第2話入学試験中編
このお話を読んで下さる皆様ありがとうございます。
「ウサギ。」
「ウサたんですわね。御姉様ってば御年に似合わぬ可愛らしい物を御召しになさって。」
ボコッ!
「ふざけたことを抜かすとぶん殴るぞ。オイ。」
「既に殴ってますよ。」
顔を紅くして睨む、神夜に俺はそう苦情を言う。
「アタタ。それより御姉様。最後の亜の勢いの飛び蹴りってどうやったんですの?」
先程の試合のラストで神夜は見事な勢いの飛び蹴りをかました。そのおかげで、スカートの中身をフルオープンした。一応見れたのは俺と裕佳梨だけらしい。皆悔しがっていたから間違い無いと思う。
「あぁ。裕佳梨は知らないんですか。神夜の移動は空間移動と言うより高速移動です。同然、移動点と自身の間に何かがあれば正面衝突します。」
「さっきのはそれを逆手に取ったんだ。高速移動中に正面衝突するなら、移動中の攻撃は必ずあたる。」
「なるほど、ですが、豚野郎。豚野郎が御姉様の事を詳しく知っているなんてムカつきますわね。」
裕佳梨が意味不明な嫉妬を燃やした時、
「82番鎌霧裕佳梨君。」
「アラ?わたくしの出番ですわね。では、御姉様行って参ります。」
Side モブB
「君が鎌霧裕佳梨君かな?」
茶色い髪の両サイドがロールしている少女は頭を下げてから答えた。
「はい。わたくしは鎌霧裕佳梨と申します。以後お見知りおきを。」
「礼儀正しくて結構。早速始めよう。」
「では、Summon!」
『Arm!』
指輪から聞こえる声に魔方陣が展開され、彼女よりも高い鎌を取り出した。
「では、参ります。」
鎌霧君はそう言って、鎌を横にスイングした。それを後ろに飛んで、風の刃を放つ。
「発動《Action》!」
『Wall!』
その風の刃を土の壁で受け止める。
どうやら、彼女の武器には何かしらの特殊な効果は無いらしく、さっきから接近戦しかしてこない。
「ハッ!」
鎌の重さを利用しての縦のスイング。これも後ろに避けて、
「ぐあぁぁっ!!」
唐突に肩に激痛が走った。鎌はちゃんと避けたハズなのに!そう思って地面を見たら、私の影に鎌が突き刺さっていることに気付いた。
「そうか。君は影使いか。」
闇に属する魔法で己の影を媒体にして、色々な現象を引き出す魔法だ。使い勝手の悪さから使う人が少ないのだが、まさかこんなところで見る事が出来るとわな。
「その通りですわ。」
鎌霧君の攻撃はますます厄介なものになった。実体(上)を気にしたら影(下)を、影(下)を気にしたら上(実体)を攻撃する。オマケに影使いの欠点、己の影を媒体にするなら、影への攻撃はそのまま本体につながるのだが、上手く攻撃を誘導して必ず彼女の影がこちらに向かないようにしている。
「発動《Action》!」
『Blade!』
「発動《Action》」
『Wall!』
苦し紛れに放った風の刃は土の壁で受け止められ、
「動かない方が良いですわよ?」
いつの間にか後ろに回り込まれた彼女が首筋に鎌の刃を突きつける。後ろに振りかえると、最初に彼女が作った土の壁に出来た影の上に立っていた。どうやら、影から影への瞬間移動を使われたらしいな。
「降参だ。」
終了の合図に彼女は鎌を魔方陣の向こうに収納した。