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僕たちの約束  作者: 翔香
第3章 真実
43/55

第43話 新たな情報

今回、後半の方は分がズラズラ書いています。

でも、諦めずに読んでいただけると嬉しいです)^o^(


では、どうぞ!

 目を開けると、見たことのない風景が広がっていた。智は、敷布団で寝ていた。



「智、やっと目開けてくれた。もう、心配したんで・・・」



 一輝は、今にも泣きそうだ。



「ごめん。此処は?」



 喋るたびに、頭がズキズキ痛んだ。



「此処は俺の同僚の家や。ちょっと貸してもらったんや」



 一輝は微笑んだ。



「ダメだろ。迷惑かけるし」



「全然ええんよ。仲ええから」



 一輝は手をひらひらと振った。



「まだ5時やから、もうちょっと寝た方がええんとちゃうん?まだ、顔色悪いで」



 顔を歪ませ、心配そうな顔をした。



「そうする」



 それだけ言って、目を閉じた。一輝はそれを見て、智の隣に寝そべった。











 重たい瞼を開くと、明るい光がカーテンの隙間から差し込んでいた。頭がまだクラクラする。隣には、一輝がいびきをかいて寝ていた。

 智はゆっくり上半身を起こし、辺りを見渡した。

 部屋は10畳程の広さで、床は畳で出来ていた。部屋にあるものは、押し入れ、ちゃぶ台、山積みの週刊誌だけだった。



「おぉ。智起きとったんか」



 一輝は目を擦りながら体を起こした。



「おはよう。今、何時?」



「あ~。もう8時や」



 腕時計を見て言った。

 そこで、智は思い出した。10時に裕貴に会いに行くことを。



「俺、10時から用事があるんだ。そろそろ帰るよ」



 智は立ち上がった。一瞬眩暈がして、足元がふらついた。



「大丈夫か?病院、連れて行くで?」



 一輝は、智の肩を支えた。



「大丈夫、これくらい。病院なんか行かないよ」



 病院だけは絶対に行きたくなかった。疾登と花輪に心配を掛けるからだ。



「でもな、俺は智の事を考えて――」



「行かないって言ってるだろ」



 一輝の言葉を遮って、少し強めに言った。



「・・・分かった。家まで、送るよ」



 一輝は智の体を支えたまま、車のキーを取り、車に乗った。智は同じく助手席に座った。











「さっきはごめん。きつく言い過ぎた」



 運転している一輝の横顔に向かって謝った。



「全然、気にしてへんから」



 一輝はチラッと智の方を見て、微笑んだ。



「ごめん」



 智はもう1度謝った。



「智、疲れが溜まっとるんとちゃうん?ちょっと休みや」



 智は、頷いた。



 本当は、疲れなんかじゃない。ゆっくり休めているのではないが、これには訳があるのだ。何故、今頃になって残像が見えてくるのだろう。



「智、まだ時間掛かりそうやから、寝といたら?目が死んどるで」



「ああ」



 智は、瞼を閉じた。











「智、着いたで」



 一輝の声で目を開けた。窓から見える景色は、見慣れた10階建てのマンションだった。



「帰れるか?」



 一輝は、助手席のドアを開けてくれた。



「ああ。少し楽になったよ」



 智は車から出て、少しぎこちない笑みを見せた。



「なら、ええんやけど。じゃあ、また連絡するわ」



 一輝は片手を挙げ、車に乗った。



「ホンマ、体には気を付けてや。何かあったら、すぐに飛んでいくからな」



「分かったよ。ありがとな」



 一輝はニッコリ笑い、車を走らせた。智は、車が見えなくなるまで動かなかった。

 やがて車が見えなった。途端に足の筋肉が緩み、その場に崩れ落ちた。



 少し楽になったなんて、嘘だった。車内では、一輝に迷惑を掛けたくなかったので、寝ているふりをしていた。途中で気持ち悪くなって、吐きそうになったが頑張って堪えた。一向に体調が良くならない。何故だ。今まで頭痛が起きて残像が見えたら、すぐに治まるのに・・・。

