ユメクニ
唯を起こすと、唯の目は虚ろで正気とは思 えなかった。
「唯、大丈夫か?」
「………」
「なあ、返事しろよ」
「………」
「怒ってんのか?悪かったよ。俺も唯が好 きだ」
「………」
「そうだ……、ジュース買ったんだ。飲むだ ろ?」
プルタブを外したらファンタが勢いよく噴 射し、俺や唯の体にかかった。 それでも唯は、全くの無反応だった。 俺は、唯がやばい状態だということを理解 し、病院に駆け込んだが手遅れだった。 遅れてやってきた唯の家族にありのままを 話すと、唯の祖父が 「狐に化かされたんなら病院じゃなく、御 寺じゃろう」 と方々の霊媒師、住職を当たったが、唯は 治らなかった。
「って、この話を唯にするの何度目だっ け……。話したからって唯が戻るわけじゃ無 いのにな……」
「とても興味深い話ね」
「え!?」 振り返ると、黒髪をツインテールにした美 少女が立っていた。
「誰だお前?」
「あたしの名前は暁美卯。17才。趣味 は……」
「もういい!!何しに来た?」 自己紹介を中断されたのが気に食わないの か、暁美卯と名乗る美少女はあんたが聞い たくせに……とぼやきながら、
「あんたの大事な唯って娘助けれるかも知 れないってことを教えに来たのよ。とは言 えたまたま話を聞いてだけどね」
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