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第 24 話 二の曲輪から一の曲輪へ

 自分も一応招待されているパーティの準備を呼び出された時刻ギリギリまでやらされて、草臥れた顔のまま二の曲輪との連絡扉まで向かう。


 こんな時すっごく忙しいパルメも、「これも仕事の一つだから」と同伴してくれている。パルメもこのまま一の曲輪にに向かいパーティの手伝いをするそうだ。もしかしたら正装侍女姿のパルメを見る事が出来るかもしれない。その事だけが少し楽しみだ……。


 初めて三の曲輪に連れてこられた時に通った道を逆に辿る。連れてこられた時も詳しい事は何も問う事が無かったパルメは、今回も特に問いかける事なく淡々とたわいない話を重ねながら歩く。これは俺に興味がないからではなくて、聞かれてもそう詳しい事を話す事のできないこちらの様子を慮ってだ、これも半端ない侍女スキルなのか。


 もしかしたら、もうこの道をまた逆に辿る事はできないかもしれない。


 いきなり明日この国から出発する、なんて事は無いと思うが、もしも想像の通り俺が勇者達の旅の荷馬車として扱われるのであれば、三の曲輪に戻される事は無いかもしれない。


 三の曲輪の人々に特にお別れの挨拶をしてきていない。今回このパーティに参加する事は、あの時召喚状をもらった時に近くに居た人しか知らない事で、俺も態々声高に吹聴する気もなかったが、頭から一切口外禁止きつく言い渡されたので、ネルケにきちんと今日のことを話せなかったのが心残りだ。まぁ、俺がその気になればこの国、いやこの大陸の何処からでもネルケの部屋に忍び込めない事も無いけどね……。


 俺に与えられた部屋からは私物は全て引き上げている。(まぁアイテムBOXに入れるだけの事だが…)


 二の曲輪と三の曲輪の境の扉の横には騎士の詰所が有り、パルメはステイタスカードを見せるだけですんなり扉を潜る事ができた。俺はステイタスカードと巫女姫様から押し付けられた召喚状を一緒に見せる。そのステータスカードをギルドで見たようなカード読み取り機?にかけた後、何処かと連絡をとっている。あれも魔道具の一種なのだろうか、昔の船などで見た事がある伝令管に似たラッパの先のような形の管に話しかけている。


 確認が取れたのか、少し待たされたが扉を潜る許可を得られた。潜る時何がしかの魔力を感じた。用心に越した事は無いよね、俺からすればザルだけど……。


 二の曲輪に入ると、さすがのパルメさんのおしゃべりも無くなる。一人騎士も付いてきているし……。


 二の曲輪の館の裏口か、建物の一番に端にあるあまり目立た無い扉を開ける。開けたのは付いてきた騎士。中には侍女か?女性が一人立っていた。騎士さんはここまで。何も言わず踵を返す。


 俺の背後で扉が閉まる。


 閉まった途端、全く無表情だった目の前の侍女さんの表情が崩れ……。


「姉様!久しぶりです!お会いしたかった!」


 小声なのに叫んでいる!。どんなスキルだ?ダッシュでパルメに抱きついた。


「ニーナ…あなた相変わらずね…」


 パルメはいきなりの彼女の奇行にも全く動じる事なく、抱きついてきた女性を余裕で抱きとめる、眉は潜めているが、その声は嬉しさを滲ませている感じがする。


 俺の事は眼中に無いのね、まあいいけど、この辺りに他に人は居ないし。


 しばらくパルメの胸に額をスリスリしていた女性、名前はニーナさん推定…俺より結構年上。ある程度そのままでいると、納得したのか顔を上げた時には初めに見た時の無表情。すっかり有能侍女の仮面をつけていた。凄いけど……。


 ここで話す事はないのか、磨かれてはいるが床板が剥き出しの廊下を、ニーナが先導するかたちで進む。


 二の曲輪は貴族が使う館とは言え上級貴族が働く所ではないから、表向き必要でない所は三の曲輪とそう変わらない。特にここは裏口から続く廊下、気を使う所でもないということか、照明もそう明るいものでもない。


 そんな廊下を暫く進みこれといって代わり映えのしない扉に行き着く。扉の内はリネン室か、四方に備え付けの棚には様々な布製品が積まれている様子が見えた。そんな部屋の中央に普段は置かれていないだろう小机。ニーナさんに促され近付いてみると、男性物と思われる上衣から靴までの一式と、俺が持っている物よりも随分と上等そうなフード付きローブが置かれている。


 これに着替えろという事だろう、やけに手触りのいいローブを手持ち無沙汰に撫でていると、時間を確かめたのかニーナさんが次の目的地に向かうべく踵を返す。


「着替え終わりましたら廊下に出て来てください。姉様の着替えは隣の部屋に……」


 この部屋の扉が閉まる音と間を空けて少し小さな扉の閉まる音がした。


 男の仕度にかかる時間なんて大した物ではない。着てきた服の処置に少し迷うもそのままアイテムBOXに突っ込んだ。与えられた洋服は例の売っぱらった服と変わらないレベルの物だが、エンチャットは何も施されていない物だった。


