ユメクニ
どれくらい時間が経っただろう? かなり歩いた気がするが、まだ着かないら しい。
「まだなのか?」
「ええ、まだまだです」
このテストは受験者をただひたすら歩かせ るだけのテスト。だけどこのテストの良さは、体 力はもちろん、いつまで続くか分からない という恐怖に対する強い精神力を必要とす る。
さあ、龍太様。あなた様はいつまで歩 くことができますかね。 とルンペルは心の中で呟いた。
あれからまたどれくらい歩いただろう。 もう心身共に限界だ。
そう思った瞬間、体の力が抜け意識が飛ん だ。
気のせいだと思うが、意識が飛ぶ瞬間、
(俺が代わってやるよ)
と言う言葉が聞こえた気がした。
気が付くとルンペルが目の前に立ってい た。
「目的地には着いたのか?」
「素晴らしいです。龍太様が歩いた距離、 精神力共に歴代でも首位に入る記録です」
「マジか……」
「ええ、途中からなんて見違える程、余裕 な表情でしたよ」
途中から死にかけた記憶しかないが、まあ いいか。
「では、簡単な口頭での質問がありますの で、中にお入りください」
気付くと目の前に大きな扉があり、ゆっく りと開いた。