表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/57

第 33 話 リューグナー共和国へ 1

 俺は今二の曲輪内の事務所の様な所に連れてこられている。部屋の中の入り口近くの隅で中に集っている俺以外の人達の観察に勤しんでいる所だ。


 二の曲輪に連れてこられてすぐ、俺は身包み剥がされ、冒険者か暗殺者かという様な地味な旅人風の旅装一式を渡された。顔は余り晒さない様に釘も刺された。


 俺がこの部屋に連れてこられた時には既に先客が何名か居て、以前から顔見知りなのだろう小声で話し合っている様子が見えた。


 俺が部屋に入ったその一瞬だけ、皆の興味がこちらに向いたのだが、しっかり魔力を隠蔽している俺からはオーラが全く感じられなかったのだろう、誰も興味を持つ事なく直ぐに視線を外し自分たちの会話に戻っていった。


 この部屋の中にいる俺と同じ様な格好をした5名は、解析をするまでもなく騎士。そしてメイド姿の女性が1名。こんな作戦に参加する彼女は戦闘侍女さんか?


 一応解析もかけてみてレベルも名前も丸裸。俺は覚えておく気がないので、これもケイに丸投げだ……。


 暫く待たされた後、この前の茶番劇の時司会を担当していた宰相閣下が、怪しげなローブ姿の魔術師を引き連れて入ってきた。


 さすが、秘密作戦(笑)。国のトップである宰相閣下が作戦の陣頭指揮のみならず、作戦内容の解説まで自らしてくれるようだ。


「これから事前に聞いていると思うが、リ国に対して迅速にかつ秘密裏に第一皇女奪還作戦を行う。今回の作戦は勇者様方の初陣でもありとても重要な作戦である。また作戦の性格上少人数で行うこたが必要である事から、君達精鋭を送る事した。この作戦に選ばれたことを誇りにして作戦成功に心血を注いでもらいたい」


 この狭い事務室に毛が生えたくらいの空間で、どこの演説だよ!と、熱の入れようの宰相閣下。俺以外の方々は全く白ける事なく熱を持って、その場に直立不動の姿勢で、閣下のお言葉を拝聴……している。


 俺以外の作戦要因はある程度詳しい作戦内容を知らされているのか、その場での作戦に関する事は何も聞かされる事なく、閣下の演説終了後にはそのまま二の曲輪の中庭まで移動となった。そこは周りを建物に囲われているので外から見られる事なく、ある程度纏まった人数をまとめて転送できる場所であるらしい。


 中庭に着くや否や、あの怪しい魔術師の詠唱の元、どこかに転送された。


 その場所は直ぐにケイによってマッピングされて、俺にはどこにいるか直ぐにわかったが、騎士達も詳しい所までは聞いていなかったのか、着いて早々はキョロキョロしていた。


 王都をぐるりと囲んでいる城壁の外、南側の門と西側の門の中間あたり、ほぼ誰にも見られる事がない場所。


 仮設の魔法陣なのか四方に結界石が置かれていて、その中に直径10メートル程の円が浮かび上がっている。


 俺たちは直ぐにその円陣から外に出るように促され、城壁に近い所に張られているテントの中に押し込まれた。そこには、俺たちと似ている格好はしているが、どう見ても魔術師ですという格好の女?が一人隅っこでイスに座ってこちらを伺っている。その彼女の後ろにはうず高く今回の作戦に使われるだろう荷物が積まれている。


 テントの外魔法陣の方から魔力の動きが感じられた。転送陣が使われたのだろう。今度は人だけではなく馬ごと馬車でも運ばれてきたのか、大きな馬の嘶きとそれを宥める人の大声が聞こえてきた。


 間を空けず同じようなざわめきが聞こえる。当初馬車は一両と聞いていたが、王弟殿下の参加で二両に増えたのだろう。


 外に気が削がれていたので無視する形になってしまっていた、女魔術師がこちらに近付いてきた。俺も騎士達もほぼ同じ様な格好をしているが、俺と騎士達は見る奴が見れば違いは一目瞭然。俺に自分と似た様な匂いを感じたのかほぼ一直線に俺の方に向かってきている。


