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ホワイトラビット
朝目が覚めると、まだ六時前だった。
家から、あの路地裏までチャリで三十分と かからないのだが、とても二度寝する気に はならず、軽い朝食を済ますと、チャリで 路地裏まで向かった。
「もういんのかよ……何十分前行動だよ」
「あんたが予定より早く来ると思ったの よ」
あたしがそうだったからね。 美卯がぼそっと呟いた。
「まあ、確かに大分早く来たな。今何時 だ?」
「七時くらいよ。後、あんたにこれあ げるわ」
見ると懐中時計だった。普通の懐中時計と 違うところは、懐中時計の上と下で時計が 2個ついていることだな。
なんていうか、かっこいいなこれ。黒い鉄 の塊みたいなボディの内側に秘めた繊細な 時計。
「かっこいいな。本当に貰ってい いのか?」
「当然よ。ちなみに上が私達の世界の時 計、下がユメクニの時計。長い間、どっち かの世界にいると、時間感覚がおかしくな るのよ。それに日付も付いてる優良品よ」
「ありがとう」
「どういたしまして。それじゃあ、行くわよ」
俺達は、鍵を差しユメクニに行った。