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僕たちの約束  作者: 翔香
第1章 僕たちの約束
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第8話 親友の裏の姿

今回はいつもより早く更新することが出来ました!



では、本文どうぞ。

 二人は疾登に記憶喪失になっているということ話した。やはり、ショックを受けたのか、あれから元気がなくなった。



「疾登、大丈夫だって。そんなに落ち込むな。疾登らしくないぞ」



「そうだよ、疾兄。ほら、笑顔、笑顔」



 そう言って花輪は疾登の頬をつまんだ。



「そうだよな。俺らしくないよな。ちょっと、そこら辺ブラブラしてくる。」



「そっか。じゃあ、俺らも行くよ」



 すると、疾登は首を振って言った。



「いいよ、ちょっと、1人になりたいんだ」



「そっか。じゃあ、気を付けろよ。」



「また、事故とか遭わないでよ。」



 花輪が心配そうに言った。



「大丈夫だって、ちゃんと車見て歩くから、って何か俺、小学生みたいだな」



 そう言ってにっこり笑って家を出て行った。その笑顔が何となく可愛そうに見えた。



「疾兄、本当に大丈夫かな?」



「ちょっと、心配だな」



 それから、部屋は静まり返った。











 疾登は、川の上にある橋の上を歩いていた。すると、突然背後から声をかけられた。



「おー疾登!久しぶり!」



 どこかで、見たような顔・・・思い出せない。思い出そうとすると・・・頭が・・・



「覚えてるか?疾登。俺だよ、小村おむら和人かずとだよ。ほら、小学校でずっと一緒に遊んだじゃん!」



 疾登は頭を抱えて首を振った。



「疾登。本当に覚えてないのかよ」



 疾登は小さく頷いた。



「じゃ、じゃあ、小学校で一緒に遊んだこともか?」



「え?」



「おい、疾走。そんなことはないと思うけど、記憶喪失じゃ・・・ないよな」



 その言葉にドキッとして思わず小村から目を逸らしてしまった。すると、急に彼は不気味に笑いながら言った。



「じゃあ、この際、ストレス発散でもしようかな!」



 その瞬間、小村の顔が豹変した。



「俺はな、みんなの人気者で、先生にも可愛いがられてるお前が、嫌いだったんだよ!憎かったんだよ!」



 突然、疾登の後頭部が激しい痛みに襲われた。無意識に呻き声が出る。



「お前の両親、殺されたんだろ。可愛そうにな。もう会えないんだろ」



 頭の痛みがエスカレートしていく。



「いい気味だ!」



 疾登は息を荒らげながら、その場に倒れこんだ。











「疾兄、遅いね」



 もう、外は真っ暗になっている。2人はずっと時計を気にしている。



「そうだな。もう、疾登が家を出てから、2時間も経ってるし。心配だな」



 すると、花輪が時計から目を放して言った。



「ねえ、疾兄探しに行こう」



「そうだな」



 二人は複雑な気持ちで家を出た。











「疾登―!」



「疾登兄!何処にいるの!」



 思い当るところを全て探したが、疾登はいなかった。



「何処行ったのかな、お兄、あれって・・・」



「ん?」



 花輪が指を指している方を見ると、人が倒れていた。何処かで見たことがあるような・・・まさか!



「あれって、疾兄、だよね」



「ああ、多分。とにかく行こう、花輪」



 二人は走って確認した。思った通り疾登だった。智は疾登を抱きかかえて声をかけた。花輪も必死に声をかけた。すると、疾登の目がうっすら開いた。



「おい、疾登。大丈夫か?」



「疾兄」



「ああ、大丈夫だ」



 すると、疾登は、自分の力で起き上がって言った。



「あのさ、1つ聞きたい事があるんだけど」



 智と花輪は「何?」と聞いた。



「俺たちの両親って・・・殺されたのか?」



 その言葉に智はドキッっとした。花輪は、俯いてしまった。



「なんで・・・分かったんだ?」



「さっき、小学校の同級生だった小村和人に会ったんだ」



 智は小村の顔を頭の中で浮かべた。小村は、疾登が小学生のころ、すごく仲が良かった。毎日のように遊んで、いつも疾登が泥だらけになって帰ってくるのを今でも覚えている。



「ああ、疾登と仲が良かった子だろ」



「うん、その子にばったり会って、話を聞いていたら俺のことが嫌いだったとか、お前の両親は殺されてたとか・・・」



「もう、いいよ。それ以上は言うな。花輪見てみろ」



 智は疾登の言葉を遮って言った。智と疾登は同時に花輪を見た。すると、花輪は体を震わせて、俯いていた。



「ごめん。花輪」



 疾登は花輪の背中にそっと手を置いて言った。花輪は顔を上げて笑って言った。



「いいよ、だって、しょうがないじゃん?」



 疾登はもう1度謝って、智の方を向いて言った。



「あのさ・・・俺たちの両親を殺した犯人って捕まったのか?」



 智は花輪に「話してやってくれ」という視線を向けた。意味が通じたのか、花輪は小さく頷いて言った。



「犯人はまだ捕まってないんだ。だから、私たちが小さいころに決めた約束を、今、果たすの。お父さんと、お母さんのためにも」



「約束?」



 疾登が首を傾げながら聞いてきた。その質問には智が答えた。



「大人になったら、絶対犯人見つけてぶっ殺そうってな。3人だけで施設で約束したんだ。」



 疾登は小さいため息をついてから、口を開いた。



「そうだな。絶対、犯人見つけような」



 智は、頷いた。花輪は、手を口元に持って行って、温めながら言った。



「お兄、疾兄。もう帰ろうよ。急いでたから、上着着てないから寒いよ」



 智と疾登は「そうだな」と言って3人は家に戻った。













 次の日、疾登が犯人探しに行きたいと言っていたが、智はそれを拒否して言った。



「まだ、記憶があやふやだから、今日は休んでおけ。でも、その代り、無理をしない程度に思い出しておいてくれ」



 その後、花輪に体を向けて言った。



「花輪。今日は一緒に行動しよう」



「どうしたの、急に」



 花輪が首を傾げる。



「な、何となくだよ。ほら、最近、不審者とか多いだろ。だから心配だなと思って」



 智は花輪から視線を外して言った。少し照れてしまった自分が、気持ち悪いと思った。



「そっか。じゃあ、行こう」



 二人は家を出たのだった。


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