「君がこの作戦で招聘されたアイテムBOX持ちでしょ?」


 ハスキーで少し低めの声であるが、その声を聞けば確かに女性である事がわかる。彼女の質問に答えることに、別に制約も無いので素直に頷く。


「ここにある荷物を私と二人で運ぶ。あなたが担当するのはこっちの山」


 そう言うと、彼女は奥の方の木の柱や大きな布の塊を指差した。手前には食糧や酒など主に口に入れる様なものが積まれている。荷物の重要度は一目瞭然だ。


 俺の表情で言いたい事が分かったのか、肩をすくめるジェスチャーをした彼女は、私、一応宮廷帰属の魔術師だからそこは仕様が無いのよ、と小さく笑った。


「これから行われる作戦については知っている?」


 ザワザワとしている外を気にしながらも小声で話しかけてくる。


 俺は王弟殿下のお陰で、結構詳しい事まで知っているが、俺がこの作戦については全く何にも聞いていない事は事実なので、全く何も聞いていないと答えた。


 彼女は一瞬渋い表情を浮かべた後、とりあえず、俺の直接の上官に彼女が当たる様になる事と、いつ出発の合図が出されるかわからないので、ここにある荷物をアイテムBOXに入れておく様に言うと、彼女の担当する荷物に次々と触れて行き荷物の山を片付けていった。


 俺も彼女に言われた荷物をアイテムBOXに取り込んでいく、表立って俺の空間魔法はレベル2という事にしているのでそれ程多く配分されているわけでは無いようだ。


 ケイとレベルにおける分量を計りながら、手を翳し片付けていく。なんだか最近入れたいものに触れなくても、意識するだけで仕舞い込めるようになっていたんだよね。面倒臭いけど、下手に目をつけれれたく無いから地道に荷物に触って行く。


 俺の荷物はテントや鍋、ジュータン、マキ、など、移動中に無くなってもそう困ら無いものが殆どで、それに飲料水の代わりなのかワインの樽が数個、取って付けたように置かれている。


 俺はそのワインの樽一つを、もう持ち運ぶ事ができないよという合図にするため、その場に残した。


 ゆっくり作業をしていたが、彼女より早く終わってしまった。索敵の方に意識を置くと、テントの外には既に2両の二頭立て馬車と単騎で馬が6頭いる。そして何度目かの魔法陣の輝きとともに、強い魔力を纏った数人が円陣の中央あたりに現れた事を感じた。


 円陣の方からこのテントの中に声が掛けられて、テントの中でたむろっていた騎士達がその声に弾かれたように外に飛び出していく。


 荷物をアイテムBOXの中にしまい終わった彼女が、俺が残していたワイン樽に手を伸ばして自分のBOXにしまい込んだ。


「我々は呼ばれるまであっちに行くことはないわよ」


 外の様子には薄々気が付いているようだが、騎士達とは一線を画した存在であるのか、特に気にした様子もなくテントの隅に座り込んで、自分のBOXの中からお茶を取り出して優雅に飲み出した。


 結構な分量の荷物を、抵抗なくBOXに入れ込んだところを見ると、見かけによらず優秀な魔術師なのかもしれない。基本魔術に特化した人間には解析は使わないようにしている、少しでも違和感を持たれないように、特にこれから暫く行動を共にする人には……。(本人からの許可があれば別だけどね……)


 外では騎士達が整列して要人を迎えているようだ。個々の纏う魔力には違いがあるので、俺は一度目にしたことある人は個別に認識できる。


 王弟殿下と、勇者の四人、宰相閣下の魔力を識別できた。それと知らない人間が2人。


 テントの中に俺と魔術師の彼女二人きりになったところで、声を抑えながら彼女が話しかけてきた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