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ユメクニ
「ああ、気味の悪い紫色だったぜ」
「………心奪の瞳、青狐の眼の名前よ。とは 言っても義眼だけどね。見たものの心を奪 うユメクニで八大神器と呼ばれる強力な呪 具の一つよ」
「何が言いたいんだ?」
「なんであんたが眼を見たのに心を奪われ てないかが不思議なのよ」
「偶然じゃないのか?」
「まあ、そうとしか考えられないわね。そ れじゃあ行きましょ。ユメクニへ」
「どうやって?」
「付いてきて」
連れていかれたのは人通りの少ない路地 裏。
「ここでいいか」
そう言って美卯は変な鍵を取りだし、壁に 差した。
「ただの壁だよな?」
「そうよ。この鍵は壁であればどこでも使 えるのよ」
カチャリといい音が鳴り壁から現れた扉が 開いた。
「さあ、行くわよ」
「ああ」
俺達は扉の中に入った。