このまま家に戻って体を休ませようと思ったが、疾登と花輪に迷惑を掛けたくなかったので、まだ早いが裕貴の家で休ませてもらう事にした。



 近くでタクシーを拾い、裕貴が住んでいる池田市と告げた。運転手はここから30分で着くよと言った。











 運転所の言う通り、およそ30分で池田市に着いた。智は細かく道を告げて、40分で裕貴の家に到着した。



「兄ちゃん大丈夫か?顔色、悪いよ」



 運転手に顔を覗き込まれた。



「あ、大丈夫です」



 頑張って声を振り絞った。

 料金を払い、運転所に礼を言った。タクシーはゆっくり、元来た道を帰って行った。



「気持ち悪い・・・」



 智の体調は、良くなる所か次第に悪くなっている。

 朦朧とする意識の中、1戸建ての家のインターホンを鳴らした。



「はい」



 ドアが開き、昔とあまり変わらない裕貴が出てきた。途端に安心感に包まれ、目の前が真っ暗になった。











 智はゆっくり目を開けた。額に何か冷たいものが乗っている。



「来て早々倒れたからびっくりしたよ」



 このタイミングで、はっきりと裕貴の顔を見た。変わったのは、メガネをかけているということだけだった。



「ごめん。朝から体調悪くて」



「病院、行ったのか?」



 智は首を振った。



「智、病院行った方がいいよ。39・5度も熱がある」



 だから、額を冷やしていたのか。



「いや、疾登と花輪に迷惑を掛けたくないんだ」



「それ以前に、自分の体の事を第一に考えろよ」



 裕貴はため息を吐いた。



「ごめん。大丈夫。大人しくしてたら治るだろう」



 智は天井を見つめた。



「いや、何としてでもお前を病院に連れて行く」



 裕貴は出かける支度をしていた。



「行かないって言っただろ」



 起き上がろうとするが、腕に力が入らない。



「お前のいう事なんか、絶対に聞かないから。お前の体のいう事だけを聞く」



 裕貴は車のキーを取り、智を起き上がらせた。



 智は、無理やり裕貴の車に押し込まれた。車内でずっと「引き返せ」と叫んでいたが、裕貴は全然相手にしてくれなかった。ずっと叫んでいると、頭がクラクラしてきたので、大人しくしていることにした。



 病院に着き、適当な所に車を止めた。裕貴は智に肩を貸し、中に入った。











「ただの疲労だったじゃないか。行かなくて良かったのに。3時間も待たされたし・・・」



 智は、病院でもらった熱さまシートを額に貼りながら言った。



「まあ、薬が貰えたんだから良かっただろ」



 裕貴は智の肩をポンと叩いた。



「そうだけど・・・」



 車に乗り、智はシートベルトを着けた。



「用事済ませたら、早く帰った方がいい。バタバタしたら、また倒れるから」



 そう言葉をかけ、裕貴は車を走らせた。











「ここが書類室だ」



 裕貴の家に着いてすぐに、新聞の記事が収納されているファイル専用の部屋に入れてくれた。



「一緒に居た方がいい?また倒れたら誰も助けてくれないから」



 その優しさは有難かったが、智は首を横に振った。



「いいよ。俺1人で調べたいんだ」



 少し間があったが、裕貴は了承してくれた。



 部屋には智1人だけとなり、静寂に包まれた。熱が出ているので足元がフラフラするが、2004年の記事を見つけ出し、その中から『大阪連続殺人事件』を探した。2004年のファイルは6冊あった。たった6冊、と思っていたが、探し出すとファイルに記事がぎっしり入れられてあって、探すのに嫌気がさした。

 20分ほど、ファイルをぱらぱらめくっていると、ある記事が目に映った。



「これか?」



 それは、『大阪で3人の遺体が海に・・・』と太字で大きく載ってあった。記事には、こう書かれてあった。



『5月18日午前3時、大阪府大阪市西淀川区の海で遺体が沈んでいるのを、魚の引き揚げ作業をしていた漁師が発見した。警察が調べたところ、後に2体見つかり、計3体が発見された。遺体は全て、コンクリートが付いたロープを腰に巻きつけてられてあった。

 遺体は、仲野侑奈25歳、川野留美25歳、佐山隆太25歳、いずれも25歳と同級生である事が判明した。犯人は今だ捕まっておらず、捜査は難航している。』



 とあった。この記事では、高峰はまだ捕まっていないらしい。智は、再びファイルをめくった。

 10回ほどめくると、また太字の大きな文字で『大阪連続殺人事件の犯人逮捕』と載ってあった。内容にも目を通した。



『6月30日午後7時30分頃、市民から犯人の目撃情報があり、警察が向かったところ、犯人だと断定し、その場で逮捕された。犯人は高峰尚子容疑者25歳。被害者の同級生と判明した。高峰容疑者は、容疑を認めており、警察は事件の真相について詳しく調べている』



 ここで、智の頭に新たな疑問が浮かんだ。



――警察なら、こんな大事件を詳しく知らないはずがない。



 それに、佐名木さんならベテランの刑事なので、この捜査をしていたはずなのだが。佐名木さんは智たちに、何か隠し事をしているのだろうか。



 それからも、ファイルをぱらぱらめくっていたが“例の事件”に関係する記事は見つからなかった。



 智は立ち上がり、ファイルを元の位置に戻して部屋を出た。

皆さん、目のマッサージを。

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