第9話 不審な電話
最近テスト勉強で更新が遅くなる時があるかもしれません・・・
でも、なるべく間をあけないように頑張ります!
智と花輪は、犯人の似顔絵を持って適当な場所を情報が得られることに期待し、探し回っていた。しかし、願いも儚く、今日もいつものように少しも情報が得られないまま、家に帰った。
「あー今日も情報掴めなかったね」
花輪がソファーに座りながら言った。
「そうだな。こんな似顔絵だけじゃな・・・」
すると、部屋に疾登が入ってきた。
「おう、疾登。大丈夫か?無理しなかったか?」
「そりゃあ、無理するよ。だって俺のせいで2人を困らせてるんだから」
疾登はため息をつきながら言った。
「俺たちの事は気のするな。なあ、花輪」
「え、あ、うん。そうだよ気にしないでいいよ。ごめん、ボーっとしてた」
その言葉で2人はクスッと笑った。
「なんで笑うの。2人とも」
花輪は頬を膨らませて言った。
「ごめん、ごめん。悪気はないよ」
「そうだよ、悪気はないから。じゃあ、俺寝るわ。なんか体がだるいし」
疾登は肩に手を置いて、首を回しながら言った。
「そっか、じゃあ、おやすみ」
「おやすみ、疾兄」
疾登は、あくびをしながら部屋を出て行った。
「ねえ、お兄」
花輪は、ソファーにすわったまま、天井を見ながら呟いた。
「うん?」
智は、花輪の隣に座った。
「なんか、他に犯人見つける方法ないかな」
しばらく考えたが、いいアイデアが浮かばなかった。智は首を横に振った。
「そっか。そうだよね・・・」
2人は同時にため息が出た。その直後、突然、花輪の携帯が鳴った。花輪は急いで携帯の画面を開いた。しかし、途端に、嫌そうな顔をしてすぐに画面を閉じた。
「出なくて・・・いいのか?」
「うん、いいの」
花輪は携帯を眺めながら言った。
「誰からだ?」
智は続けて質問をした。
「なんか、おじさんの声。いっつも公衆電話からかかってくるの」
「名前は?」
花輪は首を振って言った。
「聞いたけど、教えてくれなかった」
「なんか、気味が悪いな。とにかく、もうそんな電話には出るな。どうせ、何かの悪戯だろ」
「うん、分かった」
花輪は携帯を机の上に置いた。
「あのさ、疾登の事なんだけど」
智は真剣な表情で言った。
「うん」
「明日、疾登にどれくらい思い出したかを確認するために、テストを受けてもらおうと思って」
花輪はしばらく考えて頷いた。
「そうだね。それで、問題はお兄が考えるの?」
「いや、花輪と一緒に考えようと思ってたんだけど・・・」
花輪は「いいよ」と言ってくれた。それから、智と花輪はこれだけは思い出してほしいという問題を絞り込み、徹夜で、全5問の問題を作ったのだった。
「おはよう・・・って何してるの?」
疾登が部屋に入ってきた。「おはよう?」その言葉でハッとなった智はふと外を見ると、外は太陽の光が出ていた。問題作りに集中しすぎたあまりに、時間が経っている事をすっかり忘れていた。智が窓の外を見ながらボーっとしてると、急に花輪がガサガサと音を立てて紙を退けていた。何事かと思い、花輪の方を見た。すると、タイミングよく、花輪も智の方を向いた。
「お兄!何ボーっとしてるの!早くこの用紙、片付けて!」
花輪が小声で言った。そこでやっと我に返った。
「あ、そっか。ごめん」
そう言って智も手伝った。
「二人とも、何慌ててるんだよ」
「い、いいから。まあ、この後分かるよ。それより、体調はどうなんだ?」
智は無理やり質問を投げかけた。
「あ、ああ。もう大丈夫だよ」
「そっか。良かった」
そこでやっと片付けが終わった。突然、疾登が部屋を出て行った。気を使ってくれたのだろう。
タイミングを計って智は花輪に言った。
「なあ、花輪。問題、いつ出す?」
すると、花輪は呆れた顔をして言った。
「もう、バレてると思うよ、だって、さっきの動き、すごく怪しかったじゃん」
智は、肩を落とした。
「そうだな。じゃあ、疾登が戻ってきたら始めようか」
「うん。それでさ、お兄。問題用紙は何処に置いたの?」
「え、花輪持ってない?」
花輪は持ってないという風に首を振った。
「マジかよ、花輪の所に置いてなかったっけ?」
「ちがうよ、最後にお兄が問題の確認するとか言って持ってたじゃん!」
智はさっきまでの出来事を頭の中で思い出していた。確か、花輪が問題を書き終わったとき・・・智は、過去の世界へ頭を働かせた。
(お兄!問題、書き終わったよ!あー疲れた)
花輪は背伸びをしながら言った。
(ちょっと、問題の確認するから貸して)
(うん、いいよ)
智は花輪から用紙を受け取った。それからすぐに、疾登が部屋に入ってきたのだ。
そこで、智は現実の世界に戻った。おそらく、用紙を片付けている時に、他の用紙と混じってしまったのだろう。智は、自分の考えを花輪に話した。
「えーもう、早くしないと疾兄が戻ってくるよ」
そう言ってすぐに疾登が戻ってきた。
「ほらーお兄、しっかりして」
智はごめん、と言って用紙を捜し始めた。途中で、疾登が何回も話しかけて来たが、適当に返事しておいた。しばらくしてやっと見つかった。智は疾登にその用紙を持って、指さしながら言った。
「疾登、さっき、見せない様にした物はこれだ。突然だけど、疾登には今から、どこまで思い出したか
確認する、テストを受けてもらう。じゃあ、ここの机に座って」
疾登は机の前に正座した。
「いいか、じっくり考えれば出来るはずだ。その代り、無理はするなよ」
疾登は小さく頷いてペンを進めた。このテストの内容は、さほど難しくない。
第1問
あなたの名前と、兄と妹の名前を答えなさい
第2問
あなたの年齢を答えなさい
第3問
あなたは何故、記憶喪失になったのかを答えなさい
第4問
あなたの両親の名前を答えなさい
第5問
あなたの両親は、何故いないのかを答えなさい
気が付くと疾登はペンの動きを止めて頭を抱えて呼吸を荒らげていた。花輪は智の肩をたたいてきた。智が花輪を見ると、「もう、やめよう」という目をしていた。智は、頷いて疾登を止めた。
「分かった」
そう言って、疾登は自分の部屋に戻っていった。