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挿話 2 | 伊勢 彩芽《いせ あやめ》

勇者四人衆の一人、魔法少女?伊勢彩芽(いせあやめ)視点のお話しです。


 今思えば、私がこんなちょっと?一般ピーポー的でない出来事に足を突っ込むことになったのは、幼稚園からエスカレーター式に上がってきた高等部に進学してから二三週間経った頃からだったと思う。


 私のウチは所謂首都圏のとある地方都市に在る、中小企業と言われるような会社を経営している小金持ちだった。だから、この街ではただ一つの大学は地元から離れるのけど高校まではあるよという、ここらでは随分と高い幼稚園にお受験と言われるようなものもなく入園したのだった。中学まではこれと言って特出することもなく、十年以上同じクラスの私は大親友と思っている柏木恭子と普通にJCしてたと思う。まぁ恭子は自宅が剣道場をしていることもあり、小学校の時から全国大会に出場するなど少し目立った美少女剣士であったりしたけど、私はそれこそ学級委員もしたことがない埋没少女だったと思う。


 何も深く考えることなくそのまま高等部に進学し、運動が得意でもないから中等部と同じく文芸部辺りに入ってまったりと三年間過ごすのだなあと、なんの疑いも無く思っていたし、その通りの時間が過ぎていったのだ、彼らに会ってなぜか一緒に行動をするようになるまでは……。


 恭子も相変わらず剣道部に入部し、それこそ1年ぶりに同じ場所で先輩達と打ち合えると喜んでいた頃、部活帰りの道すがら偶然にも転校生がチンピラに絡まれているところに出くわしたそうだ。ウチの制服この辺りでは金持ち高だた知られているからね、住宅街の街灯もほとんどない小さな公園を横切ろうとした時、か細い悲鳴が聞こえたらしい。


 恭子も一応女の子なのだからその話を聞いた時はなんだかなぁと思ったけど、竹刀を持っていればこの辺りならチンピラの五六人なんてことないのしってるから……。


 助けてみれば、最近話題の転校生の片割れ。いくら田舎の私立学校と言え、高等部からの入学者は勿論少なからずいる。外部入学者ね。ただ彼等、そうかれらは内部入学者。なぜかわざわざ、中央の本校と言われるお金持ち総本山高から転校して来た物好きさんなのだ。高校になってからの転校は普通は面倒くさく難しいものらしいが、ウチも一応私立の系列校持ち、その中では比較的簡単に転校できるらしい。だけど、ウチから中央に転校したがるものはいてもその逆は殆ど無いって聞いていたんだけどね。余程のことがない限り……。


 そんな前提が有り、彼等には誰も壊れ物に触れるが如く及び腰だった、生徒は勿論先生も。後から聞けば彼等の身分はより一層一田舎教師がどうこうできるものでも無かったのだけれど……。


 いつもの二人でいる彼等が(隠れて護衛を何人も引き連れていたと思うけど)なぜ、その時そんな危ない場所で一人でいたのかわからない、後でその理由を聞いても結局はぐらかされたままで今に至っている。彼女に言わせれば、


「そんな瑣末な事はないどうでもいいのよ。今は恭子と彩芽に出会えた事に感謝しているのだから」


 だそうだ……。


 つまり、この事がきっかけで、結構人見知りの恭子が、転校生の一人『志津野 雅』と仲良くなり、ついでにいつも恭子と共にいる私とも話す事が増え、雅と共に転校して来たもう一人『本城 勇刀』とも一緒に行動する事になったのは、決して私達が望んだ事ではないと声を大にして言いたい。


 あっ、別に二人の事が嫌いだとかそういう事ではないのよ。


 二人と仲良くなってその後、他の生徒達にもあげくは先生達にも、四人一括りで扱われるようになって、高スペックな三人(なにげに恭子も高スペックなのだ)に巻き込まれる形でいろいろやらされる。私の身にもなってみろっていう事。


 あれよあれよと言う間に、一年の夏休み明けには生徒会に所属していた時には自分でも驚いたね。一年なのに会長が本城くんで副会長が雅ちゃん、会計に恭子で庶務に私。書記さん二名ともう一人の会計は二年生、庶務が一人欠員。


