第6話 星魔の過去後編
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ボクが契約の儀を成功させてから、一変した。今までは冷ややかな目で見られるか、『無駄飯くらい』と侮蔑を言われるだけだが、怒りや嫉妬で見られるのだ。
ドガッ!!
「ガッ!!」
お腹を蹴られ、胃の中の物をぶちまけてしまった。
「生意気なんだよ。テメエみたいな無能な家系のやつが、契約の儀を成功させやがって。」
「そ、そんな。契約の儀を成功させたかった訳じゃ………。」
「あぁ?うるせぇんだよ!」
ボクの言葉に宗主様の息子の柊景義がお腹を蹴る。
契約の儀をして数日後から、景義がボクを虐めに来るのだ。今日みたいに一人だけで来るときもあれば、大勢で来るときもある。
「景義。ここで何をしている?」
聞こえるハズの無い声が聞こえたのでそちらを見ると宗主様がそこにいて、怒った表情で景義を見ていた。
「もう一度、問うぞ?ここで何をしている?星魔に何をしていた?」
宗主様の詰問に景義は顔を青くしていた。
「星魔。来なさい。」
「は、はい。」
宗主様に言われ、そばに来た所で、
「景義。2度目はない。次に見つければ問答無用で追放する。」
そう言うと宗主様はボクを連れてこの場を後にした。
「星魔。景義の事は済まなかった。」
ボクを手当しながらの謝罪に首を横に振る。
「いえ。宗主様はボクを助けてくれました。ありがとうございます。」
ボクの言葉に宗主様の頬が弛んだ。
「どういたしまして。」
次の瞬間には引き締り、戦士の表情になっていた。
「しかし、景義の奴。あんなことをするとは思わなかった。このまま何も起きなければ良いが。」
宗主様の心配は現実のものになった。とある少年が殺害された。悪い意味で景義のライバル的な存在だった。最初はが、景義が掴まるだろうと思っていた。
「―しかし、凶器が父さんが作った刀であり、目撃者の証言により父さんは捕まり、俺は宗主の命で一族から追い出されたのさ。」
「…その、宗主は本気で星魔殿の父君が犯人だと?」
紫龍の問いに俺は首を横に振る。
「イヤ、違う。このままいさせても、俺に被害が及ぶ可能性もある。だから一時的に俺を追い出してその内に犯人探そうとしたんだろうよ。」
そうでもなきゃ、宗主が最も信頼している、爪魔家まで外に行かせる訳がないからな。
目を覚ました俺は、パジャマを脱いで、Gパンと黒の長袖シャツを着る。魔輪学園指定の腕章をつけその上からマントを羽織る。準備をすまして、食堂に出た。
「おはよう。マリナさんに結君。」
「おはよう。星魔君。そのカッコ似合ってるわよ?」
「オイッス!いつもとかわんねえけどな。」
「ありがとう。じゃ行ってきます。」
そう言って玄関に向かおうとしたところで、
「待って。星魔君。朝ごはんまだじゃない?」
あ。忘れてた。