ユメクニ
「嘘をつくな!!唯を助けるために俺や唯 の家族がどれだけ頑張ったと思ってんだ よ!!俺達の苦労を何も知らないくせにで しゃばってくんじゃねえよ!!」 「助か るとは言ってないわ。助かるかもし れな いと言ってるの。それに一ついい忘れ て たけどあたしの弟も青狐に魅せられ心を 失った。だからあたしもあんたと同じ青狐 の被害者なの」
「唯以外にも青狐に魅せ られた奴がいたの か……」
「被害者は けっこういるわ。それも含めて 詳しく話 すわ。あ、それと病室で長話もな んだ し、病院前のマックにでも行かな い?」
「信 じていいのか?」
「心配しなくても、き ちんと証拠も見せる わよ。えっとあんた の名前は龍太よね。龍 太って呼んでい い?」
「俺の名前は黒木龍太、別に龍太 で構わな い」
「そう。あたしのことも美卯でいいから」
「分かった」
「じゃあ、行きましょう」
突然現れた美卯の話を全て信じてはいない が、唯を助ける可能性が1%でもあるなら と俺は美卯に付いていった。
「まず、あんたはこの世界とは違う世界を 信じる?」
「パラレルワールドのこと か?まあ、あった方が面白 いし俺は信じてるよ」
「うーん、ちょっと違うわね。¨ユメクニ¨ この世界に密接している裏世界。まあ、簡 単に言えばゲームのバグで違う世界に行け たりするじゃない?あんなものよ」
「そ こに青狐がいるのか?」
「そうよ。だか らあんたが唯ちゃんを助け たいなら、あ んたもユメクニに行くしかな い」
「一応 聞くが、ユメクニに行かずに助ける 方法 は?」
「無い。確かに青狐はこの世界に たまに来 ることもあるけどあんたじゃ倒 せない。唯 ちゃんみたいになるだけよ。 今のあたしで もあいつと戦うには相当準 備がいる」
「そうか、話を続けてくれ」
「ユメクニはなんでもが無限に揃う世界。 だからこそ法律なんてないなんでもありの 世界。平穏なんてないわ。龍太それでもユ メクニに行く覚悟はある?」 「当然だ」
唯を助けるためなら、俺は地獄だって行っ てやる。
「後、最後に一つ。さっきのあ んたの話で 気になったんだけどあんた青 狐の眼を見 たって本当?」