 今まで興味が無かったから知ら無かったけど、この学校の生徒会は結構力を持っているというか、この学園全体の考え方が生徒による自主自立なんだって。


 本城くんと雅ちゃんは前の学園でずっと生徒会役員をやっていたらしくて、ここ以上に色々な権限を持っていたらしく、それに伴い仕事量も半端無かったらしいけど、


「この位の仕事量なんてことない」


 って、軽々とこなしている横で、私は勉強と部活と生徒会と三足の草鞋で、一年生が終わる頃にはどうにかなりそうだった。


 特に生徒会に入るって事が、本城くん達と仲が良くなるということがどう言う事か身を持ってわからされる出来事がてんこ盛りにあったから……。


 まぁ、それは今語る事じゃないね。彩芽ちゃんも色々体験して強くなったよ、って事で……。


 二年生に進級する頃には、慣れや開き直りで毎日の生活もそれなりに落ち着いてきて、私達四人の関係も周囲に勘ぐられる事がなくなってきて高校生活も半分過ぎた頃、あの事が起きたのだ。


 生徒会の行事もひと段落ついて、すっごい金持ちだった本城くんが一人で住んでいるタワーマンションで、これでもかって大きさのプロジェクターでホラー映画鑑賞会が終わった帰りのエレベーターで、なぜか異世界召喚なんて自分の身に起きればホラーどころではない体験をする羽目になって……。


 浮かれていたのは否めない……。


 なぜって、私は文学少女主にラノベ中心だったのだから。ネット小説も勿論愛読してましたとも……。


 そんな私が…そうさ隠れ厨二の高2の私が、この四人の中で一番浮かれていたとも!


 勇者の称号、魔法さえ使えるというこの世界。体力には自信が無かったからどうなるかと心配していたけど、ステータスの確認、そうステータス。その確認をしてみれば、私は二属性持ちで魔法特化の魔法使いになれるだろうと言われ。初めっからファイヤーボールを打つ事ができる自分を知った時、『天下キター!』と思ったのも仕方ないよね。


 召喚されたのが私達四人だけじゃ無かったことをすっかりと忘れ。恭子や雅ちゃんみたいなドレスを着れないことにちょっぴり不満はあったけど、魔獣と言われるものを倒せば倒すほど、魔法の威力も打てる回数も、目に見えるように上がる。


 私だけでなく、少しそれまでの竹刀剣道に行き詰まっていた恭子も、夢であった本身の刀を使えることに興奮していたし、いつも冷静な雅ちゃんも己のレベルが上がることに眼の色を変えて取り組んでいたと思う。勇者本命の本城くんは言わずもがな。召喚主の巫女姫さまに鼻の下を伸ばしていたのは、背後から膝カックンものだったけどね。


 実技だけではなく、こちらの文字や歴史、マナーなど座学も熱心に修め、それぞれの先生に「もう一人前ですね」と言われた、こちらの世界に来てもう少しで半年経つという頃、全体のレベルも上がり、持っているスキルレベルも総じて一つ二つ上がった時、日課となったステータスを確認していた雅ちゃんの顔色が見る見る悪くなったことに、その時一緒にいた私と恭子は気が付いた。(最近、本城くんは暇があると巫女姫さまのところに行くので、この時も居なかった……)


 基本ステータスは本人でしか確認できない。他人のステータスを見るには神殿やギルドのあるという魔道具を使用してしか見ることができない。と言って、私が普段自分のステータスを確認できるのは、上から五項目のみ。総合的なレベルの上昇は確認できるが個別のスキルの確認は魔道具を使用しなければ本人でもできない。


 そんな中、雅ちゃんは持っているスキルの中に『ステータス閲覧』と言うのがあった。それは神殿にある魔道具と同じような働きが個人でできるというもので、雅ちゃんは自分のステータスだけではなく私達のステータスも見ることのできるというものだと理解していたし、そのように説明を受けていた。


