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僕たちの約束  作者: 翔香
第3章 真実
44/55

第44話 感謝

投稿、遅くなってしまってすみません(-"-)

「終わったのか?」



 リビングに入ると、裕貴はソファーに座ってニュースを見ていた。



「ああ。ありがとな」



 智は裕貴の隣のソファーに座ったて、テレビの画面を見た。



『続いてのニュースです。10月21日の午前2時に、国立警察署の佐名木浩輔警部が行方不明となりました。警察は捜査を進めています・・・』



 最近テレビを見てなかったので分からなかったが、まだ佐名木さんが行方不明になった事がニュースになっていなかったことに少し驚いた。



「あれ?この人って・・・」



 裕貴は、佐名木さんの顔写真が映し出された画面を指さして、驚いた顔をした。



「そう。俺たちの両親を殺した犯人について捜査してくれている警察の人」



 智は顔を俯かせて答えた。



「やっぱり・・・。智、大丈夫か?」



「何が?」



「ほら、いろんなことが積み重なって・・・。だから、今日みたいに倒れるんだよ」



 裕貴は悲しそうな顔をした。



「大丈夫だよ。何で裕貴の方が悲しそうな顔をするんだよ」



 智は裕貴の肩に手を置いた。



「友達なんだから、そりゃ心配するだろ」



 裕貴は立ち上がって、冷蔵庫を開けた。



 この時、智は「俺の周りには優しい人ばっかりだな」と思った。いろいろな事を考えていると、額にまた冷たいものが当たった。



「熱さまシート変えたよ。だいぶ乾いてたから」



 智は頭を下げて礼を言った。



「そろそろ、帰った方がいいんじゃないか?体、休めないと」



「そうだな。あんまり長居するのも迷惑だしな」



 立ち上がると、眩暈がした。



「ほら、家まで送るよ」



 裕貴は智の肩を支え、車に乗せてくれた。



「ありがとう」



 車は、40分で家に着いた。











「じゃあ、また何かあったら連絡して。出来る事なら何でもするから」



 裕貴は、助手席に乗っている智を引っ張り出して言った。



「分かった。ありがとう」



 裕貴は車に乗り、窓を開けて、最後に言葉をかけた。



「じゃあ、またな」



「ああ」



 車は猛スピードで走りだし、そして智の視界から消えた。



「こんな姿で帰ってきたら、2人ともびっくりするだろうなぁ」



 智は、額に貼っている剥がれかけの熱さまシートを張りなおした。











「ただいま」



 智はリビングに入った。



「遅かったじゃん。もう、心配したんだから・・・って、お兄、熱があるの!?」



 花輪が心配そうに、智の顔を見上げる。



「兄貴、最近頑張りすぎなんだよ」



 疾登も花輪と同じような顔をした。



「大丈夫だって。熱もさっきよりは引いたし」



 智はソファーの上にドカッと座った。



「引いたしって、何度あったの?」



 花輪は熱さまシートを剥がし、自分の額と智の額を合わせた。何故かこの時、智はドキッとしてしまった。



――何で妹なのに照れるんだよ。俺って気持ち悪いな・・・



「お兄、顔赤いよ。寝てた方がいいって」



――違う。照れて顔が火照っってしまったからなんだけどな。



 智は心で呟いた。



「あ、寝る前に、熱測って」



 花輪は体温計を棚から取り出し、智に渡した。



「その熱さまシート、変えた方がいいよ。乾燥してきてる」



「え?さっき変えたばっかなのに・・・」



 熱さまシートを剥がし、ゴミ箱に捨てた。



 智は脇に体温計を挟み、じっとした。



「兄貴、楽しかった?」



 疾登は智の隣に座った。



「楽しいも何も、途中で倒れちゃったから」



 そこで、智は口を手で覆った。これだけは言いたくなかったのに、つい口が滑ってしまった。



「え、倒れた!?病院行ったのかよ」



 疾登はあたふたしている。



「行ったよ。っていうか、無理やり連れて行かれた」



 智はため息交じりに答えた。



「お兄、無理しすぎ。1日くらいゆっくりしてもいいと思うよ」



 花輪は熱さまシートを智の額に貼った。

 そこで、体温計が鳴った。



「38.5!?お兄、寝た方がいいよ」



 花輪は、智を部屋に連れて行った。



「じゃあ、おやすみ」



 花輪はドアの隙間からひょこっと顔をだし、優しく微笑んだ。



「おやすみ」



 智は布団に包まった。



 その様子を見届け、花輪は部屋のドアを閉めた。



 智は携帯をポケットから取り出し、画面を見た。メールが2件来ており、先に来た方のメールを開いた。一輝からだった。



『智、大丈夫か?ほんまに心配したんで。やっぱり、病院連れていたらよかったなって、今さら後悔しとる。病院、行ったか?智は、俺にとって大事な存在や。悩み事があったら、自分だけで抱え込まんと俺に言ってや。俺やなくても智の周りには、温かく見守ってくれとる人がたくさんおるんやから、嫌なことがあったら全部皆にぶちまいたらええ。でも、少しの加減は必要やで。

ほんなら、またどっか食べに行こうな。連絡、待っとるから。あ!しんどかったら、返信せんでええからな。』



 これを読んで、智は目にうっすら涙を浮かべた。こんなにも自分を必要としてくれている人がいるのだと、改めて実感した。



 智は返信ボタンを押し、文章を打った。一輝の温かい言葉に対してのお礼と、病院に連れて行かれたことと、これからもよろしく、という内容でメールを送った。

 次に、2件目のメールを見た。裕貴からだった。



『智、大丈夫?最近、無理してるんじゃないのか?お前は自分の事より、相手の事を先に考える人だから時々心配になるんだよ。お前は俺にとって忘れたくても忘れられない大事な存在だ。だから、無理しすぎるなよ。何かあったら、すぐに言ってな』



 一輝と裕貴の温かい文章で、智は静かに涙を流した。それと同時に、自分は幸せ者だなと思った。

 裕貴にも、一輝と同じようにお礼と、これからもよろしくと返信した。



 智は、携帯をベットの横の机の上に置いた。目を瞑ると途端に眠気に襲われ、深い眠りに就いた。

少し、短くなってしまいました。

すみません。

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