 一人で居られるのはここで最後かもしれ無い。慎重に今まで意図的に切っていたケイとのリンクを再開し、サーチを発動してその範囲を徐々に拡げていく。


 今まで認識した事のある人の魔力のかたちはケイが覚えているので、それと照合しつつ二の曲輪から一の曲輪に範囲を伸ばす。若干の抵抗を感じるも問題は無いようだ、ケイも何も言は無いし……。


 まるでゲーム上のマップのように、俯瞰で見たこの王城の地図に点で表された人達。


 俺の感情や、ケイが分析した結果から色分けされ表示された人々。


 青色ー仲間もしくは害意の無い者。

 赤色ー俺を好ましく思ってい無い者。俺が好ましく思ってい無い者。敵。

 黄色ー害意の有無が判断しきれ無い者。まだ知ら無い者。


 一番少ないのは青色(隣の部屋のパルメ以外ここより内側に見て取れるのは…)。一番多いのは黄色。そしてこれから向かうであろう所にかたまって見られる赤色。


 もう一度自分の姿を上から下まで眺めて、腕にはめていなかった例の腕輪を取り出した。


 側から見れば効果は続いてるように見える腕輪。ステータスにも一応表示させているし、大丈夫だろう。レベルはギルドに知られているものから一番初めにこの城で調べられたものに戻しておく。疑問に思う者が若干名いるがこの際仕方が無い。


(ケイ、これからのこと頼んだよ…)


 厳密に言えば一人きりで敵地に向かうのだけれど、俺の中にいるもう一人の相棒は俺自身より信頼できる者なのだから、これより心強い者はない。


 廊下は相変わらずひっそりとしていて通りかかる者の姿は無い。時間的にほとんどの者がもう一の曲輪に向かって行っているのだろう。


 そう待つ事なく、隣の部屋からニーナさんと同じ姿をしたパルメが出て来た。いつもより5センチ程背が伸びているように見えるのは履いている靴のせいだけでは無いのだろう。


「今日は一般の給仕補助ではなくて、私の補助として皇太后陛下に使えて頂きます」


 服装の色からそうである事はわかったのだろう、そう驚いた様子もなくパルメは頷いていた。ただし、このような席に皇太后陛下が臨席される事がこの頃では珍しい事であるらしく、その事について明るい廊下に出るまで二人は小声で話を交わしていた。


 一の曲輪に入るには歩いて直接と言う道はない。二の曲輪内に設けられている転送室から一の曲輪の転送室に送られるのだ。それは王族といえども例外はなく、一の曲輪に入るのはその場所しかないとされている。(されている……)勿論、一の曲輪内の転送室は使用する人物の身分によって分けられているのはこの世界では当たり前の事であるが……。


 転送室に入る時も魔力を感じたが、入ってからも何かに覗かれるような嫌な気分に陥った。一回に運べる人数の上限になるまで作動させる事はないのか、もう召喚時間に間がないところか、超えているんじゃないかというくらい待たされてから転送された。


 ケイは俺に指摘されなくてもしっかりと仕事をしてくれているので、意識する事なくこの一の曲輪の見取り図が意識下に現れた。自分の現在位置もしっかりとマッピングされている。一番下層の転送室。歩みを進める程に地図の内容も補完されていく。上階の方でやけに詳しく表示されている所は、以前召喚された時に訪れた所をケイが俺の記憶から読み取ったのだろう。その辺りに赤色のマッピングが多数見られる。個別認識はもう少し近づいてからにしよう。


 進行方向の廊下の先に、パルメ達と違うお仕着せを着た侍女が立っている。どうもそこから案内が変わるようだ。さっき着替える時にニーナから話を聞いていたのか、パルメは後ろを付いて歩いていた俺の方に振り返り、何も言わずハグをしてきた。俺も無言でハグを返した。


 待っていたのは戦う侍女さん。ステータスを覗くとパルメやニーナと違い、召喚された時に付けられた侍女さんには及ばないものの、戦闘に特化したようなレベルをしている。


 パルメ達からバトンタッチされる形で新たな侍女さんに引き渡されると二人とはその場で別れた。俺はパルメ達と一緒の時は上げていなかったローブのフード上げ、顔をしっかりと隠すと戦える侍女さんの後に続いた。




また間が空いてしまいました……。(ここで言い訳…)キーボードが壊れてっしまったのです…。

なんかパチパチ打たないと書いている気がしなくて……。

買い直しました。新しいこの子の方が随分と打ちやすいです。怪我の功名?少しペースを上げて執筆したいです。

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