 総合的なレベルが上がっても、そう簡単にスキルレベルまでは上がらない。だけど、そんな中でも雅ちゃんのこのスキルは上がりやすかったのか、一つ閲覧できる項目が増えると徐々にではあるけど見ることができる項目が増えてきて、最近では一番初めのステータス確認で教えてもらった10項目名まで見ることができるようになっていた。


「彩芽。火属性魔法の方が派手だし、使っていて楽しいのはわかるけど、土属性とレベルの差が生まれるのは好ましくないから、土の方も使いなさい」


 このような指摘を受けて、演習場を焼け野が原にしていた私が、凸凹にしはじめたのもスキルのレベル項目まで閲覧できるようになった賜であろう。焼け野が原は直せないが、凸凹は土属性魔法で直せるので、これもスキルの上昇に役立った、と思いたい……。


 そんな有用なお助けスキルが、10項目閲覧で打ち止めだと思い込んでいた私達は、突然の11項目12項目閲覧に喜びよりも戸惑いを覚えた。


 なぜなら 11項目【 状態異常 : 魅了 隷属 状態 】


  12項目【 装備 : ミスリルの腕輪・魅了・隷属・グラオザーム話語理解 付与】


 とステータスが現われてきたから……。


「…………」


 雅ちゃんは自身のステータスを確認した後、私達2人のものも確認し、三人ともが異常状態に置かれていることを説明した。


 三人ともがしばらく言葉が無かった。


 このミスリルの腕輪は、召喚されたその時に言語理解に必要だからと渡されたものだ。外せば言葉が通じなくなる。


「魅了と隷属ってどういうことなんだろう?」


 思わずこぼれた私の言葉に返事をくれたのは、やはり真面目で賢い雅ちゃんで……。


「これが個人を指すのだったら……きっと巫女姫様で…大きく捉えるのであればこの国にってことだと思うけど……」


 そう言葉を返してくれた後、考え込むように黙ってしまった。


 この腕輪にそんな魔法が掛かっているのであれば、外してしまえば良いのだろうけど、言葉が通じなることを置いておいても、何故か外そうと言う行動を起こせないでいる事が、異常状態にいる証明のような気もする。


 三人が三人とも自分の腕にはめられている腕輪から目が離せない。そして、外す事もできない……。


「…思い返せば初めから可笑しかったのかも…、」


 暫く沈黙が支配した空間の中、雅ちゃんの囁きがやけにはっきりと聞こえた。


「私は自分で言うのもなんだけど、とても疑り深い性格なのよ…いつも一緒にいる勇刀の所為もあるけど、なんでも疑ってかからないと痛い目にも随分と会ってきたし……なのにあの時、確かに余りにも非常識な体験で浮ついていたとしても、何もかも無条件で受け入れていた自分は、自分らしく無かった…現にあの時被害に遭ったのは私達だけでは無かったのに、その彼の事を今まで一瞬たりとも思い出す事が無かったなんて……」


 そう言った雅ちゃんの腕からはミスリルの輪は外されていた。


 私達は雅ちゃんのステータス閲覧のレベルが上がって、状態異常を確認できるようになった事は報告しない事にした。本城くんにも内緒にする。彼のステータスもきっと同じ事になっていると予想できるけど、姫巫女様に対する魅了の程度が同性である我々よりも深いのではないかと想像できるから。きっと言っても信じないだろうし、私達が気づいた事をこの国の人が知れば、もっとひどい事になるかもしれないから……。


 心に浮かび上がる抵抗を押さえ込んで、この国の者たちと会話が必要でない時には気付かれないようにこの腕輪は外すようにしようと三人で決めた。


「明日からも今までと同じ様に過ごすのよ。彩芽が一番心配なのよねぇ」


 恭子の辛辣な言葉に、あっかんべぇをしてベッドの中に潜り込んだ。


 思わず何もつけていない左腕を摩る。


 今まで接して来たこの国の人々の笑顔の裏側を想像するだけで体が震えた……。



おしゃべり上手な彩芽ちゃん。驚くほどスラスラ書けました。

やっぱ、女の子の方がお話し上手なのかな……。

挿話は時々入れるつもりです。航君視線のみは結構辛い!

書いていて気分も変わるので楽しいです。

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