下には(行き方については一切の質問も疑問も受け付けないという条件の元で)そこに行ってもらう事として、時間も無い事から二番目に行う行動として、皇女殿下達を利用させない方策を考える。


 一番簡単で楽で確実に皇女殿下たちを助ける方法は、俺が今皇女殿下達が囚われている所に転移して(飛んで行って)彼らを救護する。そうすれば、それで一瞬で終わりだけど……。それでは、第三番目のすべからく〜を行う口実がなくなってしまうから、これは無し。囚われている皇女殿下達には悪いけど……それに、それじゃあ俺もつまらないし……。


 皇女殿下達を誘拐した事の罪は、きっちりとその犯行を行ったもの達に担ってもらうのが筋だ。だから、誘拐犯として利用される予定だった王弟殿下の役をそのまま、犯行の主犯にスイッチする事にする、ただそれだけ。


 今回の皇女殿下(首領夫人)誘拐の実行犯であり、今も皇女殿下と共にいてまるで被害者面をしている人物の容姿を王弟殿下に伝えて、知っている人物であるか問いてみる。


「……その容姿からするとヴェスター殿か……サイラス殿が気落ちするな……」


 詳しくそのヴェスター?殿の話を聞くと、サイラスリューグナー首領(皇女殿下の夫)の姉の夫、つまり首領の義理兄で、その上首領本人とも幼なじみ、少し年上の兄のような存在だったとか。で、その縁で首領の姉と結婚したようなものだったらしい。随分と心許していたらしく、自宅にも顔パスで入れるようなそんな間柄。


「ただこのところ、と言うかここ数年、アンリが生まれてから少しずつ彼の行動に違和感を持つ事が増えてきた、とこの前サイラス殿に会った時に聞いていたが……」


 アンリ、とは皇女殿下とサイラス首領の子供で、今誘拐されている男の子。このまま何もなければ、将来首領の地位につく事に最も有力な存在。この国では建前上首領は世襲ではないけれど、この世界の形の中ではその事が一番自然な流れである事も事実。


 子供においても、男児が後を継ぐ事が当たり前という考えしかないのがこの世界のようだ。だから、サイラス殿は弟ではあるが長男だったから首領の後を継げたというわけ。


「もしも、今回の事でアンリに何かあれば、その次の首領候補は、ヴェスター殿の息子になるわけだが……」


 言うなれば、皇位継承権第二位に自分の息子がいるわけだね。だから、第一位に何かあれば必然的に繰り上げになるという……。


「だからと言って、首領にまた男児ができれば、順位はひっくり返されるだけだろう?」


 おれが王弟殿下にそう問えば、王弟殿下は頷きながらも言葉をつないだ。


「その事もあって、妻である皇女も取り上げるような行動に賛成したのだろう」


「だとしても……」


 そう、だとしても子供が生まれないという確証はないはずで……。


「だから、子供が生まれるより前にその元を断つような行動も次に起こすつもりなのであろうよ」


 そう言って、王弟殿下はなお一層表情を硬くした。


「あぁ……つまり、首領さんの首も挿げ替えるつもりな訳ね」


 自分の息子に後を継がせて、自分が後ろから操るという形を目指しているわけね、ヴェスターさんは……。


 その他奴らに加担する者たちは、この国の為に利益になる事ではなくて、あくまでも自分の利益になる事しか考えていないのだな。だって、その自分の利益のためにグラオザームと戦争になるかもしれない行為をしているのだから。まぁ、彼等からすればグラオザームとの密約、つまり皇女を渡せば、今の首領たちに罪を着せる事で自分達は罪に問われないしそもそもの戦争も起こらないものだ、というお墨付きを信じて行動しているのだろうが……。そもそもそううまくいくのかなぁ……いかせないけどね。



明けましておめでとうございます。

今年はコンスタントに週一回は投稿できたらなぁ、と所信表明?

本年も宜しくおねがいします!

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